告白
随分考え込むな。
なかなか答えが帰ってこない。
カールもエリザも流石に心配そうな面持ちになってきた。
が、感情が見える俺からすると、随分奇異な状態に見える。
「なあ、サトシ。お前ルークスのことどう思ってんだ?」
オットーもたまらず質問する。どうやらオットーも俺と同じように感じていたらしい。
「どう……ですか」
サトシは再び考え込む。
話して良いものか悩んでる感じか。
「ルークスが転生者だってことは、奴からも聞いてる。そのあたりは話しても問題ねぇと思うぜ」
俺がそう言うと、サトシは軽い驚きの表情を見せる。
そして、しばらくすると記憶を整理するようにポツポツと話し始めた。
「そっすね。ルークスさんも俺と同じ転生者です。
いや。同じではないと思うんですよね。たぶん」
「同じではない?」
オットーが復唱しながら先を促す。転生者についてはスルーだな。
以前、サトシが転生者であることをカールたちには伝えていたことで、奴らも転生者についてはある程度理解ができているようだ。
「魔王…さんは、転生者についてはどのくらいご存知なんですか?」
「フリードリヒでいい」
「じゃあ、フリードリヒさん……」
サトシはそこで言葉を切る。そして沈黙。
その先に言いたいことは何となく分かる。
「俺も転生者じゃないか?ってことか」
サトシは俺の言葉を聞いてゆっくりと頷く。
さて。どうしたもんかな。ここでごまかしたところで話がややこしくなるだけだしな。
「そうだな。お前の想像通り。俺も転生者だ」
カール、ヨハンソンは驚きの表情を見せるが、オットーとエリザに驚きはない。まあ、知っていたってことだろうな。
「転生者って、おい」
「日本人ですか?」
カールの言葉をサトシが遮る。
「ああ、日本人だ」
「そうですか。他にもいたんですね。転生者」
サトシに懐かしさや親しみ、安堵の感情が現れる。この様子だと年相応の青年に見えるな。
「ルークスさんからはどんな話を聞いてますか?」
穏やかな感情から一転して、探るように質問してきた。なるほど。ルークスの死に対してそれほど悲しみを感じていなかったのはこういう理由か。
「その様子だと、お前さんもルークスのことをあまり知らないみたいだな」
サトシは俺の腹を探るように俺の目を見据える。
「そうですね。ルークスさんに質問してもはぐらかされましたから」
「まあ、俺もそれほど詳しく話を聞いたわけじゃない。奴も日本人転生者だってことくらいかな」
「そうですか」
サトシは望むような情報が得られないと思ったのか、それ以上は質問せず黙ってしまった。
仕方ないな。こちらから話を振ってみるか。
「一応、ルークスの事はよくわからんが、俺が知ってる転生者について少し話をしよう」




