プロローグ
連載版、始めました。よろしくお願いします。
初日は数話連続で上げていきます。
「リフィル・アルカード。キミとの婚約だが、今日この日限りを以って婚約破棄とさせてもらうッ!」
ダリアス・マクシムス侯爵令息はその手に持っていた書類の束をわざと私の顔へと投げつけるようにして、そう言い放った。
「そ、そんな……本当によろしいのですか……?」
「今までキミのお父上の手前、言い出せなかったが、今日という日はキミに現実を突き付けてやる。いいか? 貴族の嗜みや礼儀作法をロクに知らず、淑女にあるまじき身なり。しまいには魔力も最底辺」
ダリアス様は留まる事なく、私への不満をぶちまけ続けた。
「更には魔法のお披露目会で他の伯爵令嬢に恥をかかせたそうだな!? 自分は大した魔法も扱えない癖にッ!」
他の令嬢に恥をかかせた? とは何の事だろうか。
「何故キミのような落ちこぼれで性格の悪い女が私の婚約者でいられたのか、今考えると不思議でならないッ!」
と、興奮気味にダリアス様が暴言を吐き捨てるのはいいのだけれど、汚らしいツバを私に飛ばすのだけは正直勘弁して欲しい。
「……わかりましたわ!」
「私との婚約が解消されてしまえば、キミはまたあのど田舎に帰って貧乏暮らしを余儀なくされるだろう! だがハッキリ言ってやる! キミは能無しな上、見るに耐えないそのブサイクな顔! 容姿ッ! 誰がどう見ても天才であり高貴な上流貴族であるこの私とは釣り合わないッ! だから……」
「はい! だから、わかりましたわ! 今日限りで婚約破棄、謹んで承りますわ!」
「は……あ、え?」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をダリアス様がしているのも当然。だって私は満面の笑みで彼の言い分を受け入れたのだから。
確かに私は上流貴族の嗜みは勉強不足だし、メイクも不器用で下手くそだから鏡に映った自分がとても可愛くなかったし、流行りのファッションもよくわからないし、そのせいかこの土地での友人も少ない。それだけならまだしも、貴族として誇るべき魔力量が今現在の私には圧倒的に低かった。
だからこのダリアス様が言っている事はだいたい本当だし、私はそれに関してなんの憤りも感じていない。
「それでは今日限りでダリアス様とは他人という事でよろしいですね?」
「あ、ああ。そうだが、それで本当に良いんだな? 私との婚約が解消されればキミの領地への資金援助も一切無くなるんだぞ? 今なら土下座して泣いて頼むなら、側室の妾程度には置いてやっても良いんだぞ? でなければキミのお父上もさぞお困りに……」
「いえ! 結構です! こんなブスがお傍にいられてはダリアス様も気分が悪いでしょう」
「じゃ、じゃあ私はもう本当にキミの事なんか知らないからな? 私が相手にしなければキミみたいなブスなんて誰にも見向きもされないんだからな? 今日から婚約者でもなんでもない、赤の他人だからな!? いいんだなリフィル!?」
「ええ、もちろんです! 今までお世話になりました!」
私はペコリと素早くお辞儀をして、その場からルンルンと軽い足取りで立ち去った。
「な、なんなのあの態度! ダリアス様のような魔法の天才を目の前にして……! ほんっと嫌な女! やっぱりダリアス様の妻に相応しいのは同じく魔法の才のあるこの私、セシリアしかありえませんわね」
私の背後から、わざとらしく聞こえるように大きな声でそう言っている女がいる。
彼女の名はセシリアと言って、とある伯爵家の令嬢で、常日頃からダリアス様と婚約関係にあった私にことごとく突っかかってきた、凄く鬱陶しい女だ。
「ねえ、そうでしょう? ダリアス様ぁ」
「ああ。最初からキミだけを愛していれば良かったよ、セシリア」
婚約破棄を言い渡した途端に他の女とイチャついてみせるダリアス様の底の浅さに苦笑した。
「私ぃ、魔法のお披露目会で彼女にすごーく嫌な思いをさせられてきたんですの。だから、本当いい気味! 将来有望なダリアス様をあんな女に任せておけないもの」
なるほど、そういう事かと納得。
セシリアさん、どうぞどうぞ。遠慮なくそのポンコツとくっついてくださいな。
私はこれで遠慮なく田舎に帰れます。
ようやく連載版、始められましたッ!
面白い、応援したいと思って頂けましたならブックマークや⭐︎を押してくれるとモチベ向上になりますッ!
どうかよろしくお願いしますッ!
↓こちらは短編版です。
https://ncode.syosetu.com/n0448hr/




