表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
サトシの譚
34/343

レベル上げ

 畑の後ろにある小高い丘に登る。

 ここを超えると小屋からは見えない。

「このあたりでならレベル上げしててもジルにはバレないだろう。」

 手に持った鉈を振りながら、動作の確認をする。練習を繰り返すが、攻撃範囲の狭さは否めない。ここは危険度の低い動物から倒す必要があるだろう。

「まずはリスあたりで腕試しかな。」

 SNSに投稿すれば炎上必死のセリフを吐きながら周囲を見渡す。まずは周囲に何本か生えている木の近くに寄ってみる。リスが居そうな気配はない。

「リス出てこい。リス出てこい。」

 すると、枝の間からリスが駆け下りてくる。

「来た!」

 と勢いよく鉈を振り回すが、リスには届かず、鉈をひらりと躱すと姿を消した。

「次だ!さあ出てこい!」

 繰り返してはみるが結果は同じ。2度、3度と繰り返すが状況は変わらない。

「出てこい!」

 すでに50回以上は繰り返しているが進歩がみられない。が、そうしているうちに

 

 テッテレー!

 待ちに待ったメロディーが頭の中に鳴り響く。

「剣の熟練度が向上しました。」

『剣?』

 そんな項目あっただろうか?とサトシは首をかしげ、早速確認する。


『ユーザー:サトシ  職業:子供 LV:1 HP:5/5 MP:1/1 MPPS:1 STR:1 ATK:1 VIT:2 INT:1 DEF:1 RES:1 AGI:2 LUK:9 EXP:8

 スキル:念願☆☆ 切願 自己暗示 剣:Lv1』


 スキルパネルの横に、剣を持った人物のシルエットが描かれたパネルが現れた。

「攻撃力とかのほかに武器の熟練度もあるのか。ってか、鉈って剣扱いなの?」

 素朴な疑問である。振り回し方からすれば同じ扱いなのかもしれないが、随分大雑把な印象が否めない。サトシは無理やり納得することにした。

「経験値は増えないけど、熟練度が上がるならまあいいか。よし。続けるぞ!さあ、出てこい!!」

 そこから延々々光景の繰り返しである。サトシは作業ゲー好きであった。なので、RPGではレベル上げに没頭するあまり、ストーリーの進行を忘れることがしばしばあった。カンストにこだわり、ゲームバランスの崩壊などお構いなしといったプレーヤだ。なので、確実に成長が見込めるのであれば100回や200回の作業など何の障害でもなかった。


 テッテレー!

 メロディーが頭の中に鳴り響く。

「切願の熟練度が向上しました。」

 

 リス発生の確率が向上し、より効率が上がる。


 テッテレー!

 またメロディーが頭の中に鳴り響く。

「剣の熟練度が向上しました。」


 先ほどよりも鉈の軌跡は鋭くなっている。が、まったくリスに当たる気配がない。これでは素振りと同じであるが、本人は全く意に介していないようだ。


 テッテレー!

「切願の熟練度が向上しました。」


 テッテレー!

「剣の熟練度が向上しました。」

 

 流石のサトシにも疲労の色が見えてきた。ステータスを確認する。 

『ユーザー:サトシ  職業:子供 LV:1 HP:1/5 MP:1/1 MPPS:1 STR:1 ATK:1 VIT:2 INT:1 DEF:1 RES:1 AGI:2 LUK:9 EXP:8

 スキル:念願☆☆ 切願☆☆ 自己暗示 剣:Lv3』


「そろそろ回復しないとまずいかな。」

 サトシは自己暗示をかけHPの回復をはかる。


 テッテレー!

「自己暗示の熟練度が向上しました。」

「お、こっちもか。」

 熟練度やパラメータが上昇するのはうれしい物である。サトシは喜び勇んでステータスを確認する。

『ユーザー:サトシ  職業:子供 LV:1 HP:2/5 MP:1/1 MPPS:1 STR:1 ATK:1 VIT:2 INT:1 DEF:1 RES:1 AGI:2 LUK:9 EXP:8

 スキル:念願☆☆ 切願☆☆ 自己暗示☆ 剣:Lv3』


「まだ回復が要るな」

 再度自己暗示で回復する。すると、HP:4/5となった。


「あれ?上昇率上がった?」

 午前中のHP回復量は1だったはずだ。自己暗示の熟練度が上がったことで回復量が向上しているようだ。サトシはにやりと笑う。

「これはイケるんじゃないか?」

 また自己暗示で俊敏性の向上を試みる。

『ステータス、小数点表示。俊敏性向上』


 テッテレー!

