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中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
生方蒼甫の譚
152/343

親分

 2階は薄暗く階段の先には短い廊下。突き当りに豪華な扉があった。

 モビーはその扉をノックする。


「入れ」

 ずいぶん低い、なかなかのイケボだ。まあ、興味ないけど。

「失礼します」

 モビーは恭しく中へと入って行く。


 部屋の中も薄暗く、思いのほか広くはなかった。正面に豪華な椅子が一脚。そこには老人?といった雰囲気の人物が座っていた。


「うちの若いもんが迷惑をかけたみたいですまないな」

 ああ、あのイケボはこのジジイか。声には張りがある。


「いや、構わんさ」

「てめぇ!親父になんて口の利き方を……」


「おい!いい加減にしろ」

 イケボのジジイがモビーにぴしゃりと言い放つ。


「す、すいませんでした」


「まあ、お座んなさい」


 俺は勧められるがままに、ジジイの正面に座る。薄暗かったからよぼよぼのジジイかと思ったが、年のころは60歳くらいだろうか。体こそ小柄だが、眼光は鋭くただならぬ雰囲気を醸し出していた。

 Theヤクザの親分!って感じだ。


 一応ステータスを確認しておこう。

 

『ユーザー:ハルマン 職業:自由業 LV:40 HP:2251/2360 MP:110/110 MPPS:15 STR:120 ATK:220 VIT:260 INT:218 DEF:327 RES:229 AGI:18 LUK:125 スキル:魔力感知☆☆ 体術:Lv58』


 やっぱりユーザーか。


 ってか、意外に強くね?なんかゴードンといい勝負しそうなんだけど。Aランク冒険者くらいの実力はありそうだな。


「で、ここに何しに来なすった?」


「ちょっと調べたいことがあってね」


「調べたいこと、と言うと?」


「いや、それが俺にもよくわからなんだよ。皆目見当がつかないと言った方がいいかな。だから、目ぼしい人間にいろいろ聞きたいと思ってさ」


「その目ぼしい人間てのは?」


「当然あんたらも入ってるよ」


「おい貴様!」

 モビーが俺の言葉に食って掛かる。いちいちうるせぇな。弱いんだから黙ってろよ。


「おい、モビー。おめえは分をわきまえろ!」


 流石親分。わかってらっしゃる。

 モビーは飼い主に叱られた犬のようにシュンとする。


「で、俺に何が聞きたい?」


「まあ、いろいろあるんだが、さっきも言ったろ「あんた」じゃなく「あんたら」だな」


「モビー達も入ってると?」


「ああ」


「ほう。で、聞きたいことってのは?」


「そうだな。まずは……


 あんた。この世界に生まれる前の記憶はあるかい?」


 ハルマンはピクリと眉を動かすと、今度は面白そうに口角を上げる。


「ほう。それはあんたの言葉かい?それとも誰かの受け売りか?」


「受け売り?」


「そうか。あんたの言葉ってことで良いんだな。じゃあ、あんたも異世界人か」


 あんた「も」?

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