オズワルド達の活躍
食事が終わってオズワルド達は自分の宿へと戻る。俺たち二人は人気のない裏路地からヨウトへと転移した。
家に帰るとアイが迎えてくれた。
が、あきれ顔だった。
「ねぇ。何やってたの?」
「何って?」
「ずっとファンファーレなりっぱなしだったんだけど。煩くて料理に身が入らない」
ああ、パーティー組んだままだからね。ずっとレベル上がり続けてたのか。いや失敬。
「ほら。アイも自分の身を守らないといけないからさ。レベルだけは上げておこうと思って」
サトシがそう言うと、アイは少しもじもじしながら答える。
「それは……ありがとう」
あら、かわいい。
と思ったら睨まれた。解せぬ。
「だけど、また夜通し?ほどほどにしてね」
「「……はい。すいません」」
おっしゃる通りです。
というわけで、久々に家で一眠りしてから、翌朝王都に向かう。
「いよう!眠れたかい?」
俺はオズワルド達に声をかける。
「ああ、すまねぇな。泥のように眠ったよ」
それは大変結構。
「さて、それじゃ次の討伐行きますか」
「そうだな。また俺たちに掴まってくれ」
上空から西の荒野を目指す。距離は結構あるが今回は風魔法で飛ぶためそれほど時間はかからなかった。
しばらく進むとサンドウルフの群れと思しき砂塵が見えた。
「あれかな」
「それっぽいですね。ちょっとおりますか」
地面につくとサンドウルフの足音らしき地響きを感じる。どんどん大きくなってくるところを見ると、こちらに近づいて来てるな。さて、どうしたもんか。
「オズワルド。お前達で行ってみるか?」
「俺たちだけでか?」
「ああ、たぶん行けると思うぞ。なぁサトシ」
「ええ。たぶん大丈夫ですよ。自信持ってください」
「いや、何に自信を持てばいいんだよ。無理だよ」
「ん~。そうですか。取り敢えず何匹かこっちで処理しますよ。残りをやってみてください」
サトシは気安げにそう言うと、向こうに見えるサンドウルフの群れに掌をかざす。
ザシュ!!
サンドウルフの先頭に巨大な茨が出現する。
デカいなぁ。
常軌を逸してますな。40mくらいあるんじゃない。貫かれた先頭のサンドウルフが、伸びる茨の勢いで上空高く舞い上がってるよ。あれ落ちてくるの?滞空時間長すぎない?
などと考えていると、ドカドカと、その茨に後続がぶつかって行く。完全に出鼻をくじかれたようだ。
その様子を見てサトシが茨を消す。
サンドウルフたちは混乱してその場で右往左往している。俺たちとの距離200mほど。
「さ、行ってみな」
俺はやさしくオズワルドの背中を押す。
たたらを踏んで前に歩み出たオズワルドは、意を決して剣を握り直し飛び出した。
ヒュン!
速い。ヘイストでもかかってるんじゃないかと思うくらい素早い動きでサンドウルフたちとの距離を一瞬で詰める。
「さ、お前達も援護しな」
呆気に取られているジョンとロバートに声をかける。
二人はハッと我に返り弓を構える。弦を引き絞り矢を放つと、その矢は衝撃波を伴いながら獲物に命中する。打ち抜かれたサンドウルフは20m以上吹き飛んだ。
自らの攻撃の威力に驚きながらも、二人は次々とオズワルドに襲い掛かるサンドウルフを屠って行く。
オズワルドも残像を残しながらサンドウルフの群れの中を切り進む。
流石に1000匹ともなるとオズワルド達には荷が重いか。ジョンとロバートの援護があってもサンドウルフに押される場面が増えてきた。
「さて、俺たちも行くか?」
「そっすね。熟練度上げないといけませんしね」
そんな会話をしながらサンドウルフの群れへと突っ込む。オズワルド達だけで100匹は倒したんじゃなかろうか。よく頑張ってると思う。さて、どうやって倒したもんかな。
群れの中に入り込み、手刀で首の骨を折りながら倒してゆく。ちょろいな。さて、サトシはどうしてるかなっと。
サトシは剣でサンドウルフの首だけを切り落とし続けている。あいつも昨日の話を覚えていたんだな。毛皮や肉が高く売れるんなら、これを王都で売った方が良いと思ったんだろう。流石商売人。それに俺たちには収納魔術があるからね。腐敗させずに持ち帰れるのはありがたい。というわけで素材回収最優先です。
俺たちが参戦したことで、あっという間に1000匹以上のサンドウルフが肉塊となった。ご馳走様。




