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中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
生方蒼甫の譚
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拉致監禁とジェノサイド

「とりあえず、ラスト一匹は捕獲しましょう」

「捕獲?どうやって」

「イモータライトで囲んだ上で収納魔法で保管しておこうかと」

「保管してどうするよ?……あ」

「わかりました?」

「わかりたくなかったけど、なんとなくな。お前、ホント鬼畜だな」

「いやいや。こんな理想的で素敵なモンスター居ます?後は広い土地があればどこでもレベル上げが出来ますよ」

 サトシの考えはこうだ。


 捕らえたゴーレムをだだっ広い場所に解放したうえで、再生可能な程度に細切れにする。

 再生して数が増えたゴーレムを倒す。

 残りの数が減ってきたらまた細切れにする。

 これの繰り返し。


 鬼畜。まさに鬼畜。むしろ鬼畜がしっぽを巻いて逃げるほどの鬼畜っぷりだ。

 まあ、言わんとすることは判るけどさ。何もそこまでしなくても……


「まあ、一匹だけ残して、残りは実験ですよ」

「実験?」

「はい。どのくらい細切れにできるか」

「ああ、再生可能な大きさを調べるって事?」

「そうです。それにここである程度レベルも上げておきたいですしね」

「残りの討伐どうするよ?」

「まあ、ここでの成果次第でしょうね。後は単なる依頼達成でも問題ないでしょうし。オズワルドさん達もそっちの方が良いんじゃないですか?」

「そう言えばそうか。じゃ、とりあえず細切れにするかな。不憫だけど」

「じゃ、そう言うことで」

 サトシはそう告げると、嬉しさがあふれ出るような軽やかなステップでゴーレムの元へ向かう。ようやく完全復活した元上半身ゴーレムはサトシに殴りかかろうとする。が、サトシはそれをひらりと躱すと殴りかかった腕を根元から切断する。そして、まだ宙に浮いたままの腕を返す刀で切断する。腕だった欠片の大きい方はそのまま地面に落として、小さい方を再度切断する。

 欠片はどんどん小さくなる、四分の一、八分の一、十六分の一……欠片の大きさが1センチ程度になったところでファンファーレが鳴り響いた。


「経験値150獲得」


 1センチ程度でこの経験値か。ぼろいな。あれ?


 倒したゴーレムの欠片は蒸発するように消えていった。が、その中心に銀色に輝く塊が残っていた。

「なんだこれ?」

 ステータスを確認すると


「ゴーレムコア(機能停止):ゴーレムを作成するためのコア。すでに機能停止している。希少素材」


 ふ~ん。希少素材ね。じゃあ、集めといた方が良いかな。それに討伐依頼達成を証明するためにもある程度数は要るだろうしな。


「お~い。オズワルド!ジョン!ロバート!ちょっと来てくれ!!」


 草むらで暇そうにしていた3人が、いそいそとこちらに走って来る。


「どうした?何かあったか?」

 とオズワルド。

「いや、Aランクのお前に頼むのは申し訳ないんだが、ゴーレムを倒すとこの欠片が出てくるんだ。で、集めておいてもらえないか?討伐の証明になると思うんだよ。それに素材としても希少みたいだからな。たぶんサトシが欲しがると思う」

 そう言うと、オズワルドはゴーレムコアを受け取ってしげしげと眺め始めた。


「ゴーレムを倒したのか……。こんなに簡単に……」

 現実を今一つ受け入れられていないようだが、まあ、仕事を与えておけば大丈夫だろう。

「これから俺たちはゴーレムを倒しに行くから、地面にこれが散らばってると思う。すまんが回収を頼む。それと、拾うのに気を取られてゴーレムに襲われんようにな」

「わかった、じゃあルークスさん達も気を付けて」


 そう言うと、さっき倒したゴーレムのコアを探しに3人は周囲をうろつき始めた。すまんな。Aランクにこんな事させて。


 というわけで、俺たちはレベル上げと熟練度向上に勤しむ。


 さて、サトシはどうしてるかなっと……


 遠目に見えるサトシは、せっせとゴーレムを細切れにしている。倒してしまわぬよう見事に1センチ強に切り刻んで。1匹のゴーレムをみじん切りにしたところで、次のゴーレムの所に向かう……って。ちょっと待て。そうしたらあそこのみじん切りから何万ものゴーレムが現れるだろうが!!正気か?

