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『三つの宝』

情報を整理してから、黒川紗耶香は宝の在り処を凡そ推測することができた。

(私は何をしていますの。これはまずいですわ。この推測が正しければ私はほぼ負けが決定します)

改めて紗耶香は自分の推理を整理する。

お宝といえば何を思い浮かべるだろうか。

そのヒントはきっと、ここが日本ということ。

何故なら、それ以外にヒントがないからだ。紗耶香は間もなくそう結論付けた。

紗耶香は漏れなく完璧な動きを見せた。NPCに聞いて回り、上からも探してできる限りの捜索をした。

それでも、結果として宝は新雪の巫女が手に入れている。

そこで、黒川は発想を転換した。

そもそも、ヒントはすでに出揃っているのではないかと。

そこで、ヒントとなり得る物はあるだろうかと考えた。

情報は多くない。初期位置とここが日本本国であることだけ。

天彦から聞いた初期位置と黒川紗耶香の初期位置には共通点やヒントとなりそうなものはなかった。

それでは、日本ということがヒントになるだろうか。

日本での宝といえば何が思い浮かべられるか。


金銀財宝?徳川の埋蔵金?豊臣秀吉の遺産?

それらは宝としては日本で最も有名だろう。だが、ヒントはそれだけではなかった。

2対2で宝が一つでは味気なくチーム戦としてのバランス調整として考えられていると思われていた3つという数字にも意味があったのだ。


日本三大秘宝と言えば分かりにくいか。

日本で一番有名な三つのお宝。

それは、日本人の血脈に受け継がれし古代の宝。

即ち、日本三大神器に他ならない。


一つ目は、愛知県 熱田神宮に眠る草薙の剣。スサノオノミコトが、ヤマタノオロチを退治して体内から発見したとされる伝説の剣。

二つ目は、三重県 伊勢神宮に奉らわれている八咫鏡。スサノオノミコトの姉神であるアマテラスノオオミカミが弟神であるスサノオノミコトに怒りしたとされる岩戸隠れの際イシコリドが作ったとされる鏡。

三つ目は、東京都 宮中に鎮座する八尺瓊勾玉。スサノオノミコトの兄神であるツクヨミノミコトを象徴するともされる勾玉。


それらは、古くから伝わる日本の三大秘宝、神器である。

そして、それは相手も気づいていることになる。

既に、宝を手に入れているのは偶然ではないだろう。

(しかし、既にあれから1時間以上がたっています。あちらのパートナーが仮に移動系統の能力だとしたら既に勝負は終わっているはず。ならば間に合う。)

黒川紗耶香が勝ち目を計算した瞬間風が舞う。

彼女の気持ちを表すような痛烈な上昇気流。観客にもわかるほどの上昇気流が天高く舞い上がる。

瞳はすでに金色の瞳となっている。


一迅の気高き風が舞い上がる。


(この場所は恐らく東京。東京から巫女服の姿は見えなかった。即ち、雪野さんが見つけた宝は八咫の鏡か草薙の剣。そして、次に向かう場所は恐らくそのどちらか。それを奪う。そうすれば勝てるはず。)

それに加えて、そこで宝さへ奪うことができたら紗耶香は勝利できる。勝利の可能性を自覚する。

(おそらく現時点であちらが二つめの宝に行っていないということはパートナー含めて私の方が足は速いはずです。それならば、次の宝さへ奪うことができれば確実に勝てる。)

だが、既に1時間以上が過ぎている。車などはあることは確認しており伊勢神宮から、熱田神宮までは車で飛ばせばそろそろ着く時間である。そのため、焦りを及ぼしていた。

(私の最速は呼吸や空気抵抗の関係で時速250㎞。これまでは、一度もこれ以上の速度を出さないと行けないということはなかった。生身の身体でチーター以上のスピードを出すことができれば十分でしたから。しかし、それではここから1時間近くかかってしまいます。それではきっと間に合わないですわ。)

唇をかむ。自分の力不足をまたしても彼女は嘆く。

焦燥感。何か手段はないか、彼女は探す。

だが、見つからない。

それでも、探す。彼との約束を果たすため。

敗北の苦汁を再びなめるまで。

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