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中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
生方蒼甫の譚
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一件落着

 その後、エンドゥの街に向かうと道行く人たちから感謝の言葉を投げかけられる。マンティコアを倒したことで町中お祭り騒ぎだ。

 どうやらクロードを倒した時点で領主様の呪いが解けていたらしい。


 というか、このあたりはかなりのご都合主義だった。ゲームによくある奴だ。中ボスを倒して町に帰ると、町はすでに大盛り上がり!みたいな。


 いやはや。なんだか作りが雑だな。もっとキッチリしてほしかった。正直サトシにばれるんじゃないかとヒヤヒヤした。


 が、サトシは特に疑問に思うこともなく額面通りその感謝の言葉を受け入れている。お気楽でよかった。



 で、冒険者ギルドに到着である。


 ギルマス直々に出迎えだ。俺はギルマスに話しかける。


「よう。依頼は出てなかったが、マンティコアは討伐したぜ。もう鉱山は大丈夫だ。」

 

「さすがだな。お前たちの冒険者ランクをどうするか決めないとな。

 正直ミノタウロスやマンティコアを討伐できる冒険者はAランク以上なんだが、うちのギルドで発行できるランクはBまでだからな。」


「なんで?」


「うちのギルドも王都のギルドと提携してるんだ。ランクを統一してるってことだ」


「そりゃ、登録した町のギルドによってまちまちだと困るもんな」


「ああ、だからだいたいはこのあたりの街のギルドは王都と提携するんだが、そうなると冒険者のランクを上げる時は、ギルドマスター以上にすることが出来ないんだ。」


「ん?どういうこと?」


「どうやって自分より強い冒険者を評価するんだ?できねぇだろ?だからギルドマスターのランク未満ならランクを変更することが出来るが、以上に変更しようとすると王都に許可を取る必要があるんだよ。」


「ああ、あんたの冒険者ランクがAだってことか。」


「そう言うことだ。」


「別にいいよ。俺たちランク気にしてないし。まあ、必要になれば王都に行くさ。じきに行く用事もできそうだしな」


「そうか、すまねぇな。ある意味町を救ってくれた恩人にこの程度の事も出来なくて。」


 ギルドマスターはすまなそうな顔だ


「まあ、気にするな。で、領主様はどうだい?なんだかさっき町をうろついてたやつから聞いたけど、クロードの呪いが解けて領主様が元気になったって」


 普通に考えりゃ、道行く市民がそんな裏事情をぺらぺらしゃべるってどうかとは思うが……まあ、いいか。


「ああ、さっき領主様から早馬が届いてな。お前たちを屋敷にお連れしろってよ。もう少ししたら迎えの馬車が来ると思うぜ」

 

 ほどなく領主様の馬車がギルドに到着する。俺たちは領主様の屋敷に招待され歓待を受ける。

 クロードの呪いが解けた領主様は、血色もよくなり若々しくやる気にあふれた姿になっていた。エレミヤの話を伝えると神妙な面持ちで聞いていた。まあ、どこまで頭に入ってるかは知らんけど。どうせデータとしては知ってるんだろうけどさ。通過儀礼みたいなもんだ。そこをすっ飛ばすと、それこそサトシに不信感を抱かれる。


 そのあたりのありていな話はそこそこに俺とサトシは本題に入る。領主様の屋敷に来たのはほかでもない。今回恩を売って許可を貰いたいと思ったからだ。


 何の許可かって?


 土地っすよ。土地。このエンドゥに土地が欲しい。別に鉱山が欲しい訳じゃない。俺たちが欲しいのは油田だ。エンリルが以前話していた内容から、この地下には油田がある可能性が高い。別に俺たちは金が欲しい訳じゃない。サトシの力があればそんなものはいくらでも稼げる。

 俺たちが欲しいのは近代的な生活だ。そのために必要なものは……電気。なら電気をどのようにして生み出すか。魔法から生み出すことも可能だろうが、定常的に生み出すなら火力が最適解だろう。そう考えると原油を手に入れられれば、随分と生活が豊かになる。だからこの土地は願っても無いお宝だ。


 って、まあ俺全く関係ないけどな。ログアウトすれば文化的な生活できるし。


 でも、サトシに付き合わないとね。

 こういったことにアイは無頓着だし、サトシ一人だと暴走するし。

 たぶん。魔法で竜巻起こして風力発電したり、大雨降らせて水力発電したりするんだろうな。容易に想像できるよ。自分の能力を無駄遣いしたエネルギー創出。


 というわけで、サトシの文化的生活のお手伝いだ。一肌も二肌も脱ごうじゃないの。


「領主様、折り入ってお願いがあります。」

「どうしたんですか?そんな畏まらないでください。皆さんにはどれだけお礼をしても足りないくらいの恩を受けておりますので……」


 その言葉が聞きたかった。ぐへへぇ。


「ルークスさん。悪い顔になってます。」

 おっといけねぇ。


「実は、エンドゥの北に平野がありますが、あのあたりの土地を譲っていただけないかと思いまして。」

「あの荒れ野原をですか?あそこは何の価値もない土地ですが……いったいなぜ?差し支えなければ教えていただけると……」

 領主様は申し訳なさそうに尋ねてくる。


 ん~。騙くらかして油田を掻っ攫うってのも気が引けるし、とサトシの方をちらりと見ると、どうやら奴も同じ考えだったようだ。

 まあ、これだけ恩義に感じてくれてるんだし、本音を話しても法外な値段を吹っ掛けてくることは無いだろう。

 と、思いたい。


「実は、この地域の地下から油がとれるのでは……と考えておりまして。」

「油ですか?それはどのような……」


「そうですね。燃料や材料として活用できる油が出ると踏んでいるんです」


「植物油では無く、ですか?」

 このあたりでは、油と言えば、動物から取れる油と、植物から取れる油くらいしかないらしい。食用がメインで、後は明り取りに使うくらいのようだ。


「恐らく、採掘できる油は今までの生活を一変させる価値があると思います。」

 おいおい、サトシ。そこまでぶっちゃけていいのかよ。まあ、領主様お人よしそうだからそんなに吹っ掛けないとは思うけど。でも、言いすぎじゃない?

 俺の心配をよそに、サトシは原油の重要性を領主に向かって力説する。


「そうなんですね。そんなに素晴らしいものがこの土地にあるんですか。」

 軽いね。領主様。ちゃんと考えてる?


「どうぞ。ご自由にお使いください。どうせ荒れ地ですし、今のところ町の住人達もあの土地の魔獣たちに苦労しているところです。あの荒野が整備されて、魔獣が町を襲わなくなれば一石二鳥と言ったところでしょうか。」


 え?油田ですよ。億万長者になれますよ。お金に興味ありませんか?

「あの?ほんとにいいんですか?」

「ええ、ご自由に。」

「では、いかほどで譲っていただけますか?」

「何をです?」

「だから土地を」

「そんな滅相も無い。荒野を整備していただいた上にそんな素晴らしい油で生活が豊かになるんでしょう?どうぞご自由にお使いください」

「いや、油が取れれば、私たちはそれを売りますよ?それでもいいんですか?」

「ルークスさん達が採掘するんですから対価を取るのは当たり前じゃないですか。全く問題ありません。もしよろしければ、私たちにもお手ごろな価格でお譲りいただけるとなおありがたいですが」


 大丈夫かな。この領主様。この調子だから王都の貴族に良い様に丸め込まれたんじゃね?


「では、ありがたく……。一応、契約書を交わしましょうか?」

「そうですね。それが良いと思います」


 はあ。なんだか拍子抜けだな。

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