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中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
生方蒼甫の譚
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戦闘準備

「魔法使えるか?」

「試してみましょう」

「ファイアボール……」

「トルネード……」

「……」


 詠唱してみるが全く反応がない。

 ステータスを確認すると、確かに属性がグレーアウトしている。


「あ、やっぱり無属性はグレーアウトしてませんよ」

「マジで?あ、ホントだ」


 サトシは試しにとばかりに、あれやこれやと道具を作り出す。


「イケますね。このスキルは使えますから、攻撃も防御も大丈夫だと思います」

「反重力」

 俺も試しに使ってみた。一応浮かぶことはできた。が、レベルが低すぎるため動きが緩慢だ。


「これ厳しいな。攻撃も弱いって事だろ?」

「一応熟練度はそのままみたいですから、そっちがどのくらい効くかでしょうね」

「あてには出来んな」


 実際敵さん次第だな。本気で通常兵器が来ようもんなら太刀打ちできるかわからん。ミサイル攻撃を防ぐの?無理っしょ。


 あ、超合金イモータライトか。あれならいけるか?


「なあ、サトシ。超合金イモータライトで鎧とか作れる?」


「! なるほど!!イケるかもしれませんね。鎧に使う板材を、段ボール構造とかハニカム構造にすれば……」

 

 なんかスイッチ入ったみたいだな。随分考え始めたけど……


「そんな考えてる時間あるか?」


「そうでした。取り急ぎ作ってみます。まずはアイから」


 まずアイなのか。


 アイの体にまとわりつく様に鎧が完成してゆく。

 すげぇな。こんな作り方出来るんだ。ちょっといやらしいな。

 女性用に曲線が美しい鎧だ。


 というか、少し見ない間にアイは大人びたなぁ……


 眩しい物を見る目でアイを見ていたら、サトシとアイに睨まれた。


 解せぬ。


「次はルークスさんですね。」

「すまん。助かる……」

 俺の方もやはり鎧が体にまとわりつく様に出来上がって行く。

「ってあれ?ローブの下なの?ローブボロボロにならない?結構気に入ってるんだけど」

「ローブの上だとデザイン的にごてごてするかなぁと思って。それに中だとごわつきますよ。たぶん」


 そんなことを言いながらサトシの作業は止まらない。スキル使いこなしてんなぁ。初代王もこんな感じだったのかなぁ。


「あ、そうだ。カールだっけ?お前が習ったって言う鍛冶屋」


「……ああ、はい」

 

 なんか歯切れ悪いな。なんだろう。


「行ってきたよ。カールは魔王討伐で不在だったけど、替わりに腕のいい若い鍛冶屋が店番してた」


「あ、そうなんですね……どんな店でした?」


「えげつなかったよ。お前が自分に厳しい理由がわかったよ。あそこに置いてあったカールの作品異常だわ。全部伝説級レジェンダリー以上だった。今度一緒に見に行こうぜ」


「今度があればですね」


「ヤな事言うね」


「それこそ、ルークスさんこそフラグ立てないでくださいよ」


「ちげぇねえ」

 サトシはそんな会話の中で自分の鎧と共に、俺たちの武器も作り上げ暮れていた。


 さて、準備は整った。時間は?すると天命の書板タブレットには


「3分」


 と表示される。

 

 場所は?

 

「ヨウト発電所」

 やっぱりか。


「サトシ。発電所に転移するぞ!」


「わかりました。あ、ちょっと待ってください。たぶんルークスさんが思ってるヨウトとは随分雰囲気が変わってますから俺が転移しますよ」


 確かにモニターで見ただけでも随分変わっている。あの中に立つと全く以前とは景色が違うんだろうな。それはそれで楽しみだ。

 さあ、守りに行くか。


「転移」

 サトシが俺の肩に手をかけ転移の魔法陣が足元に広がる。

 いつの間にかサトシに身長負けてるな。ちょっとショック。


 転移が終わると、俺の知るヨウトはそこにはなかった。周囲は整備された田畑と奇麗なアスファルト敷きの広い道路。電柱に電線。以前住んでいた建物は何処にもなかった。新興住宅街と言った雰囲気だ。ここまで発展させるのはさぞ大変だったろう。サトシの努力を無駄にしないように俺も協力しよう。


 サトシはヨウトに到着するなり、大声でティックたちに指示を飛ばす。


「ティック!!アン!!みんなを建物の地下に連れて行って!これからとんでもない攻撃が来るかもしれないから!」


 離れた所に居たティックとアンが慌ててその指示に従う。周囲の従業員たちに声をかけながら、それぞれ手近な建物に避難してゆく。


「建物の中で大丈夫か?がれきに埋もれたらどうにもならんだろ?だいたい地下でも破壊されるんじゃないか?」


「たぶん大丈夫ですよ。こんなこともあろうかと、地下にイモータライトでシェルター作っておきましたから」


「こんなこともあろうかと思ってたのか?」


「正直に言いますと、趣味です。ほら、地下シェルターってかっこいいじゃないですか?」


「知らんよ。だいたい地下シェルターなんて活用しないに越したことないだろ?普通興味も持たんだろ?」


「いや、キャンプの延長みたいなもんで、作り出したら楽しくなっちゃって。全部の建物の地下に作っちゃったんですよね。まさかこんなところで役に立つとは。我ながら慧眼だったと思いますよ」


「慧眼ねぇ。まあいいや。結果オーライだ。じゃ。思う存分暴れられるってことだな」


「暴れようにもレベル低いですけどね」


 それもそうだな。って あ!痛み5倍か!


 やっぱやめようかなぁ。


「ルークスさん。来ました」


 え!?まじで!?心の準備が

 

 西の方に飛行物体が見えた。ミサイルと言うわけでもなさそうだ。時折虹色に光りながらこちらに向かってくる。


 サトシとアイはすでに臨戦態勢だ。さて、俺も腹を括るか。



 なかなか近づいてこない。と思っていたがどうやら違った。途轍もなくデカいようだ。それが、かなり遠くから高速でこちらに向かっていた。


 永遠にも思える時間が流れる。徐々に大きくなる敵の姿は、近づくたびに神々しさを増していく。その姿に俺たちの戦意はどんどん失われていった。

 

 

 戦意が絶望に変わるころ天命の書板タブレットから警戒音が鳴り響く。


 そしてそれは到達した。

 

 俺たちの頭上に現れたのは、12枚の羽根を持つ虹色の天使たちだった。

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