「素早さ向上しました。」

 早速数値を確認する。


『AGI:2.0029999999999999』

 確かに向上している。さっきまで1/1000だったものが2/1000となっている。

「自己暗示の熟練度が上がると、もっといけるんじゃないかなぁ。どうせリスすら倒せないんだし、やってみるか。」

 さすがに先ほどまでの素振りは心に来るものがあったようで、2/1000の向上でも上がるんならいいのではないか?という結論に達した。

「俊敏性向上、俊敏性向上……」

 自己暗示をかけるたび、あの軽快なメロディーが頭の中に鳴り響き、無機質なアナウンスが飛び交う。草原に正座し、傍らに鉈を置いて念仏を唱える少年がそこにいる。それは一種奇妙な光景だったが、本人は至って真剣だ。


 テッテレー!

「自己暗示の熟練度が向上しました。」

 ここで再度ステータスを確認する。

『AGI:3.9999999999999999』

「ていうか桁数多いな」

 ずいぶん今更な気付きであるが、自己暗示で表示を変更する。

『AGI:4.000』

 数字が丸まったことで随分見やすくなった。ここで再度俊敏性の向上率を確認すべく自己暗示をかける。

「俊敏性向上」

 

 テッテレー!

「素早さ向上しました。」

 問題の数値は

『AGI:4.004』

 当初の4倍、と言えば聞こえはいいが、4/1000である。普通ならこれで能力を上げようとは思わないが、サトシは違った。

「ようし。きたー。」

 ノリノリであった。その後目を瞑り、正座したまま動かなくなる。頭の中で

『俊敏性向上、俊敏性向上、俊敏性向上……』

 エンドレスで唱え続ける。そのたびに鳴り響くメロディー


 テッテレー!

「自己暗示の熟練度が向上しました。」

『お!来た!!』

 改めてステータスを確認すると

 

『ユーザー:サトシ  職業:子供 LV:1 HP:5.000/5.000 MP:1.000/1.000 MPPS:1.000 STR:1.000 ATK:1.000 VIT:2.000 INT:1.000 DEF:1.000 RES:1.000 AGI:16.004 LUK:9.000 EXP:8.000

 スキル:念願☆☆ 切願☆☆ 自己暗示☆☆ 剣:Lv3』 


 何もせず、小一時間ほど念じ続けてここまで敏捷性が上がっている。正気の沙汰とは思えないが、サトシは満足げだ。


「あれ?」

 スキルパネルに無地のパネルが一つ増えている。当然グレーアウトしているが、何か新しいスキルを獲得できそうな雰囲気だ。サトシは『切願』と『自己暗示』について内容を確認する。

『スキル:切願 望む事象が60%の確率で発現する』

『スキル:自己暗示 自らの身体に望む事象が80%の確率で発現する』


「80%はでかいなぁ。でも自分の体だけなんだよなぁ。切願だと周りにも作用するからなぁ。良い所取りできないかなぁ。」


 ピロン!

「スキル合成しますか? Yes   No」

 軽快な音とともに、目の前にメッセージが現れる。

「合成できるの?これどっちのスキルが効いてるんだろう?まあ、いいか。できるんならやってみよう。Yes!」


 テッテレー!

「スキル合成に成功しました。新たなスキル『催眠ヒュプノシス』を獲得しました。」

『お~っし!来たぁ!!』


 早速スキルを確認する。3枚のスキルパネル『念動☆☆』『切願☆☆』『自己暗示☆☆』がすべてグレーアウトしている。そしてその下に新たな『催眠ヒュプノシス』が現れた。サトシはさっそく内容を確認する。

 

『スキル:催眠ヒュプノシス 動植物に対して80%の確率で望む事象を発現させる。』

 サトシは両手を高々と上げ歓喜に震えた。確率の上昇と対象の拡大は大きなアドバンテージとなった。と、そこで使用方法について思案し始める。

「さっきまでは自分に暗示をかけてたけど、動植物にも効くってことだよな。リスにもかかるんじゃね?」

 そう、リスを誘い出して、動きを止めることも可能なのでは?と考えた。論より証拠である。早速試してみる。

「リス発現、行動不能スタン!リス発現、行動不能スタン!」

 すると、目の前に金縛りにあったように動かないリスが現れる。サトシは目を見開き、慌てて鉈を取りその首めがけて振り抜く。

 リスは首に致命傷を受け瞬時に絶命する。その時


 テテレテーレーテッテレー!!

