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中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
サトシの譚
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鉱山探索

 酒場を出た3人はその足で冒険者ギルドに向かう。昼間はそれなりににぎわっていた往来も、深夜に近くなると野犬くらいしか見当たらない。

「で、これからどうするんです?」

「とりあえず、冒険者ギルドで所持品を整えようか、あそこは保存食なんかも多少置いてるだろうしな」

「店で買わないんですか?品ぞろえからするとそっちの方がいいような気がしますけど」

「そりゃそうだろうけどさ。コンビニじゃないんだから夜中に開いてなかろ?」

「RPGだといつでも開いてますけどね」

「……サトシ。お前、この世界についてどう思う?」

「どうしたんです?急に。そうですね。ちょっとゲームっぽいところありますよね。所々雑な……というか、魔法が使える世界だから仕方ないのかもしれませんが、なんだか不思議な世界だなと思いますよ」

 その言葉にルークスはしばらく黙る。

「あれ?なんか俺おかしいこと言いました?」

「いや、何でもない。そうだな。まずは店に寄ってみるか」

 ルークスたちはギルド近くにある道具屋へ立ち寄ることにする。


 しばらく歩くと冒険者ギルドに到着した。ギルドは通りに面した窓から明かりが見えるが、その先にある道具屋の窓からは明かりが見えなかった。

「ちょっと寄ってみるか」

 ギルドを通り過ぎ、道具屋の扉に手をかける。


 扉は中からかんぬきが掛けられているようで開く気配はなかった。

「やっぱり閉まってますか」

「だな。ゲーム脳は改めることだな」

「ですね」

 

 気を取り直して3人は冒険者ギルドに入る。昼に比べると夜のギルドは閑散としていた。

「サトシさん。ルークスさん。こんばんは。どうしたんですこんな時間に。珍しいですね」

 カウンターの受付嬢が気さくに声をかけてくる。

「ああ、これから鉱山に入ろうと思ってね。で、中の様子でわかってることを教えてもらいたいのと、保存食と道具をいくつか分けてほしい」


「承知しました。うちで扱ってる道具のリストを持ってきますね。それと、鉱山についてですが、モンスターが出る前の情報で大丈夫ですか?」

「ああ、助かる」


 受付嬢は後ろの棚から大きめのファイルを取り出してきた。

「こちらが当ギルドで取り扱っている保存食のリストです。これらは、この先にあるヨアルさんの道具店の商品の一部を委託販売してるだけですので、日中であればそちらに行っていただいたほうが品ぞろえは豊富ですよ」

「そう言う事ですか」

「じゃあ、この煎りマメと、干し肉、燻製肉を20づつ頼む。あと腰袋も二つな」

「承知しました。どうしましょう。その腰袋にすべて入れますか?」

「ああ、10づつ入れてくれ」

「承知しました」

 受付嬢は慣れた手つきで、保存食を腰袋にしまってゆく。保存食が詰まった腰袋はパンパンになっていた。


「で、アイ、お前がこっちを持て」

「ん」

 アイはそっけない対応だが、素直に腰袋を装着する。

「こっちは俺が持つよ」

「あれ、俺の分は無しですか?」

「お前には動き回ってもらわんといかんからな。少しでも身軽な方がいい。それと、戦ってる最中に落とされてもかなわんしな」

「ああ、そう言う事ですか。わかりました。ありがとうございます」


「そして、こちらが鉱山のマップになります。ただ、鉱夫たちからの聞き取りで作成しておりますので、魔獣発生前の物と思ってください。

 坑道は入り口に近いほど古く、無計画に掘られています。奥に進むにつれて計画的に掘られていますが、分岐が多くなっているようです」

 受付嬢が言うように、坑道入り口からしばらく進むと分岐がある、しかし、その二つの道は先の方でつながっている。掘り進んでいるうちに方向感覚を失ったようだ。坑道が合流してからは中心の太い坑道に対して、左右に魚の骨上に細い坑道が続いている。そのどれもが行き止まりになっているようだった。

