悔し涙
「ほんまダルいでなあいつら」
あまねは自宅の自室でひとりごちた。
時刻は午後四時半。
もうすぐ黄昏時だ。
最近は太陽が沈むのが早くなってきて、街が闇に包まれるのが大分早くなってきた。
あまねは学校でいじめられていた。
あまねの度が過ぎる暴言がきっかけだった。
「お前ら返事せんかい!!ぶっ殺したろか!!」
あまねはそう怒鳴った。
最初、あまねは一部の女子生徒からあまね自身の気の強さが原因で嫌われていて無視されていた。それが今回の暴言でほぼすべてのクラスメイトから無視されるようになった。
でもあまねは自分がこれっぽっちも悪いとは思っていなかった。なぜならあまねの性格が悪いからという理由だけで無視するほうが悪いからだ。
「あいつら子供じみたことしよって、ほんまに」
あまねは震える声で怒りを噛み締め言った。
「バァーン」
あまねは目覚まし時計を床に叩きつけた。
ドンドンドンとおばあちゃんが階段を登る音が聞こえてきた。
おばあちゃんが自室の扉を乱暴に開けた。
「あまねっ、どうしたんや!」
おばあちゃんは、一体何事だ、と言わんばかりの顔と声色であまねを心配した。
それに対してあまねは答えた。
「なんともない。ちょっとイライラしとっただけや」
あまねはそう小さな声で言って、なんとなく自室のカーテンに手をかけた。
「ほんま腹立つで」
あまねはいつもの覇気はどこへやら、子犬のような弱々しい声で呟いた。
部屋の外はもう薄暗くなってきていた。
おばあちゃんがそっとあまねを抱きしめる。
そしてあまねは悔し涙を流した。