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side 冬美
時々、スーパーで見かける女の人。
彼女の周りは、どんよりしている。
彼女の目は、暗い光を放っていて。
兄の事を思い出した。
いつか声をかけよう。
いつか声をかけよう。
そう思いながら、時間だけが過ぎていった。
そして、もう一人。
同じような目をした人を見つけてしまったのだ。
「余命をつけるとしたら、後…………日ですね」
自分の命に期限がついた日。
私は、二人を救う事にした。
このまま生きていたら、兄のように自らを罰してしまうかも知れない。
そう思ったのだ。
まさか、チーズの特売の日に出会えるとは思わなかった。
今日を逃せばチャンスはない。
そう思ったから、話しかけた。
怪しい勧誘だと思われない為には、私は私自身の話をしなければならない。
出来るだけ重くならないように兄の話をしよう。
聞いてる人が、悲しくならないように話そう。
それだけを意識しながら、私は話始める。