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中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
生方蒼甫の譚
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全能の逆説

「あ、で。さっき何言ってたんですか?」

 今かよ。

「いや。スキル付与するときに合成もできるみたいだよって」

「ああ、それですか。やってみたんすよ。合成」

「すでにやったのかよ!?」

 相変わらず早ぇなぁ

「はい。取り敢えず、絶対防御を重ねてみたんですけど……全く同じスキルだと意味無いみたいで」

「ああ、で?」

「それで、治癒と吸収を付与してみたら、なんか新しいの出来たんですよ」

 と、言いながらサトシはネックレスを俺に見せる。

「これか?「ステータス」」

「再生の首飾り:再  生☆☆:ダメージによる回復(中)+常時回復(中)+損傷治癒(中)+状態異常回復(中)」

「これ結構すごいな。治癒ヒール要らずじゃん」

「ですよね。これで合成できる!って気づいたもんですから。他もいろいろ試してみたんですよ」

 なんだよこいつ。チャレンジ精神お化けか?失敗する恐怖心ってないのかね。


「で、次にやってみたのがこれなんですけど……」

 と、俺にメリケンサックを手渡す。

「ステータスっと」

「逆鱗のナックルダスター:豪  力☆☆☆:力+80%、敵対者に対する行動不能(強)+回避不能(強)+魔力低下(中)+防御力低下(中)

「これは何を付与したの?」

「怪力と威圧です」

「ああ、そのまんまって感じか。ちょっと強くはなってるっぽいけど」

「ですよね。なんかこの感じ「合成の壺」っぽいなぁと思ったんですよね。で、ちょっといろいろ試してみたんですよ」


 ホント凄いな。まずは調べるってことをしないのかね?

 まあ、俺が「天命の書板」の存在をちょいちょい忘れるのが悪いのかもしれんが……


「で、ステータスアップ系を付与したらどうなるかなぁと思ってですね」

 と言いながら、ブレスレットを取り出した。これまたステータスを確認すると


「全能のブレスレット:全  能☆:力+20%、耐久力+20%、知力+20%、素早さ+20%、運+20%、経験値+20%、熟練度+20%」

「おお、なんかすごいじゃん!これ良いね!!こいつ強化していったらいいスキルできるんじゃね?」


「と思いますよね。で、他の奴も全部まぜちゃえ!と思って出来たのが最初の指輪です」


「あ、そういうこと」

 なるほどな。欲張ると痛い目を見るっていう良い例だな。

「そうなんですよね。まあ、まだ作れるスキルも少ないですし。さっきできたスキルも含めてこれから試行錯誤していきますよ」

「そ、そうだな。ああ、頑張れ」

 こいつ凄いな。こういう地道な作業を厭わない姿勢は素晴らしいと思うが……。ちょっと極端なんだよなぁ。まあ、研究者向きなのかもしれんが。


 あ、俺がそうならないといけないんだな。やっぱ向いてないのかなぁ。研究者。


 ま、いいや。


「で、それは良いとして。この出来上がったスキル無効の指輪なんだけどさ。どうする?」

「どうするって……なんか利用価値あります?」

「そうなぁ……。まず、ホントにスキル無効化できるのか?だよな。そこを確認しないと」

「そっすね」

 と言いながら、サトシは俺の手をぐいと引く。

「おい!何を……」

 俺の言葉を無視して、勝手に俺の親指にリングを嵌めた。


「な!!何しやがんだ!!」

 すると、目の前に現れるメッセージ


絶対防御アブソリュートディフェンス「極」はすでに無効化されています」

 うおーい!こいつ何したの急に!

「あ、一応効きそうですね」

「「効きそうですね」じゃねぇ!!ちょっと待て。なあ!ちょっと待てよ。お前考え無しに行動してねぇか?」

「いや。確認しようかと思って」

「思ってじゃねぇよ!もしこの指輪が外れなかったらどうするつもりだったんだよ!」

「外れない?」

「だって名前からして「カルマ指輪リング」だよ!呪い系で、一度装備したら外れませんって奴だったらどうするつもりだよ!」

「ルークスさん慎重派なんですね」

 慎重派?慎重派とおっしゃいました?

「いやいや、慎重とか大胆とかそう言う問題じゃなかろ!?」

「大丈夫ですよ。ルークスさんすでにスキル無効化されてるじゃないですか」

 あ……いや。そこじゃない。危ない。納得しかかった。

「そう言う問題じゃねぇよ。これからスキル付与されたアクセサリーが使えなくなるだろうが!」

「あ!」

 すると、サトシはそこで初めて気づいた様な顔をする。

 おいおい。大丈夫かこいつ?

「頼むよぉ。お前の努力……というか、今までの努力が全部無駄になるところだぜ」

「ああ、すいません。そこには思い至りませんでした。で、外れます?今更ですけど」

「ホント今更だよ」

 俺はそう言いながら指輪を外そうとする。と、思うように指輪が抜けない。途端に全身の毛穴が開き汗が噴き出る。が、どうやら関節のふくらみに引っ掛かっただけのようだ。汗のおかげでするりと取れた。

「ふぅ。焦ったよ」

 焦っていたのは俺だけのようで、サトシは涼しい顔でこちらを見ている。

 ナンカムカツクナぁ!!


「それじゃ、もう一度嵌めてもらって、他のアクセサリーつけてもらえますか?」

 俺はサトシからもらったアクセサリーを片っ端からつけてゆく。


 が、やはりアクセサリーを付けてもスキルは付与されなかった。

「やっぱり無効化されるな」

「ですね。カルマ指輪リング外してみてください」

 サトシに言われてカルマ指輪リングを外す。と、目の前にはスキル付与のメッセージが現れる。


「あー。やっぱり効いてますね」

「一応効果はあるんだな」

「どうしますかねぇ。利用価値無さそうですけど……」


 利用価値ねぇ……なんかありそうだけどな。装備しないとだめなのかなぁ?

 

「装備しないとスキル発動しないのかな?体にめり込ませたら効いたりしない?」

「なんでめり込ませる必要があるんですか!?」

 サトシは呆れ気味に反論する。

「いや、俺達の事じゃなくて、敵に使えないかと思ってさ。投擲武器かなんかに付けたらだめなのか?敵のスキル無効化できると楽だけどな」

「あ~なるほど。その使い方ありかもしれませんね」

 そう言うと、サトシはまた研究モードに入った。

 あ~。やっちゃった。こりゃ時間かかるな。

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