同じ穴の狢
「なんで俺に付いた?」
そう。俺に付いたんだけど。「痛覚無効」スキル。
俺はてっきり「痛覚無効」状態になるんだと思ってたんだが、スキルとして発現しちゃった。なにこれ?このスキルもらえるの?
と、手にしている天命の書板の表示が更新される
「「観念動力(極)」:ステータス及びスキル強化・合成等が可能」
おいおい。大丈夫かよ。結構ぶっ壊れスキルじゃない?これまた。
「スキル発現したんですね」
「軽いね。結構エグい内容だと思うんだけど……」
「そっすか?俺昔から結構ポコポコスキル付いてた気がしますし……」
あ~。サトシにとっては普通なんだね。まあ、「創造主」持ってるくらいだしな。でもまあ、普通に考えてスキルを自由自在にできるってゲームとしてどうなの?とは思うが……気にしたら負けなんだろうな。よし。あるがままに受け入れることにしよう。
というわけで、無事痛覚も無効化されたことだし、ちょっと試してみよう。
ちなみに、「観念動力(極)」でできる事って何だろう?
すると、再度天命の書板の表示が更新される
「観念動力(極)により使用可能となる技・術
無属性魔術、行動不能、行動加速……」
なぬ!無属性魔術使えるようになるのか。これデカいな。まあ、俺もサトシも属性適合持ってるから意味ないけど、テンスたち「ユーザー」も転移や反重力使えるってことだよな。めちゃくちゃ有意義じゃね?
加えてできる事も多岐にわたるようで、書板に入りきらない。タブレットの様にスワイプしながらスクロールすると山のように技・術が列挙される。いやはやこれまたぶっ壊れスキルですな。そう言やこれ、サトシが以前持ってたスキルだよな。無茶苦茶だな。
と、スクロールしてゆくと
「……核融合、核分裂、粒子加速、錬金術」
おいおいおいおい!!
なんだよこれ。誰だこの仕様を考えたゲームクリエイター。バカじゃないの!?
「どうしました?」
「いや。今「観念動力(極)」で使える技を調べてたんだけど、核融合やら錬金術までできるぞ」
呆れ気味に俺が言うと、
「ああ、確かにできますね」
「は?」
「はい。できますよ。核融合」
「やったの?」
「はい。やってみました」
「マジで!?」
「いや、やってみたんですけど……重水素やらトリチウムまで作ったのに、結局ヘリウム原子1個作るのが関の山だったんですよね。って。あ!今ならもっとできるかもしれませんね。って、「創造主」で好きな物質作れますから特に必要ないか……」
「いやいや。経験済みかよ。お前恐ろしいな」
「まあ、出来たところでそれで発電できるわけでも無くて。それなら天命の書板で原子炉作る方がよっぽど有意義ですよ」
「お、おう。何が有意義なのかはよくわからんが。お前がそう言うならそうなんだろうな」
なんだかとんでもない領域まで行ってない?この人。
さて、それはさておき
「じゃあ、もう一回模擬戦行ってみるか?」
「あ、痛覚無効確認するんですか?」
「そうね。ちょっと怖いけど。っておい!即死攻撃禁止だからな!頼むぞ!せいぜい足止めだけにしてくれよ!」
「わかってますよ。当たり前じゃないですか。人をサイコパスみたいに言わないでくださいよ」
サイコパス以外の何者なんだよ……
というわけで、第2回戦の始まりだ。
「いざ!尋常にってか」
「さ、いつでもどうぞ!」
余裕だな。ま、当たり前か。