 ファンファーレのような音楽が頭の中に流れる。勝利のメロディーとでもいうのだろうか。

「経験値8獲得、サトシのレベルが2に上昇、体力の最大値が上昇しました、腕力が向上しました。攻撃力が向上しました。生命力が向上しました。素早さが向上しました。運が向上しました。」

「おおぉ!すげー。レベル上がった!ってか、リスでレベルが上がるってどんだけステータス低いんだ」

 思うところもあるが、ひとまずはレベルアップの喜びに酔いしれるサトシだった。ひとしきりガッツポーズやら小躍りをして、はやる気持ちを抑えながらステータスを確認する。


『ユーザー:サトシ  職業:子供 LV:2 HP:8.000/8.000 MP:1.000/1.000 MPPS:1.000 STR:2.000 ATK:2.000 VIT:3.000 INT:1.000 DEF:1.000 RES:1.000 AGI:20.004 LUK:12.000 EXP:16.000

 スキル:催眠ヒュプノシス 剣:Lv3』


 さっきまでちまちまと俊敏性を上げていたのがばかばかしくなる上昇幅だ。体力まで回復している。サトシは気持ちを落ち着けて、これからの作戦を練ってみる。

「あれ?催眠は確率良いけど、切願でも今のはできたんじゃないか?」

 そんな考えにたどり着いた。切願でもリスをその場で行動不能にすることは可能だったはずだ。確率は低くても、4/1000ずつパラメータを上げていくことから思えば、よほど効率的だったのではないだろうか。そのことに気づき、一気に落ち込む。

「浮かれすぎてたな。ちょっとこれからは慎重に作戦を練ろう。」

 そう心にとどめながら、目の前を見ると、リスの死骸がある。当たり前である。今リスを倒したんだから死骸がそこに転がっていて当たり前なのだが、

「やっぱりゲームじゃないのか。」

 という何ともしっくりこない気持ちになる。ゲームなら、敵を倒すと、その死体は瞬く間に消えてしまう。そういう約束になっている。しかし、目の前には血を流すリスの死骸がいまだ横たわっている。サトシは無理やり気持ちを切り替える。

 

「せっかくの獲物だし。おいしくいただくか。」

 今のサトシの記憶には、両親が野兎などを調理してくれた記憶がある。持って帰れば喜んで捌いてくれるだろう。この貧しい生活の中では貴重なたんぱく源だ。ただ、リス一匹を4人で分け合うのは無理そうだ。せめて野兎2匹は欲しいところだ。そう考えて、野兎を召喚することにする。

「なんだか召喚魔法みたいだな。」

 そんなことを考えながら、野兎を呼び出し、行動不能にする。目の前には蹲って痙攣している野兎が居る。先程と同様に苦しませずに脊椎あたりを一振りで終わらせる。せめてもの武士の情けである。


 テテレテーレーテッテレー!!

 またも勝利のメロディーが頭の中に流れる。

「経験値12獲得」

 さすがにレベルは上がらなかったがしっかりと経験値を稼いでいる。先程までよりよほど効率的である。もう一匹野兎を捕まえるべく、再度召喚する。

 

 テテレテーレーテッテレー!!

 勝利のメロディーが流れ、

 「経験値12獲得、サトシのレベルが3に上昇、体力の最大値が上昇しました、腕力が向上しました。攻撃力が向上しました。生命力が向上しました。素早さが向上しました。防御力が向上しました。運が向上しました。剣の熟練度が向上しました。」

 レベルも順調に、というか、むしろ上がりすぎな気がするほどのペースで上がっている。むしろこの世界の住人たちはステータスがインフレ気味なのだろうか?とサトシは心配になった。

「それでは恒例のステータス確認っと。もう小数点は要らんな」


 『ユーザー:サトシ  職業:子供 LV:3 HP:12/12 MP:1/1 MPPS:1 STR:3 ATK:3 VIT:4 INT:1 DEF:2 RES:1 AGI:24 LUK:16 EXP:40

 スキル:催眠ヒュプノシス 剣:Lv4』


 異世界初日でスキルを手に入れ、ここまでステータスの向上ができた。十分な当たりスキルだとサトシは満足そうだ。

「さて、獲物も十分手に入れたし。帰るかな。」

 日が傾いてきた、そろそろ魔物が現れる時間帯だ。両親も帰ってくる頃だし、手土産を持って帰宅しようとしたその時。


 ゾクっ!


 背筋に悪寒が走る。背後から何かに狙われている。サトシは直感的にそう感じた。素早く振り返ってから後ずさる。目の前に、先ほどは無かった水たまりのようなものがある。緑とも青ともいえぬ不気味な色合いで、中には何やら臓物のようなものが浮かんでいる。それは一瞬波打ったかと思うと、大きく盛り上がる。目があるわけではないがこちらを窺っているのを肌で感じる。スライムだ!


