表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
324/343

閑話休題

「俺の親族……じじい達か」

 カールさんはそうつぶやくと押し黙る。カールさんの親族って王族に関係あるのか?

『サトシは知らんだろうな。一応俺から簡単に説明してもいいんだが、取り急ぎ天命の書板タブレットで確認してくれ』

 フリードリヒさんから念話チャットが飛んできた。天命の書板タブレットで、ときたか。そんなことまでわかるもんなの?

 と思ったら、結構詳細な説明が出てきた。どうやらカールさんの親族はかなり有名な方々らしい。書板タブレットにはカールの祖父・伯父の人生がつづられていた。

 生い立ちなどは読み飛ばし、カールさんの祖父、レオポルドが王国騎士団から英雄騎士団ダークナイトへと配属されたあたりに目を移す。

 

 騎士団の中でも飛び抜けた魔力と身体能力を持つレオポルドと、知略・謀略に秀でたフェルディナンドの二人は、騎士団最年少で英雄騎士団ダークナイトに抜擢された。

 騎士団は王国の秩序を守るための行政府の配下となる。つまり、実質的な命令権者は国王ではなく行政の長、当時は宰相だった。

 しかし、英雄騎士団ダークナイトは、国王直属。つまり名実ともに国王の剣である。あくまで国王を守るために存在し、反逆者は国政の中枢を担う物であろうとも容赦なく葬り去る。それが英雄騎士団ダークナイトだ。国民にその事実は告げられておらず、王国騎士団の精鋭特殊部隊や、勇者と同列に見ているものも少なくない。


 とのこと。

 なるほどね。カールさんのおじいさんはそんな大変な仕事についてたんだぁ。まあ、よくわからないけど。にしても、そんなおじいさんから、随分のんびりした人が生まれたもんだなぁと感心するばかりだ。

 お、いかんいかん。オットーさんの話に追いつかねば。


「お前さんにとっちゃぁ、英雄騎士団は、騎士団の上位互換くらいにしか見てねえんだろうが、本来はそんな生易しいもんじゃねぇ。国王の政敵を人知れず葬り去る、闇にまみれた特殊部隊だよ」

 カールさんはオットーさんの言葉を聞きながら、視線を落として静かに答える。

「ああ、そうらしいな」

「なんだ、誰かから聞いたのか?」

「フェルディナンドだな」

 フリードリヒさんの言葉に、カールさんは静かにうなずいた。


「ま、なら話は早えぇや。だから、現国王が政策遂行するにあたって、敵対勢力が余計な動きをしないように英雄騎士団ダークナイトが暗躍してたってことだ。まあ、そんなだからあんな盆暗でも国王としてやってられたってことだな。頭として担ぐには、中身が空っぽで軽い方がいいからな。考えなしの国王ほど扱いやすいもんはないさ」

「ひどい言い方ですね。でも、それじゃあ今臥せってるのは敵対勢力が……」

 エリザさんの疑問にオットーさんは首を振りながら答えた。

「いや、ありゃ臥せってるわけじゃねぇよ」

「臥せってない?と、いいますと?」

「そういう噂を流してるだけだよ……っと。話が随分それたな。タオパの話だっけ。もともとは」

「そうだな。話を戻そう」

「そうなんですか?」

 エリザさんは国王の話題を続けたいようだが、オットーさんとフリードリヒさんはそそくさと話を戻す。

 冷静な判断ですね。カールさんが不機嫌になってます。あんまり身内の話をほじくり返してほしくないんでしょうね。


「で、タオパ伯爵についてだが、昔はウルサンにも王都にも影響力を誇示してたんだけどよ。あまりに好き勝手やるもんだから、しっぺ返しを食らったんだな」

「国王からですか?」

「いや、飼い犬に噛まれた格好だな。奴はブギーマンのことを手足のように使ってたつもりだったんだが、実際は逆だったってことだ。先々代の頃からブギーマンに良い様に踊らされてたってことだな。こっちもおんなじだよ。無能な貴族を持ち上げて、上手くやってたブギーマンだが、その無能な頭が余計なことをやり始めたもんだから、厳しく躾けたってところだろうな」

「そういえば、そんなことをカルロスも言ってましたね」

「物まねは要らんぞ」

 あらだ。フリードリヒさんから釘刺された。


「で、厳しくしつけられたタオパ伯爵家は、外遊と称して僻地での隠遁生活を余儀なくされてたわけだが、カルロス不在となった今、ブギーマンの力が弱まったと見て、栄華を極めているウルサンを手中に取り戻そうと舞い戻ってきたわけだな」

「あ~。なるほど。じゃあ、一族郎党消し去りますか?」

「「「おい!」」」

 ありゃ。ヨハンさんにすら突っ込まれた。

「確かにお前なら……というか、お前とカールなら何の苦も無く消し炭にしちまうんだろうけどよ。そりゃぁ極端すぎるぜ」

「でも、中途半端に躾けると、今回みたいにいずれ復活を画策してきますよ。やるんなら徹底的にすべきでしょう?遺恨を残さず、関係者を皆殺……」

「まてまてまて!言うて、相手は貴族だぞ。関係者って言いだしたら、果ては王国内にもわんさといる。それに、どこまでが関係者かすら掴めん。そうなると手あたり次第殺すことになるだろうが!」

 フリードリヒさんの言うことももっともだ。でも

「範囲広げたら」

「人類皆殺しにする気か!?サトシ。お前ちょっと黙っててくれるか?」

 あれ。俺おかしなこと言ってます?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