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中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
生方蒼甫の譚
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求む!大量討伐

「ここは立派ですねぇ」

 サトシは入り口を入ってすぐにある依頼の掲示板を見て圧倒されていた。そりゃそうだろう。俺も最初見たときは驚いたからな。上の方に貼ってある依頼を読めるやつは居るんだろうか……


「お、大量討伐発見。これも西の荒野ですよ。あぁ~。でも、サンドウルフかぁ……あ、いや。良いっすね。1000匹以上と来ましたよ」


 1000匹って……それが良いと言うサトシって一体……


「これなんてどうです?」

 そう言うとサトシは随分高い場所にある依頼書を指さした。


「ん?どれだ?」

 よくわからんな。


「あれですよ。暴走ゴーレム討伐」


 なんだそれ?

 あ、あれか。と目を細め必死に読んでいると、それを不憫に思ったのか受付嬢がファイルを持ってこちらにやってきた。


「ルークスさんこちらをどうぞ」

「あ、ありがとう」

 やさしいね。ありがとう。どれどれ。


『暴走ゴーレム討伐  討伐対象:農作業用ゴーレム(暴走中)

 70体以上確認済み  依頼主:王都農業協同組合、営農公社

 場所:農業区画A8~A22  報酬:5リル

 受託制限:無し  昇級A(10体以上討伐時)

 注意事項:分裂の可能性あり』


「分裂の可能性あり?ってどういうこと?」

「あ、注意事項ですね。50年ほど前に実用化された魔術で動く農作業用ゴーレムらしいんですが、ちょっとコアの部分が変わってるらしくて。攻撃の仕方によっては分裂してしまうみたいなんです。でも詳細についてはよくわかってなくて。以前討伐に向かった冒険者の情報がわずかに残っているだけなんですよ。いまこの農業区画は全く利用されずに森のようになっているようです」

「えらく厄介なゴーレムだな」

「いやいや。好都合じゃないですか」

 でた。裏サトシ。いや。表か。まあ、お前の考えてることはなんとなく想像つくよ。適当に攻撃した上で分裂を繰り返えさせながら駆逐しないように倒し続けるつもりなんだろう。鬼畜。まさに鬼畜の所業。

「まあ、気持ちは判るが……気が進まんなぁ」

「何言ってんすか。これ行きましょう。あ、すいません。これ、え~と。この農業区画A8~A22ってどこです?」

「農業区画は王都北側にありますよ。今いる居住区画の北門から出た所が農業区画です。農業区画は西から東に向かってA~Zの26区画に分割されてます。で、それぞれの区画が南から北に向かって1~30区画に分割されているんです。ですから農業区画の西の端になりますね」


 なるほどね。北に農業区画があったのか。


「農業区画の見学がてら行ってみるか」

「そっすね。王都の農業に興味もありますし。なによりゴーレムがあるんなら俺も作りたいですし」

「ああ、そうか。人手の問題解決できそうだな」


「ルークスさん?すまねぇが何の話してるんだい?この暴走ゴーレムは結構厄介な奴だったと思うぜ。俺たちじゃ足手まといになると思うんだが……」

 オズワルドが申し訳なさそうに尋ねてくる。意外に愁傷な奴だな。誤解してたよ。パリピかと思ってた。


「まあ、気にするな。たぶんサトシが居れば大丈夫だ。あ、そうだ。パーティー組まないとな」

「パーティーを組む?って。組んでくれるんだよな」

 オズワルドは俺の言葉の意味を測りかねているようだった。そうか。ユーザーだけど目の前にメッセージが出たりはしないんだな。そう考えると、それでAランク冒険者ってのはすげーことだよな。

「まあ、気にするな。こっちの話だ」

 俺がごまかしている間にサトシがパーティー登録してくれたようだ。俺の目の前にもメッセージが現れる。

『オズワルド、ジョン、ロバートの3名をパーティーメンバーに登録しました』


 ん~。微妙な名前だな。まあいい。それよりもNPCはパーティーメンバーに入れてもレベルが上がらないはずだ。よくこんな状態でオズワルドの奴戦ってきたな。あとの二人はなんか特技があるのかなぁ。


「なあ、お前達二人は何ができるんだ?」

 思い切ってNPCのジョンとロバートに聞いてみた。


「俺たちは弓が得意です」

 ジョンがそう答えると、ロバートも頷く。


 ん~。遠距離攻撃が得意ねぇ。攻撃する方?される方?まあいいや。


「じゃあ、オズワルドは何が得意なんだ?」

「俺はこれと言って得意なものは無いな」

 そうは言っているが、ステータスを見ると総じてハイスペックだ。片手剣と盾を持ち、剣技の熟練度もそれなりに有る。魔法も使えるようで、水と風の適応がある。今までの成果はほとんどこいつの功績だろうな。にしてもなんでこんな役に立たなそうなNPCと組んでるんだ?ほかに良い奴いただろうに。コミュ障か?どっちかと言えばお前が遠距離攻撃得意なんじゃないの……と思ったのは内緒だ。


「なあ、お前達どういうパーティーなんだ?囮役タンクアーチャーは良いとしても、オズワルドが回復ヒーラーも兼ねてるってのか?バランス悪くねぇか?」

「あ、ああ。まあ、そうなんだが」

 いけね。どうやら核心を突いちまったらしい。

「いや、別に詮索するつもりはねぇんだ。何か特技があるんなら知らせておいてくれた方が戦いやすいからさ。まあ、そのあたりの情報共有は適宜やっていこうぜ」

「そうですね。まあ、肩慣らしに農業区画に行ってみましょう」

「いやいや。肩慣らしって依頼じゃないだろ!?」

「ルークスさん。私が横から口を出すのもおかしいんですが、少々荷が勝ちすぎているかと……」

 受付嬢が堪らず口を出してきたが、まあ、気にしない。

「いや。大丈夫だって。気にしないでくれ。ちょっくら行ってくるよ。というわけでこの依頼とサンドウルフの討伐依頼も受けるから。よろしく。」


「はあ」

 受付嬢も渋々と言った雰囲気で見送っている。このままいるといろんな奴に止められそうだ。とっとと仕事を済ましちまおう。


「さぁ、サトシ。行こうか」

「はい。行きましょう」

 俺たちは、意気揚々と冒険者ギルドを後にする。

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