1.エステル王国
エステル王国の王女は何とも美しい女性であった。青色の綺麗な瞳、金色に輝く長く艶やかな髪。
しかし、その王女には不遇な運命が待っていた。
「タン!早く起きなさい!学校の時間でしょ!」
「分かってるよ!もう起きてるって!」
彼はタン・パーク。エステル王国の平民の1人である。
実家は鍛冶屋。自身も将来は鍛冶職人を目指しており、いずれは鍛冶屋を継ぐつもりだ。
「じゃあもう行ってくるよ!朝飯いらねーから!」
母のフラ・パークは言う。
「気をつけて行きなさいよ!まったく、自由なんだから!誰に似たんだか」とクスッと笑う。
元々は、平民で冒険者でもあった母、剣を作りに鍛冶屋に入った時、今の旦那であるロール・パークと出会った。
「元気でいいじゃないか」と父は笑って言う。
「おはよう!タン!」
幼馴染のクル・ブラン言う。
「おう、おはよう!クル。」
クルは言う。
「タンさ、あの件決めた?参加するか」
タンは呆れながら言う。
「うーん、親は参加に前向きだけど、まだ決めかねてるんだよなぁ
でも、こんな仕組みイカれてるよ。」
このエステル王国は毎年16歳の平民の男子に王女の婚約者を決めるパーティに参加するように定めている。
強制ではないが、参加した者の家族には報奨金を与えるとした。
すなわち平民の中から王女の婚約者が決められるのだ。
しかも、毎年パーティは行われる為、側近の娘や同盟を結んでいる国の王女等、その年によって変わる。
ただ、今年は、エステル国の第3王女であるプリマ・エステルの婚約者が決められるのだ。
タンは言う。
「しかも、この国の王女だぞ?よりによってなんで今年なんだよ」
「強制じゃないにしても親からしたら出れば金貰えるしなぁ」
クルは言う。
そんな話をしながら学校に着いた、、