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中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
生方蒼甫の譚
124/343

準備万端

すいません115話追加しています。投稿し忘れてました。

「あ、お帰んなさい!」

「ああ、宿泊の延長良いか?」

「へ?さっき10日追加したばっかじゃないっすか。なんか予定変更っすか?」

「ああ、ちょっと伸びそうでな。後からキャンセルできるんだったよな?」

「ええ、大丈夫っすよ。で、どのくらい追加します?」


「そうだな。もう25日ほど頼めるか?」

「良いっすよ。50リルになりますね。」

 俺は50リル銅貨をカウンターに置く。

「まいどあり!じゃあごゆっくり。ところで食事とかどうしてるんすか?」

「……ああ、あれは、えーと。なんだ。修業すれば何とかなるもんなんだよ。」

 カウンターのあんちゃんは、わかったようなわからんような顔をしながら答える。

「へぇ。そんなもんっすか。まあ、こっちは金さえ払ってもらえれば大丈夫なんで!なんかあったら言ってください。」


「おう、ありがとよ。」


 そう言うと、俺は自分の部屋へと向かう。

 部屋に入ると早速

「ログアウト」

 視界が歪み、HMD越しの表示が見える。装着している器具を外すと、ゆっくり伸びをしながらあたりを確認する。

 さっきとほとんど変わった様子もない。まだ職員は出勤していないようだし、時間もほとんど経過していないようだった。


「はあ。でもどっと疲れが出るな。頭いてぇし。」

 頭の芯からくる痛みは相変わらずだ。ゲームに入っているときはそうでもないが、現実に戻ると途端に痛くなる。ホントに大丈夫かな、この神経節接続ユニット。身体に悪いんじゃない?まあ、こんだけ使っておいて言う事じゃないと思うけどさ。

 でも、今更普通のHMDでのログインには戻れない。あの現実と見まごうばかりの臨場感は、一度体験してしまうと以前の方法には戻れない。


「いや、これ確かに発売されてたらゲーム廃人生みまくってただろうなぁ。」


 まあ、俺研究目的ですからね。という大義名分を振りかざし、日々ログインしてるんですけどね。


 さて、調べたいことがいろいろある。


 以前攻略サイトを見たとき、主要なNPCについては一部記載があったように思う。その中に領主様、クロード、イパ公爵があったか確認したいし、鉱山付近の廃墟についても調べておきたい。クロードが裏切り者だとするならあの廃墟の情報もどの程度信用が置けるのか確認したい。それに何処のカギだかよくわからん例のカギについては、一応調べておきたい。

 まあ、調べ物についてはそんなもんかな。


 それと、サトシの様子だな。ホントならサトシたちと一緒に廃墟に行きたいが、あいつが嫌だという可能性も否定できない。今レベル上げ魔人と化してるからな。なんか変な脳内麻薬出てるかもしれん。その時は俺一人で廃墟に乗り込むわけだから、レベルは上げておきたい。


 と言うことで、サトシをフル活用する予定だ。


 35日分。


 えへ


 というわけで、サトシ君にさっそく35日分働いてもらいましょう。

 がんばれサトシ!そしてアイ!


 モニタを眺めながら、コントローラを操作する。停止した時間の中カメラのアングルだけが移動する。

 

「お、サトシ元気そうだ!生き生きしてるな。えーと。アイは……、よくわからんな。じゃ、とりあえず働いてもらいますか。始動っと。」


 ポチリとアイコンをクリックする。

 途端にすさまじいペースで坑道内を動き回る。凄いな。すでにスキル使ってないんじゃない?なんかよくわからん方法で倒してない?まあ、いいか。倒せてるし。


 と、コーヒーを淹れに席を立つ。まあ、インスタントなんですけどね。


 で、コーヒーのいい香りに癒されながら席に戻ると、もう1日が経っている。レベルは……、あんまり芳しくないな。まだ140前後か。やっぱり100を超えたあたりからかなり渋い様子だ。とはいえステータスはかなりエグい。

 