『おい!サトシ。ゴーレムの人口爆発起こす気か!!』

『大丈夫ですよ。イモータライトでまとめて駆逐しますから』

『失敗したらえらいことになるぞ!』

『何とかしますって。意外と心配性ですね』

 意外とかそう言う事じゃなくってだな。大丈夫この人?


 と、思っていたがそうはならなかった。近くにある破片はどうやらアメーバのように再度結合する様だ。ふぅ。一安心。

『一応報告しておくと、さっき細切れにしたゴーレムだけど、また一つに結合してたよ。近くにある欠片同士はくっ付くみたいだな』

『マジっすか。それは失敗ですね』

『失敗?』


 そう言うと、サトシは今ほど細切れにしたゴーレムの欠片を斬撃やら爆発やらで遠くへとまき散らす。

 おいおい!!

 マジかよ!こいつ本気で数万のゴーレム生み出す気だよ。


 あたりではもぞもぞとかけらが蠢き始めた。もう知らん。俺知らないからな!!


 あのゴーレムたちはサトシに任せよう。俺は俺で熟練度を上げにゃならん。というわけで、サトシほどではないまでもゴーレムを体術や杖による殴打で粉々にする。大きさはまちまちだが20~50センチ程度の欠片になってあたりに散らばっている。サトシほどではないにしても100以上には分割されている。大丈夫かな。


 奴らがある程度再生するまで、次のゴーレムを破壊する。


 先程から俺たちは比較的簡単にゴーレムを破壊しているが、普通のAランク冒険者では厳しいだろう。地味に硬いし斬撃も通りにくい。普通の打撃ならダメージを与える事すら難しいと思う。なぜ俺たちがこれほど容易くゴーレムを破壊できるのか。それは熟練度だ。サトシは言うまでもなく、俺でさえが体術の熟練度Lvが300を超えている。普通のAランク冒険者なら10前後だろう。このゲームでは熟練度が高いと数値的なダメージだけでなく、相手の防御力にかかわらず破壊効果が上乗せされる。

 正直これもチートだと思うが、制裁の対象には入っていないらしい。助かった。


 周囲のゴーレムを破壊しまくっている間に、最初に粉微塵にしたゴーレムが復活してきたようだ。再結合しているらしく再生も早かった。が10体以上にはなっている。さて、どれか倒してみるか。


 俺の無属性魔法は熟練度が低いため、サトシのように高出力LASERだけで蒸発させるほどの威力は無い。先ほど同様、体術や棍棒による殴打で細切れにしてから、欠片を高出力LASERで蒸発させる。


 すると頭の中でファンファーレが鳴り響く。


 これだけの数でも問題なく倒せるな。確かにサトシのやり方は効率的かもしれん。

 まあ、サトシほど極端にはできんが。


 というわけで、俺もサトシを一部見習いみじん切りゴーレムを量産する。殴打で砕いたゴーレムの欠片を、風魔法で周囲にまき散らす。ついでにウィンドカッターを使って一層細切れにする。これを周囲のゴーレムに繰り返していると、辺りはあっという間にゴーレム一個小隊に囲まれていた。やり過ぎたかな……


 今度は、その集団の中から一体ずつ各個撃破する。殴打とウィンドカッターで細切れにして、その破片を高出力LASERで蒸発させる。いっちょ上がり。後はこれの繰り返しだ。みるみる部隊の数は減って行く。確かにサトシのやり方が効率良いな。残り2体になったところで再度細切れにし、奴らの復活を待つ。


 一息ついてサトシの方に目をやると……おいおい、ゴーレム一個連隊に囲まれてますけど。大丈夫?ぱっと見1000以上は居るな。あれをどうする気?


 と思ったら、突如地面に現れる巨大な茨。ああ、サトシ無敵だわ。それが消えると目の前の一個連隊が消え、3匹のゴーレムがみじん切りにされているところだった。そして頭に鳴り響くファンファーレ。これは負けてられませんね!


 今ので俺のレベルも随分上がったみたいだ。身体が以前のように軽くなる。よし。もうちょっとチャレンジしてみるか。

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