「スライムって雑魚じゃないのかよ!」

 悲鳴に近い言葉を吐き捨てながらできる限り距離を取る。しかし、スライムはサトシが退いた分だけにじり寄ってくる。

行動不能スタン行動不能スタン行動不能スタン!」

 確率的に効いてもいいはずだが、まったく効いている様子がない。サトシはとっさにスライムのステータスを確認する。

 

『グリーンスライム LV:5』

 表示される情報が少ない。が、レベルが高いことから今のサトシより強いことは明らかだった。そして『自分のレベルが低いからスキルが効いてい』という考えに行きついた。となると今サトシが使える攻撃手段は斬撃のみだ。これは非常に分が悪い。


『考えろ!何ができる?奴に催眠ヒュプノシスは効かない。斬撃も無理だ。何ができる』


 距離を取りながら考えを巡らせる。スライムはゆっくりと、しかし確実に距離を詰めてきている。

『背中を向けて逃げるか?いや、奴のスピードがわからん。一気に間を詰めて背後から襲われるかもしれん。』

 考えれば考えるほど、窮地に追い込まれてゆく。今自分ができる事で状況を打破しなければならない。

 

『奴に催眠ヒュプノシスは効かないなら、自分にかけるか?」

 デバフがダメなら、バフをかける。思いついたら行動は早かった。

行動加速ヘイスト行動加速ヘイスト行動加速ヘイスト!」

 サトシが予想した通り魔法と同様の効果が得られた。瞬間的にサトシの動作速度が速くなる。サトシからすれば周囲の時間がゆっくり流れている感覚だ。これがいつまで続くかわからない。が、今はできる事をやるだけだった。

 咄嗟にスライムの懐近くまで飛び込み、鉈で斬撃を加える。一撃、二撃、三撃。手ごたえは無い。切っても切っても、泥水に刃を立てている感覚だ。埒が明かない。するとサトシは咄嗟に鉈を持ち替える。ちょうどテニスのラケットを持つような形になった。空気抵抗を感じながらもサトシは振り抜く。するとスライムの体の一部が抉られてはじけ飛ぶ。

 いける!サトシはそう思った。

『腕力強化!行動加速!』

 バフの重ね掛けをしながら、スライムの体を徐々に削っていく。ゼリー状の部分がどんどん少なくなり、中央の内臓が見え始めた。

『後少し。』

 という思いが隙になった。

 スライムの体が棘状になり、サトシの左肩を貫く。

「ぐぁっ!」

 サトシはたたらを踏みながら後ろによろめく。それを逃さずスライムが覆いかぶさってくる。

『やばい!喰われる!当たれ!!!』

 激痛に悶えながら、かろうじて動く右手で覆いかぶさってくるスライム目掛け鉈を振り抜く。


 ザシュ!!

 

 斬撃に手ごたえがあった。やみくもに放った一撃が、サトシを捕食しようと表面に出ていた内臓に直撃していた。一瞬スライムは停止したかと思うと、


 バシャン!!!


 バケツの水をひっくり返したように水しぶきとなって消えた。地面には切り付けられた内臓と水たまりだけが残っている。


 テテレテーレーテッテレー!!

 勝利のメロディーが流れる。

 「経験値30獲得、サトシのレベルが4に上昇、体力の最大値が上昇しました、腕力が向上しました。攻撃力が向上しました。生命力が向上しました。知性が向上しました。素早さが向上しました。防御力が向上しました。運が向上しました。剣の熟練度が向上しました。棍棒の熟練度が向上しました。催眠の熟練度が向上しました。」

 

 どさくさに紛れていろんなものが上がったような気がするが、それを喜んでいる気分ではなかった。サトシには勝てた理由すら今一つ理解できていない。どっと疲れが出て、その場に仰向けに倒れ込んだ。

 ステータスアップの効果で体力も回復している。精神的に疲れてはいるが、起き上がって帰れないほどではない。

「ふう。」

 安堵のため息とともに、ステータスを確認してみる。


 『ユーザー:サトシ  職業:子供 LV:4 HP:18/18 MP:1/1 MPPS:1 STR:4 ATK:4 VIT:5 INT:2 DEF:3 RES:1 AGI:30 LUK:20 EXP:70

 スキル:催眠ヒュプノシス☆ 剣:Lv5 棍棒:Lv1』


 ステータスが上がった喜びより、スライムから逃げ延びた安ど感の方が大きかった。

 

「痛っ!」

 激痛がサトシの肩を襲う。体力は回復したが傷は治っていなかった。これを放置すると、体力も削られていくようだ。まずは治療に取り掛かる。肩に手をかざしながら、

「治癒しろ!治癒しろ!」

 すると、傷口からスライムの一部と思われる緑色の液体が流れ落ちる。その後肉が盛り上がり傷はみるみる消えてゆく。が、そこにすさまじいまでの痒みが襲う。

「うわ!痒っ!!」

 回復を急速に行うと痒みを伴うようだ。どちらかと言えば痛みもあるので、痛痒いと言ったところだが。一通り治癒が終わり、周囲に魔獣が居ないことも確認できたので帰路に就くことにする。日は沈みかかっている。早くしないとまた襲われることになる。もう一度あんな激闘をするのはご免だ。サトシはそんな気持ちだった。比較的遠くに放り投げていたリスと野兎を拾い上げると、軽い足取りで小屋へと帰っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