邂逅
色を失うほど輝く空を見上げながらしばらく呆然と立ち尽くしていた。
「どっすか?」
その声でハッと我に返る。
「な!何をやった!?」
サトシを問い詰めるが、サトシはにやにや笑いながら満足そうだ。
上空では天使たちが動きを止めている。と、思ったら一気に上空から降下してきた。
ザザザザザァァァァーーーーーーー!!!
虹色の殺人虫ドローンが視界を覆う勢いで降り注いでくる。
慌ててティンクルバリアで避けるが、雹の様に降り積もり地面を虹色に染めてゆく。
何が起こった!?
「電……パ……すよ」
サトシはしたり顔で俺に話しかける。が、ざあざあと降り注ぐ殺人虫ドローンの音で良く聞こえない。
「なんだって!?」
それを察してか念話で伝えてきた。
『電磁パルスです』
『電磁パルス!?あ、EMPって言ってたのはそれか!』
『です。覿面でしょ?』
『なるほど。電磁パルスでドローンの制御回路を焼き切ったか。でもどうやって?』
『核ですよ』
核?あ!
『覚えてます?核弾頭拾ったの。前回の殺人虫ドローン見たときに、使えそうだなぁと思ったんですよね』
サトシはいたずらが成功した少年のような笑顔で嬉々としていかにこの作戦を思いついたかを語り始める。
いや、確かにすごいけどさ。でも……
『俺たちの街に被害はないか?』
『それは大丈夫ですよ。まあ、多少はあるかもしれませんが、俺電子回路はあんまり作ってないですから。すぐに復旧できる程度ですよ』
『まあ、それなら良いけど……あ、これも買い取ってもらえるんじゃね?』
『これ(殺人虫)っすか?いけますかね?』
『でも、見た目奇麗だろ?』
『まあ、そっすけど。価値ありますかね?』
『こんだけの数だぞ。玉虫厨子も大量生産できるんじゃないか?』
『要ります?それ』
『しらんけど。まあ、欲しがる奴は居るんじゃない?』
そんなことを話しなしていると、ようやく殺人虫ドローンの雨は降り切ったようだ。
サトシは辺りに降り積もる殺人虫ドローンの亡骸を燃やし始める。
「おい!燃やすのかよ!」
「要りませんよぉ。やっぱり」
まあ、確かに要らんか。
ただここまで大量だと何かに使えそうなんだよなぁ。貧乏性なのかなぁ。と、虹色の大地を眺めていると、かなり遠くの方からこちらに駆けてくる人影が見えた。
ゾクッ!
なんだ!?この気配。えげつないのが来るぞ。おい。
慌てて俺はステータスを確認する。
『カール 職業:ルーキ冒険者 LV:60 HP:43200/43200 MP:5,062,653,600/5,062,653,600 MPPS:1,000,000 STR:1200 ATK:4200 VIT:1200 INT:150 DEF:4200 RES:510 AGI:2400 LUK:64
スキル:結晶操作「極」 観念動力「極」 剣:Lv788 棍棒:Lv622 槍:Lv531 斧:Lv382 体術:Lv882 魔術 火:Lv8』
なんだよおい。一難去ってまた一難か。ある意味カルロスよりやべえじゃねぇか。
ん?
化け物じみた魔力で……
ルーキー冒険者のカール?
こいつか?サトシが言ってたやつは。
その周りにはどうやらSランク冒険者らしき奴らもいる。うわぁ。ヤバいのに見つかっちゃったな。
と、周囲を見回していると、その先にあるひときわ大きな気配に気づいた。
こいつか。さっきの悪寒の原因は……
『フリードリヒ 職業:??? LV:666 HP:820360/820360 MP:700,002,112/760,072,896 MPPS:700,000 STR:5994 ATK:8494 VIT:5994 INT:999 DEF:8494 RES:15651 AGI:3996 LUK:672』
まずいな。こいつは。
その男がサトシに向かって声をかける。
「お前は誰だ。何てことしてくれるんだ!」
フリードリヒと表示されている男が詰問する。
が、サトシは返答に困っているのか、カールの出現に戸惑っているのか……黙ってしまった。
その様子を見て返答が来ないと察したからか、今度は俺に視線を向ける。
「おい。お前一体なんだ?」
読んでいただいてありがとうございます。
ひとまず第3部はこれで終わります。