 こりゃどこまで上がるか見ものだな。


 コーヒーをすすりながら、ポテチを食べる。ボーっと眺めてる間にレベルが上がって行く。いいね。こんな仕事最高だ。研究職を目指した時に、こんな日が来るなんて想像もつかなかったよ。いや、ちゃんと働いてますよ。


 とも言ってられない。さっき電卓で計算してみたら、35日待とうと思うと50分ほどかかるようだ。意外にかかるな。


 とはいえ、その間に調べ物をしていると、うっかり時間を過ぎてしまうことがある。これはインスタントの「カップ焼きそば」などで経験済みだ。何かに集中すると時間を忘れてしまう。30分放置した「カップ焼きそば」の味を戒めとして今でも覚えている。研究者あるあるだな。

 というわけで、タイマーをセットする。35日目の朝に時間が停止するようセットしたら、これで安心して調べ物ができるってもんだ。


 さて、調べ物っと。


 まずはNPCだ。


「領主様」

 一応載ってはいる。が、名前が違う。世代が違うと言った方が正しいだろうか。ゲームで設定された年代から随分時間が進んでいる関係で子孫と話していたらしい。「呪いにより短命」ってのは相変わらずのようだが、それ以外には目ぼしいエピソードは無い。そうなると、酔っぱらいエピソードが何だったのかが気になるところではある。


「クロード」

 こいつはそのまま載ってるな。エンドゥ実権を握る男ってことになってる。実際は領主様がボンボン代替わりしてる関係で、整合性が取れなくなってる気がするな。ここに記載されてる人物と、俺があった人物が同一人物かどうかも怪しい。こっちも世代交代しててもおかしくないからな。


「イパ公爵」

 ああ、イパはファミリーネームなのね。あるんだ、ファミリーネーム。今まで出てこないからないのかと思ってたよ。だからこれも世代が違う可能性が高いな。


 上記三人について、簡単な説明が記載されていたが、特にユーザーを騙すとか、裏稼業があるなどと言うこともなさそうだった。


 また、領主様に関する「呪い」については「呪いの為に代々短命である」程度の事しか乗っていない。「廃墟が」とか「酔っぱらいのジジイ」という記述もない。

 正直がっかりだ。まあ、仕方ないか。



 続いて「カギ」についてだ。


 アイテムリストを一通り見てみるが、このゲームに「カギ」に関する重要アイテムは見当たらなかった。確かに物理法則なんかを正確に再現しているゲームなので、いざとなればカギを壊すことも可能だ。アイテムとして用意してもあまり意味をなさなかったのかもな。


 となるとなおのこと、この鍵の存在意味がよくわからない。だいたいどこのカギだよ。



 あとは廃墟だな。

 確かに鉱山付近に廃墟があるらしい。初代領主が住んでいた建物だそうな。町が大きくなり、現在の場所に引っ越したようだ。

 にしても、廃墟にするかね?どうせ親族が居るだろうから、その親族が使うもんじゃねぇの?


 まあ、行って調べるしかなさそうだな。サトシがついて来てくれるといいが……


 でも、新しい敵が現れるならあいつも来てくれそうだな。その方向で行こうか。


 というわけで、作戦はだいたい決まった。


 あとは、サトシのレベル上げ次第だな。


 ……


「うわぁ」

 思わず声が出た。


 200だ。Lv200に到達してるよ。


 なにこのパラメータ。サトシの攻撃力軽く1500超えてるんですけど。HPなんてほぼ10万っすよ。アイでさえが7万って。敵が可哀そうになって来るな。


 !?

 今気づいたけど、サトシの敏捷性異常じゃね?1万3千……いや、ほぼ4千だな。1万4千って「行動加速ヘイスト」かける意味ないだろ。



 うわぁ。やるなぁ。まあ、俺もえげつないことになってるけどね。攻撃力は当然のように1500を超えて、防御力がほぼ3000ですよ。


 こりゃスキル無くても何とかなりそうだな。


 さて、サトシの労をねぎらいに行くか。

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