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中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
生方蒼甫の譚
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 その後、セナに状況を説明しマンセルから話があれば念話で連絡するよう指示しておいた。

 オズワルドたちとの分け前について相談したがそれも結構もめた。

 奴らが「もっと寄越せ」と言ってくれれば話は早かったんだが、「いらない」というもんだから無理やり渡すのに苦労した。正直金は要らないんだよね。稼ぐ作業は楽しいけど、金自体はうなるほど持っている。オイルマネーって恐ろしい。テンスに言えばいくらでも金を工面してくれるので、今回の報酬も正直なところ全くいらない。本当ならすべてオズワルドたちに渡したいところだったが、恐ろしく丁重に固辞されたので、5等分で手を打った。

 正直なところ割り切れなかったので、オズワルドたちに大目に渡したが、あいつら割り算が苦手らしく……というか全くわかってなかった。「この金額だ!」と言ったら信じていた。最初っからそうすればよかった。時間を無駄にしたよ。

 ということで、依頼達成から素材の処分も含めて丸っと一日かかっちまった。


「あ!」

「どうした?サトシ」

「もう一回エンダさんのとこ行きません?」

「なんで?」

「食べてないじゃないですか。俺達、サンドウルフ」

「ああ、そうね……」

「ノリが悪いですね」

「意味が分からんからさ。食べてないから何?」

「食べましょうよ。せっかくなんだし」

「あ~。そういうこと。そうね。食べたいね。あ!それでエンダにさばいてもらうってことか!」

「そっす。で、小分けにして「格納」しておけばいつでも食べれますし。ね?」

「冴えてるなぁ!いいぞ。サトシ。すぐ行こう」


 というわけで、さっそくエンダの所にUターンだ。


「エンダ!ちょっといいか!」

「なんだよ!まだ何か用か?俺は忙しいんだよ。これから帰ってサンドウルフ食うんだからよ」

「まあ、そう焦るなよ。俺達も自分の分を解体してもらいたいと思ってさ。やってくんない?」

「なんで今頃来るんだよ。もう店じまいだよ!

 ようやくこれから帰れるって時によぉ。痛んじまうだろうが!?せっかくの上物が」

「そんなにすぐ痛まねぇだろ!いや、もしなんだったら俺たちがいったん預かってもいいぜ。時間とまるし」

「な!あ、そうか」

 すると、エンダはしばらく考え込む。そしてなれなれしい笑顔で頼んできた。にやけるなよ。

「なあ?もしできるんなら、肉の2/3ほど預かってくれねぇか?うちは夫婦二人なんだよ。確かに俺は結構な量食うが、それでも一度に一頭分ってことはねえんだよ。で、いくらうまいからって言ってもよ。3日も続けて食わねぇし。だからって近所のやつに配るのはもったいねぇしよ。な?数日預かってもらえると助かるんだ。で、今度持ってきてくれよ。それなら今から解体してやってもいいぜ?」

 ん~。なんだかめんどくせぇことを言ってきやがったな。でもまあいいか。これからいろいろ世話になりそうだしな。そのくらいしても罰は当たらんだろう。


「わかったよ。いったん預かろう。で、次はいつ頃持ってくればいい?」

「いいのか!助かるよ。そうさな。たぶん5日もするとまたあの味が恋しくなると思うんだよな。4~5日後に頼む。そんときも1/3だけもらえるとありがてぇな。残りも一緒だ。また5日後」

 結構要求してくるな。ま、いいか。どうせ近々大量討伐に行くだろうし。

「わかったよ。5日後な。了解」


「よし。そうと決まればこっちも商売だ。きっちり働かせてもらうぜ!」

 そういうと、俺たちが出したサンドウルフをエンダは手際よく解体してゆく。皮をはぎ、内臓を取り出すと、肉を部位ごとに切り分けてゆく。骨や歯もきれいな肉のない状態に仕上げてくれた。流石プロ!お見事でした。


 エンダも俺達もほくほく顔で家路についた。


 ヨウトの自宅につくとサトシはさっそくアイにサンドウルフの肉を手渡す。

「これでステーキ作ってくれない?焼肉でもいい」

 まあ、そうなるよね。俺も食いたいもん。ステーキ。または焼肉。


「そういえば、そろそろ新しい調味料が欲しいんだけど」

「新しい調味料ねぇ」

 サトシも考え込んでいる。でもステーキソースにしても焼肉にしても、やっぱり醤油がいるんだよね。大豆作ってくれねぇかな。

「醤油だよなぁ。ほしいのは」

 つい希望が口から出た。

「ですよねぇ。大豆作りますか?でも大豆だけじゃどうにもなりませんしね」

「そうだよなぁ。色々要るよな」

 麴とかってどうするんだっけ?と、天命の書板を呼び出し覗き込む。


 なになに、米を洗って蒸して、カビを生やす。で、木灰をかけながらカビを選別してゆく……って手間かかりすぎだろ!

 確かに俺はログアウトすればいいが、サトシや自称キャスバルたちは、これがなければ味わうことができない故郷の味覚だ。めんどくさくても手伝うべきかなぁ。


「なあ、サトシ。麹作ってみるか?」

「コウジ?工事?」

「いや、コウジカビ。醤油や日本酒や味噌なんかを作るときに必要なコウジカビだよ」

「麹っすか!?醤油作れるんすか!?マジっすか!?」

 テンションの上がり方が半端ない。そりゃそうだろ。サトシとしては数年味わってない故郷の味だ。恋しくって泣き出した日々などもう忘れそうなぐらいだと思うぜ。


「天命の書板に作り方のヒントが出ててさ。試してみる価値はあると思うんだよね」

 ついでに醤油ができれば、サトシや自称キャスバル以外の転生者も見つかるんじゃないかと思った部分もある。やってみる価値はあるだろう。

 まあ、付き合ってやるか。

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