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2022/1120 『子どもたちの逆襲』とのコラボ(作:カオス饅頭)

【文章】カオス饅頭

【コラボ先】子どもたちの逆襲 大人が不老不死の世界、魔王城で子どもを守る保育士兼魔王 始めました。

作者:夢見真由利 様

ncode.syosetu.com/n0124gr/

アダマス少年。アルケディウスへ

【それっぽいあらすじ!】

ある日目を覚ますと、アダマスとシャルはアルケディウスの森の中に居た!

取り敢えずサバイバルで世界観の把握と腹ごしらえをした後、情報収集に町へ乗り出し、緊急用に持っている金貨と宝石を換金し、シャルと観光デートを楽しむ!(ついでに情報収集)

しかし、金髪碧眼でガバガバお金を使う二人は噂の『聖なる乙女の子供達』と勘違いされ、町外れで休んでいるところを、悪い人に狙われるのであった!



ボクの目の前には3人のチンピラ。

読心術を使うに、何か恨みという訳ではなく、誘拐を目的としている事が分かる。


敵の武器はナイフ、棒、そして長剣だ。

長剣はまだ抜かれていないが、何時でも抜けるような重心をしており、剣術の心得があるのは間違いない。


何か言っているが言葉の知識はゼロ。

しかし、この世界に来て数時間が経った。探索中に人々の会話を聞いて、その言葉に込められるないし反応による感情を読む。

それによって大雑把な文法と単語の意味の把握。

そして単語を分解し、「接頭語」「語根」「接尾語」などの法則性を見だせばカタコトだけど理解は出来る。


例えば先程から腰に長剣を差した男はチンピラから『上』の存在に見られている。

そして二人とも特定の符号で彼を呼んでおり、そこには市場などで上司を呼ぶ時の言葉が含まれている。『リーダー』『親方』『ボス』といった意味合いか。


分析しているとシャルから声がかかる。


「だ……大丈夫なのかや、お兄様?」

「ん、ああ。まあ、これくらいなら何とかなるかな」


ボクは靴の踵を踏み、蹴る動作で投げ飛ばした。目標は敵のリーダー(仮)。


アセナ流喧嘩必勝法「一番強いヤツから倒せ!」

チンピラの世界とは強い者に従う野生の世界。一番強い人物が倒されると士気が一気に落ちて、場合によっては戦わずして勝つ事も出来る。


虚を突かれた男は思わず顔に当てる事を許してしまい、生物の本能に従って一瞬目を閉じる。

投擲を斬り払う抜刀術は無しか。そこまで実戦向けの剣術じゃないのかな。


靴を追って駆けていたボクはそんな事を思う。

さて。

こうして一瞬で攻撃の間合いに入れたので、敵の顔にぶつかり未だ宙にある靴を握り、そのまま思い切り鼻っ面に叩き付けた。

靴のしなりを利用して慣性を込めているので、かなりの威力になる筈だ。


簡易ちゃんブラックジャック。つまり、ハリセンの原理を利用した棍棒だね。

他の例では靴下にコインや小石を詰めて振り回したり、ミステリー小説なんかでは鈍器として使われる。

取り敢えず、鼻骨の一本でも砕いとけば勝ちと認めてくれるとは思うんだけど。


が、違和感を感じる。


「……!?」


──折る感触が返ってこない?


パンという音とは裏腹に手応えが予想とは違ったので、何かが起きる前にバックステップ。

そして予想通り、ボクが居たところを銀の軌跡が疾った。長剣である。

鼻を抑え、不機嫌そうな顔をした男が剣を抜いたのだ。周りの子分(仮)達が囃し立てる。

痛みはあるらしい。


耳を澄ませて言葉を分析しようと思ったが、現地調査の最中に何度か聞いた事がある単語であるのを思い出す。

薄く目を開き、目の前の男を見る。


「なるほど。『不老不死』か」


しかも先程の手応えを思うに、この世界の不老不死は『傷を負う事』を得る事を禁止されていると考えられる。

と、なれば骨折・脱臼なんかはあまり使えないかな。バリツではキツいか。

だが一方で、反射など生物の本能は残っていると考えられる。


リーダーは周りに声を掛けると、今まで突っ立っていたチンピラ達が襲いかかってきた。

ふーむ、周りはどうかな?


