スキル作成
「スキル作成ってどういうこと?」
「できるってことでしょうね。確かに前作りましたもんね」
「何を?」
「創造。作ったじゃないですか?忘れました?」
ああ、なんかそんなことあった気がする。よくわかんなかったから適当に話を合わせてたやつだ。Wikiにスキル合成の話が出てたから、「とりあえず目の前にあるものなんでもくっつけたら」的な勢いでコメントしてみたら、サトシがぶっ壊れスキル作り出したな。
あの時は、「何も知らない魔導士」と思われたくなかったんで、知ったかぶりしてたんだよねぇ。
「あったな。そういえば。ずいぶん昔のことなんで忘れてたよ」
「そっすね。あれ?ずいぶん前なのに、結構鮮明に覚えてますよ俺。なんでだろう。こんなに記憶力よかったっけ?」
なんだかサトシは自問自答し始めた。チャンスだ。うやむやにしよう。
「で、どうだ?スキル作れそうか?」
「いや。作るも何も……前は合成でしたからね。一から作るってことはやったことないっすね」
「確かにそうか。どんなスキルが作れるんだろうなぁ」
と、俺が腕を組み天井を見上げていると、サトシの視線を感じた。
「いや、ルークスさん。こういう時に調べてくださいよ。せっかく良いもの持ってるんだから」
「良いもの?」
「毎回こんな感じで存在を忘れるんですね。天命の書板」
あ!ああ!!
「そう、そうだな。確かに」
「わざとですか?」
「訳ねぇだろ!!ちょっと待ってろ!「観測者」」
サトシの冷たい視線を避けるように、手元に現れた天命の書板を覗き込む。
「作成可能スキル 絶対防御☆☆:ダメージ ー40%
鉄 壁☆☆:防御力 +40%
加 護☆☆:知力 +40%
疾 風☆☆:素早さ +40%
怪 力☆☆:力 +40%
治 癒☆☆:常時回復(中)+損傷治癒(小) 」
おうおう。すげーな。こんなに作れんの?
サトシに天命の書板を見せると、目を輝かせながらぶつぶつつぶやき始めた。
あれ?サトシ。大丈夫?
なんだかアクセサリー握りしめて動かなくなっちゃったけど……
「できたぁ!!」
「うわぁ!」
びっくりした!
「なんだよ。脅かすなよ!!」
「すいません。いや。できたんですよ。スキル。一から作れました。合成じゃなくて」
「さっきのやつ?どれを作ったの?」
「え?全部ですけど」
「は?全部?」
慌てて再度ダイアログを確認する。すると……
『付与するスキルを選択してください。 絶対防御☆☆
鉄 壁☆☆
加 護☆☆
疾 風☆☆
怪 力☆☆
治 癒☆☆』
ホントかよ……こいつやることが極端だよなぁ。性格かなぁ。
「で、どれを付与するんだ?」
「そっすね。まあ、絶対防御がいいですかね。これ重ねがけ出来ますかね?」
「どうだろう。作ってみたらいいんじゃない?防具やらアクセサリー」
「やってみます」
サトシは黙々と作業に取り掛かる。途端に俺は暇になった。
仕方ない、天命の書板さんに質問するか。
というわけで、俺は書板に疑問をぶつけることにする。
まあ、ぶつけるまでも無く、先回りして答えてくれるんだけどさ。
早速俺の頭に浮かぶ疑問に対して、書板には回答が現れる。
Q:作成できるスキルの基準は?
A:創造主はすべてのスキルを作成可能
Q:今回候補に挙がったスキル少ない気がするけど?
A:創造主スキルの熟練度により作成できる種類に限界がある。
ほうほう。
「……さん」
Q:作成したスキルの熟練度が☆☆なのはなぜ?
A:作成したスキルの熟練度は創造主スキルの熟練度を超えることは出来ない。
Q:創造主スキルも作成可能?
A:熟練度次第
「ルー……さん!」
おいおい。結構ざっくばらんに答えてくれるね。
ってか、恐ろしいスキルだな。創造主……無敵なんじゃないかね?
「ルークスさん!!」
「うわぁ!?なんだ!!」
「なんだ!じゃないですよ!!」
サトシが後ろから大声で怒鳴る。
「何回呼ばせるんですか!?ぼーっとしすぎですよ!」
「べつにボーっとしてたわけじゃねぇよ。調べ事してたんだよ。いや、サトシ!結構良い情報が手に……」
「まあいいですから。ちょっと手伝ってください」
……全く聞く耳持たないね。こいつやっぱりおかしくなってない?
「……ああ、わかった」
「どうしたんですか?えらく機嫌悪いですね」
「どうしたも何も、お前俺の話聞かねぇじゃ……」
「わかりましたよ。後で聞きますから。ね。早くやりましょう」
おいおい、随分食い気味に来るね。ってか俺の話聞く気全くねぇし。まあいいか。
「で、何をすればいい」
「作るアイテムの付与スキルなんですけど。どうしても熟練度が低いんですよ。で、複数持ったら重ね掛けできるのか確認したいんですよ」
「ああ、そう言うことね。それだったらお前のスキ……」
「で、これ付けてください」
聞く気ねぇ。そして、サトシは俺に二つの指輪とブレスレットを手渡す。まあ、趣味は悪くないな。シンプルで飽きの来ないデザイン……って言うより、すげープレーンなリングだった。おっさんが付けてても嫌みにならないように気遣ってくれたのかな。まあ良しとしよう。
俺は、左右の人差し指にリングを嵌めて、ブレスレットは左手首に着ける。
「おう。付けたぜ……っと」
と、顔を上げた俺の目の前には大剣を振りかぶるサトシの姿があった。




