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中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
生方蒼甫の譚
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リベンジマッチ

「おぬし、どこでそれを……」

「お前さんがエンリルって名乗ったからな」

「フン。その風体に似合わず博識じゃの」


「ルークスさん。天命の書板タブレットって何ですか?」

 サトシが小声で効いてくる。


「ああ、良いもんだ。後で説明する」

 正直エンリルという名前には聞き覚えがあった。昔神話系に嵌った時期があったからな。で、エンリルが持っている天命の書板タブレットには森羅万象の運命について記されている……らしいからな。まあ、そのあたりはよく知らんが。なんにせよいろんな情報が手に入るんだろう。たぶん。だったら欲しいじゃんそんなチートアイテム。

 実際、wiki見たときアイテムリストに載ってたんだよね。売買できない重要アイテムとして。そのほかのアイテムがしょぼい物しかなかったのに、これが載ってたからちょっと気になってたんだよ。

 まさかこんなところで手に入るとは。いや、手に入るかは判らんが。


「やはり無礼な奴じゃの。好きにするがよい。どのみちお前には過ぎた代物じゃ。それがおぬしを選ぶならば持っていけばよかろう。ただし、マンティコアを倒せたらの話じゃがな」


「ほう。じゃあ交渉成立ってことで。」

 ひゃっほ~い!マジっすか。手に入っちゃったよ。いや、わからんけどさ。でももらえる確率高いよね。よーし。言質は取ったし。マンティコアを倒すとするか。


「さあ、それならば早う去ね!」


 その言葉と同時に、俺たちの足元には転移の魔法陣が広がる。


「うぉい!!何しやがんだ!まだ準備ってもんが……」

「欲しいものがあるのなら勝ち取ってみんか!!」

 おう、かなりご立腹のようで。


 転移が終わると、俺たちはマンティコアの目の前に居た。


「おいおい!心の準備なしかよ!!」

 慌てる俺をよそに、サトシとアイは冷静そのものだった。

「ティンクルバリア!」

 ザシュ!

 

 俺とサトシの前にバリアが展開される。と、同時にいまだ臨戦態勢に無いマンティコアの足が茨によって地面に固定される。

「貴様ら!性懲りもなくまた我の前に現れるか!!」


行動減速スロウ

「防御力低下」


 マンティコアに向かいデバフをかける。

 ほんのわずかだが効いてはいそうだ。と思った時だった。


 マンティコアの顔が見にくくゆがむ。

『やばい!テンプテーションだ!!』


 と俺は身構えるが、奴の叫びが聞こえない。


 ん?と思ってマンティコアを見ると、頭がハリセンボンのようになっている。

 わお。容赦有りませんね。サトシさん。一撃っすか。


 マンティコアは足を地面に縫い付けられたまま、トゲトゲの生えた頭をゆさゆさと振りながらよろめいている。

 しばらくよろめいた後、大きく傾いたかと思うと、地響きを上げてそのまま地面に倒れ込んだ。


 頭の中に勝利のファンファーレが流れる。


 おう。俺何もやってねぇ。ってか、やっぱり無敵だよね。この人。敵に回したくないわ。


 崩れ落ちたマンティコアは光の粒となって大気に溶けるように消えていった。

 それと同時に、部屋の奥に扉が出現する。大きく煌びやかなその扉は明らかに宝物庫に繋がっている雰囲気だった。

「行ってみますか?」

「そうね。一応確認してみようか。」


 扉を開けると、眩しさで目も眩むほどの金銀財宝がそこにはあった。おそらく希少なアイテムも転がっていることだろう。

「どれかもらっていくか?」

「良いのありますかね?」

「俺は、天命の書板タブレットがあればそれでいいかな。」

「そうだなぁ。オリハルコンとかミスリルとか有るといいですねぇ。」

「あ、いいな!それ。ちょっと探してみるか?」

「アイは何か欲しいものある?」

「調味料?」

「ブレないなぁ。ってか、何年前の調味料だよ。ここにある時点で。全部石になってるだろ?」

「うるさいなぁ!」


 俺は「探索」で希少なアイテムを探してみる。

 あ、あるね。

「オリハルコンシールド」

「ミスリルガントレット」

「核弾頭」


 ……


 核弾頭!?

「「は?」」


 俺とサトシがハモる。そして見つめ合う。


 そしてまた目の前の表示を確認する。


「核弾頭」


 確かにそう書いてある。

「どういうこと?」

「ロストテクノロジー的な奴ですかね?」

「どういうこと?」

「ほら?異世界って、転生前の現代から時間軸上は続いている未来だ……みたいな設定もあったりするじゃないですか。だから、この世界は未来の地球だった!みたいな」

「お、おう……」

 何と答えていいのやら。まあ、都合よく受け取ってくれて非常に助かるよ。

 にしても、こんなもん出てくると思ってなかったな。


「いやぁ。良いもん拾いましたよね!」


「おい!そのいいもんに『核弾頭』入ってない?」

「入ってますけどなにか?」

「いや、芸人みたいな返しは要らないんだよ。「核弾頭」なんて持って帰ってどうすんだよ?」

「まあ、置いとくのも危ないですし、なんかの役に立つかもしれませんよ?」

「いやいや、ここに置いといたらそりゃ危ないだろうけど……それはヨウトにあってもおんなじだろ!?俺たちが危ないじゃん?」

「大丈夫ですって。俺がイモータライトで殻を作って囲っときますから。」


「あ、ああ。確かに、安全と言えば安全か」


 安全なのか?

 大丈夫?この子。


「さ、もらって帰りましょ。オリハルコンですよ!ミスリルもあるんですよ!!大収穫じゃないですか!!」


「あ!!」

 忘れてた!

「エンリル!!書板タブレット!!」


『けっ!覚えておったか。』

 頭の中にジジイの声がする。ずいぶん忌々しそうな声だが、俺には心地よい。


「さ、はやくはやくぅ!!」

『気色悪いわい!!ほれ。もってけ泥棒!!』


 泥棒呼ばわりは酷いが、まあいいとしよう。


 頭の中にアナウンスが流れる。


「天命の書板タブレットを手に入れました。スキル『観測者オブザーバー』を獲得しました。」


 おお、研究者の俺にふさわしいスキルではなかろうか。さて、これがどんなふうに役立ってくれるのか。早く試してみないとな。

この作品をお読みいただきありがとうございます。

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