「どこから魔獣が湧いて来てるかだな。このマップだけではわからんな。これ、書き写してもいいか?」

「結構ですよ」

「それと、ちょっと聞きたいんですけど」

「はい。どうぞ」

「この坑道の所々にある瘤みたいな横道……というか、横穴ですかね。これなんですか?」

 マップの坑道には、一定間隔で横に瘤の様な空間があった。

「少々お待ちくださいね。え~と」

 受付嬢は、マップの次のページにある説明を読みながら答える。

「ああ、これは資材や、採掘した岩石を保管する「仮置き場」だそうです。広さは……大人二人が足を延ばして横になれるほど……だそうです。高さはあまりないようですね。中腰にならないと入れないと書いてあります」

「大人ってのが、どのくらいの大きさなのかはっきりしないが、まあ、4㎡位ってことかな」

「そんなもんなんでしょうね。でも、ゴブリンとか潜んでたら嫌ですね」

「ああ、待ち伏せか。気を付けないとな。よし。写し終わった。助かったよ。ありがとな!」

「いえ、どういたしまして。これから鉱山に向かわれるんでしたら、町外れの森は気をつけてくださいね。夜は魔獣が多く出ますので。それではお気をつけて」

「おう、ありがとよ。じゃ行くか」

 3人はギルドを後にする。

 人気のない往来に出ると、ルークスとサトシは魔法の準備をする。

「アイ。俺に掴まって。これから飛ぶよ」

「わかった」

 アイはヌーを保存食が入っていない方の腰袋に入れると、サトシの腕をつかむ。

「じゃあ、行こうか。「反重力アンチグラビティ」」

 三人はするすると上空に浮かび上がり、鉱山の方へと飛んで行く。


 ほどなく鉱山入り口の広場上空に到着する。鳥か獣かわからない鳴き声があたりにこだましている。日中よりも煩いくらいだった。三人はゆっくり広場に降り立つと、周囲を警戒する。

探索シーク

 ルークスが唱えると、ルークスの周りに無属性の魔法陣が現れ、次第に魔法陣が大きくなる。その魔法陣は坑道入り口から奥へと進んで行く。

「骸骨騎士は居ないみたいだな」

「無限湧きじゃないんですね。助かりました」

「だな」

 サトシとルークスは坑道へと入って行く

「じゃあ、アタシが来る必要なかったってこと?」

「いや、まだわからん。奥に潜んでるかもしれんからな」

「ふ~ん」

 アイは判ったようなわからないような返事をしながらサトシたちの後をついてゆく。


「サトシ。一旦俺がタンク役を引き受けるよ」

「へ?ルークスさんがですか?」

「ああ、ここの敵強そうだからな。お前に死なれちゃ困る」

「でも、ルークスさん……って、そうか、スキルがありますもんね」

「ああ、だから、俺がひきつけてる間に攻撃するか、撤退するか決めてくれ」

「わかりました。じゃあ、先頭お願いします」

「おう。任しとけ」


 ルークスを先頭に、アイ、サトシの順でライトボールの光を頼りに坑道を進む。


「あ」

 探索シークに反応があった。20メートルほど先に魔獣が居る。アイはライトボールを前方の魔獣めがけて飛ばす。すると。

「あれは、デュラハンか」

 ルークスの言葉にサトシは気を引き締める。デュラハンは確かな足取りでこちらに向かってきている。

「サトシ、俺があいつの前に立って足止めするから、奴のステータス確認して、戦うか退くかを決めろ。で、戦う場合は俺を避けて攻撃しろよ。俺に当たると全部無効化されるからな」

「わかりました」


 ルークスはデュラハンに向けて足を進める。デュラハンはルークスが近づくと、剣を大きく振りかぶり、ルークスの頭めがけて振り下ろす。


 キィーーーン!

 甲高い金属音と共に、ルークスの頭上に魔法陣と文字が現れる。

『無効』


「おい、どうだ。こいつの能力は?」

 サトシはステータスを確認し、絶句する。


「デュラハン Lv88 HP:172862/172862 ATK:15891 DEF:18254 吸収:火 耐性:水 土 風 光 闇」


「無理ですよ。これ」

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