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中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?  作者: ミクリヤミナミ
生方蒼甫の譚
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いまさらのリサーチ

 三人は坑道にへたり込んでいた。目の前にはミノタウロスの死体が転がっている。

「ああ、立ち上がる気力もない」

「俺もです。」

「はあ。なんでこんなのに付き合ったんだろう。」

「まあ、そう言うなって。」

「あんたがつまらないことに首突っ込むからでしょ!」

「二人とも、落ち着いて。余計に疲れるじゃない。」

「……」

 俺、悪くないと思うんだけど……

 さて、気を取り直して、これからの事を考えよう。取り敢えずミノタウロスは倒した。これはギルドに持っていくべきなんだろうか?


 大騒ぎになりゃせんかな?


 やだ。超ー楽しそう。


 エンドゥの街をミノタウロスを担いでギルドまで向かう。

 その道すがら、行きかう人々は俺たちの偉業に驚愕するだろうなぁ。


『すげー!ミノタウロスを倒したってよ!勇者だぜ!!』

『キャー!素敵ー!お名前は何ておっしゃるの?』


「いやぁ、名乗るほどのもんでもないですよ。」


「……急に何言いだしたんです?」


 やべ、無意識に口から出てた。


 ハズイ。


 サトシとアイの目がヤバい。可哀そうな人を見る目になってる。


「ゲフン。いや。何でもない。さて、このミノタウロスどうする?ギルドに持ってくか?」

「え?一回外出るんですか?」

「え?まだ続けるの?」

「え?帰らないの?」


「「「え?」」」


 三者三様っていうか。サトシ。お前ってやつは……


「サトシ。お前、今回レベル上がったからサイクロプスも……なんて思ってる?」

「あれ、違うんですか?」


「いや、さも『行きますよね。当然。』みたいな顔してるけどさ。どんだけ時間かかったと思ってるのさ。もうクタクタだよ。回復魔法くらいじゃどうにもならないさ。」

「サトシ。一度家に帰ろ?」

 ってか、アイ。お前はどんだけ家が好きなんだよ。


「とりあえずサトシ、お前計画性なさすぎだ。取り敢えず作戦立てるために、町にリサーチに戻ろうぜ。」

「リサーチですか?」

「ああ、なんか重要な情報を見落としてる気がしてな。」

「重要な情報?」

「お前憶えてるか?飲み屋の女将の話。」

「なんか言ってましたっけ?」

「魔獣たちの事だよ。」

「ああ、でもお爺さんの方がいい情報くれませんでしたっけ?」

「あれは、あれで良いんだけど。その前に、女将が言ってたろ?

 『骸骨騎士なんかのアンデットとか、あ、首のない騎士が出たって騒いでた鉱夫が居たね。あと、屈強な大男で目が一つしかない奴に襲われたとかなんとか。』

 ってさ」


「物まねの再現度が半端ないっすね……」

 ちょっと似せ過ぎたか。引いてるなサトシ。いや、違う。そこじゃない。

「じゃなくて。内容を聞けよ。」

「あっはい。」

 いや~。真面目に聞いてない。全く聞いてないよこの子。


「だから、内容をよく思い出せって。」

「いや、思い出してますよ。ちゃんと居たじゃないですか?骸骨騎士も、デュラハンも、サイクロプスも。」

 大丈夫かこいつ?ちゃんと脳みそ動いてる……って。データだった。それを検証するのが俺の仕事か……


「それに出会うのに、俺たちがどれだけ苦労したと思ってる?で、その話を女将にしたのはおそらく鉱夫だぞ?」

「え~。あ!そう言う事ですか。確かに骸骨騎士を倒さないとデュラハンやサイクロプスに会えませんね。」

「そういうことだ。鉱夫たちが倒せるわけないから、倒さなくても中に入る方法があったってことだよ。」

「あ~!」

 サトシは今更頭を抱えている。そう。おそらくもっと効率的に中に入る方法があったんだ。もしかするとここから先もあるかもしれない。

 ともすれば、マンティコアを倒す方法もなにかあるかもしれない。


「まあ、今となっては有力な情報は期待薄だが、体力回復の意味も込めて街に帰ってリサーチしたほうが良いと思うぜ。それに、このサイクロプスをギルドに持っていけばいい金になるんじゃないか?」

「なりますかね?」

「素材としても価値はあるだろう。まあ、持って行ってみようぜ。金が入ったら新しい調味料なんかも買えるかもしれねぇし。」

「ホントに?」

 アイの目が輝く。

「……あんた、たまには良いこと言うわね。何が目的?」

 信用されてねぇ。

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