始まり。
これは俺が過ごした中学3年間の物語。
少年H「お゛らっ、死ねや。雑魚が…イキってんじゃねぇぞ。」
俺「イキってねぇよ‥‥。」
出会いは最悪、平穏な中学生活をぶち壊す奴と入学式で出会った。
俺、錫沢 綾はこの春、城北中学校へと入学した。母親のセンスで襟足を肩まで伸ばし、顔付きも中性的な顔をしていた為よく女に間違われた。当時の身長は130センチ程、学年でも前から数えた方が早いくらいの小ささだ。目が悪いため常に顰めっ面、不良風に言えばガンつけてる状態。そのせいで冒頭の様にいきなり絡まれたのである。
城北中学校は2校の小学校が集まる中学であり、半分は見た事無いから奴だった。平穏な小学校生活を送ってきた俺には衝撃だった。
少年H「入学そうそうガンくれてんじゃねぇよ。女みてぇな顔しやがって、ちんぽ付いてんのか本当によぉ。」
綾「うっせぇな、いきなり殴るとかどうかしてんなお前。目が悪ぃんだよ、ガンつけた訳じゃねぇ。」
少年H「あ゛?目が悪ぃ?なら眼鏡掛けろや雑魚が。弱ぇ奴相手にしてもつまんねぇな、行くぞ。」
綾「…っ、待てよこら。散々人殴って退散かよ、俺にも殴らせろやっ。」
自分で言うのもなんだが俺は温厚で気が長く、優しい性格だ。もちろん喧嘩なんかした事ない、寧ろ怒った事すら殆どない。そんな俺でもいきなりの襲撃と舐め腐った態度にプチン。頭の中で何かが切れた。気付いたらアイツに殴りかかってた。そして、次に気付いた時には保健室だった。
少年H「よぉ、起きたか。」
綾「お前…いってぇ……。負けたのか、糞。」
目が覚めて最初に見る顔が因縁の相手、思わず身体を起こそうとするも全身に激しい痛みが走った。
少年H「お前面白ぇな、糞弱かったけど。あんだけやられて殴りかかって来る奴初めてだわ。」
綾「うっせぇな、喧嘩なんかした事ねぇんだよ。お前みたいな不良じゃねぇからな。」
少年H「もう不良だろ、格上に殴り掛かるなんて立派な不良だ。あー、俺寛人宜しくな。」
綾「自分で格上って言うか普通?ったく、俺は綾。宜しく。」
寛人「綾ね、オッケー。今から仲間と集まるけど、お前も来るか?」
綾「行かねぇよ身体痛ぇのに、それに不良の集まりなんか行くか。次は死ぬかもしれねぇし。」
寛人「何もしねぇよ、もうダチだろ。俺らと遊ぼうぜ、少しは綾も強くなれっかもよ。」
綾「別に強くなる必要ねぇだろ、お前みたいに喧嘩しないんだから。」
寛人「男は強くねぇと、なんも守れねぇぞ。」
綾「そりゃ…そうだけどよ。」
此処で初めて寛人の顔をちゃんと見た。この時ばかりは真面目で覚悟の有る目をしていた。きっとコイツには守るべきものが有るんだろう。俺にも有る。母子家庭で育ててくれてる母親が真っ先に頭に浮かぶ。強くならなきゃいけない気がした。それと同時に不良とつるんで涙流す母親の姿が頭に浮かんだ。