薙ぎ払うように飛ばされた鎖は、即ち鞭である。先端は速いが持ち手の速度は並。

故に相手の手を見れば、軌道は予想出来る。


手持ちの靴を上に掲げた状態でしゃがめば、鎖は靴に巻き取られて一回転。

向かっている最中のナイフの男の頬を引っ叩いた。

一回転もあった事で結構な勢いが乗っかっていたのか、そのままナイフの男は、顔に真っ赤な鎖の跡を残して倒れる。

耐えられない痛みに対して両手で頬を押さえて四肢をジタバタさせていた。


なので駆け寄り、蹴り上げてナイフを回収。リーダーの居る位置に投げる。

だが、それはフェイントだ。強い回転を加えられたナイフは強烈な弧を描き、鎖持ちの方に向かう。

まさか自分が狙われていたとは考えていなかったのだろう。腕にすんなり刺さり、鎖を落とした。

そこで一気に駆け寄り、視線が合う程にジャンプ。チンピラの後頭部を両手で抱えて引き寄せ、全体重を乗せた飛び膝蹴りを喰らわせた。

子供の体重だけど、顔面なら効果あるんじゃないかな。

なのでゴキリといい感じに鼻が折れた音がして、意識を刈り取る事に成功するのだった。


なるほど。周りの二人は違うと。

と、いう事はこの世界は不老不死とそうでない人種が混在していると読み取れる。

目の前の集団の態度と技術を見るに、恐らく不死である事が特権階級に繋がっているのではないだろうか。

つまり相手は騎士崩れ。もしくは盗賊騎士のようなものか。


靴を履き直して鎖を拾い、ブンブンとプロペラよろしく宙に振り回す。

ああ、やだやだ。一番強いヤツから倒せって言われているのに結局最後になってしまった。


「ほんと、世の中ってのは思い通りにいかないもんだよね」


覚えたばかりの言葉は、買い物デートの最中に店主が言ってたもの。

今まで無口だった対戦相手が突然喋り出したらつい意識してしまうだろう?

と、いう訳でたっぷりと遠心力を得た鎖を放つ。


鉄鎖術というのをやってみようか。

ぶっちゃけ、それなりに訓練を積んでいるんだけど日の目を見ない技術だ。

貴族としての夜のお勤めで鎖を使う時に役立つ程度か。

手首の微妙な動きで変化する軌道は、宙を舞う蛇の如し。彼の顎が狙うは長剣である。


刃に巻き付いていく鎖。

しかし男は、叫びと同時に鞘を抜くように長剣を思い切り引く。なんと鎖が切断された。

鎖の力のベクトルを利用したカウンターだ。鎖の質があまり良く無いのもあるが、それでもかなりの腕力が必要である。

『斬鉄』か。良い技持ってるねえ。


だけど、それで良い。なんらかの手段で防がれる事は織り込み済みさ。

手元に持っていた残りの鎖をそのまま投げつけると、今度は軽く動いてかわされる。

だからこそ良し。人は動いた直後に動けない。


再び間合いに入ったボクは、思い切り咆哮す。

強化魔術発動!


「うおおおおおおっ!」


人間の理を超えた力を発揮すれば身体を壊してしまう技であるが、一時的に子供の力を成人男性並に引き上げる程度であるなら、その限りではない。

体内に込められる魔力の量からして数秒しか出来ないが、十分だ。


先ずは軽く宙に跳んで左足で金的。次いで右足で水月(みぞおち)蹴り。

この技の本番は此処から。

水月に爪先をめり込ませたまま、左足を振子の如く振って相手の肩に乗る。つまり水月を踏み台にして肩に駆け上がった訳だ。

その勢いを利用して、階段よろしく水月を踏み上げた右足で顎に膝蹴り。


普通なら睾丸・肺・顎骨・歯・頭蓋が全て破壊されて入院の重症。もしくは死んでもおかしくなのだが、そこは不死。やはり無傷か。

故に、膝の衝撃で上を向いた顔。正確には『口』に向かって握り拳を放った。


口に拳を詰め込まれ、首一本に全体重を乗せられた男は、そのまま仰向けで地面に倒れ込んだ。

しかし口に拳は入ったまま。

着地と同時にボクは馬乗りの体勢に入り、腕による攻撃や振り落としを防ぐ。

それでも歯で腕を噛んで攻撃する事も出来る筈なのに、もがいているばかりだ。


禁じ手:根止


握拳を以て気管を塞ぐ。

口に侵入する物を噛めないという、動物の本能を利用した技だ。

ある武術家が熊と戦っている時に偶然編み出した技らしく、弱者が強者を倒すという意味では武術らしい技とも言える。


ただし気管を防がれるという事は、当たり前だが呼吸が出来ない。

血液中のガス交換ができず血中酸素濃度が低下、二酸化炭素濃度が上昇し内臓や身体に重要な組織が機能障害を起こす。


静脈と動脈が混ざった『紫』。

チアノーゼ反応によって紫色の顔色をした男は、もがきとは別に痙攣状態に入る。

そして段々と眠るように筋肉が弛緩し、瞳孔が散大。反射機能も喪失。いわゆる『死んだ魚のような目』になる。

意識が消失。ボクは気管に詰め込んだ拳を抜く。


「低濃度酸素に二酸化炭素。『毒』は効いたみたいだね」


溜め息を付いていると、シャルが駆け寄ってきた。


「お、お兄様!?大丈夫なのかや」

「ん〜、ああ……不死者らしいし、一般人でも蘇生可能なラインだ。大丈夫でしょ」

「いや。それはどうでも良いのじゃが、お兄様が!」


あらま。こんな時にまでボクだけの心配とは愛い奴め。ボクは適当に男の服で拳を拭った。


「身体は問題ない。でも、ヨダレがベットリなのがねぇ。

仕方ないし、テキトーに水場見つけて洗うよ。なんか石鹸とかあると嬉しいんだけどね」

「そういやさっき市場で『聖なる乙女が髪を綺麗にする液を作った』とか聞いたの。シャンプーかの?」

「そうかも。その辺考慮しつつ、『聖なる乙女』さんでも探してみようか」

「じゃの!案外知ってる人かも知れんし」


いや〜、流石にそれは無いんじゃないかな。多分、きっと。

とはいえ、それ程の人物なら何か便利そうな情報も持ってるかもね。お金はまだあるし、貴金属・宝石も十分。ちょっと大きなお店から接触してみようか。

ええと、確か『ゲシュマック商会』だったか……


ボク達は再び、歩みを進めるのだった

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