サトシ空を飛ぶ
三人は冒険者ギルドから出ると、大通りを進み街の外へと向かう。
「で、依頼の場所だけど、北部平原って何処?」
サトシはルークスに尋ねる。
「なんだよ。それもわからずに受けたのか。まあいいや。北部平原ってのは、エンドゥの北に広がってる平原だ。」
「そのまんまだな。」
「まあ、仕方なかろ?で、とりあえず範囲が広いから、上空から探ろうと思うけどそれでいいか?」
「上空から?」
「ああ、上空から。」
「どうやって。」
「飛べばいいだろ?」
「だからどうやって?」
「魔術で。」
「そんな魔術あるの?」
「あれ、飛べない?もしかしてお前たち使える魔法少ない感じか?」
ルークスのその言葉にサトシは期待する。
「ってことは、ルークス。あんた魔法結構使える?教えてもらえる?」
「お、おれの重要性が理解できて来たかなぁ?いいぜ!教えてやるよ。いろいろと。何でも聞いてちょうだい!」
「マジか!いや、ちょっと誤解してたよルークスさん。少し態度を改めます。」
「良いね。素直な子は好きだよ。じゃあ、飛ぶならどっちがいい?無属性と風属性。」
「いろんな飛び方があるの?おすすめは?」
「風はちょっとコツがいるかな。スピードが速いからな。無属性だと重力操作だから移動は楽だな。」
「じゃあ、無属性でおねがいします!」
「お、いいぜ!まず、魔法名は『反重力』だな。で、魔法陣はこれだ。」
と、ルークスはサトシの目前に魔法陣を表示する。
「な!こんなことできるのか?」
「ああ、いま目の前に魔法陣見えてるだろ?これをイメージして使えばいいよ。」
サトシは狂喜する、表示された魔法陣は複雑な形状をしており、見るからに強力そうで魔法の書にも記載が無かったものだ。
「ちょっと、やってみる。」
そう言うとサトシは魔術錬成を行う。
「反重力」
すると完全に無重力状態になったように体がふわふわと宙に浮く。そして念じる方向に音もなく平行移動する。上下左右前後、自由自在に動くことができた。移動速度もかなり早い。原付程度の速度は出ているだろう。
「うひょ!これは楽しい!はやい!すごいな。これ!」
サトシは喜びのあまり語彙力を失っていた。が、はたと我に返る。
「アイはどうすればいい?」
アイは無の属性適合を持っていない。このままではアイを置き去りにしてしまう。
「大丈夫だ。触れていれるだけで同じ効果を受ける。接触していないと落っこちるけどな。良いよ。アイは俺が連れて行こう。」
「いや。サトシと一緒に行く。」
「な!なんでだよ?」
アイはルークスにはずいぶん冷たいようだ。
「ルークスさん。あんたアイに何したんだ?」
「何もしてねぇよ。むしろひどい仕打ちを受けてるよ!」
ルークスの言葉はアイには届いていないようだった。サトシが地面に降り立つと、アイはサトシの横にあゆみより手をつなぐ。するとサトシと同様に宙に舞い上がることができた。
「すごいな。これ。便利じゃん。風魔法だともっと早く動けるの?」
「まあな。今の3~4倍くらいはスピード出るかな。」
「じゃあ、転移魔法使わなくてもヨウトとエンドゥ行き来できる?」
「いや、出来なくはないけど厳しいだろうな。転移の方がいいよ。」
「なんで?」
「最大速度でも半日はかかるからな。それに、なにより目が乾くし疲れるぞ。ノーヘルでバイクに乗ってるみたいなもんだ。」
「そうかぁ。」
と納得しかかって、サトシは引っ掛かりを覚える。
「ノーヘル!?バイク!?」
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