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3/魔王への供物

最近、懐古の発作が激しいです。

昔やっていた、やりたかったゲームが無性にやりたい今日この頃。


ロクヨンとか、

WindowsXPとか、

やりたいんですねぇ。

●レベル屋の外/裏通り


 今日も務め――確か夕方に冒険者が1人だったか――を終えた。

 何よりも今晩は、幼馴染との酒の席。

 役場からもらえる給金が、酒代で溶けていく。


「ふ~イイ気分だ。うぃっく」


 オオバ、危ない足取りで路地を歩いている。

 裏通りと呼ばれた、月光も届かない場所。

 近道とばかりに、壁に手を当てながら通る。


 しかし、何かに足元をすくわれて倒れこんでしまう。


「ッ、いってて。なんだってんだ、おい」


 オオバ、打ち付けた肩を押えながら、足元を睨む。

 そこには壁に背を預けた、男が座っていた。

 月明りがない通りでも、頬がこけて生気がないのがわかる。


「ぁ? アンタ、大丈夫か?」

「………………い……」


「あ? なんだって?」

「……く…………も、ノ……」


 男の呟きに、耳を寄せるオオバ。

 乾ききった唇から、やっと満足な言葉が聞き取れる。


「クイモノ? あぁ、何か食べたいんだな……ちょっと待ってな!」


 確かここに、と小汚いバッグを漁る。

 やはり明かりが乏しい場所では、中身を取り出す事も容易ではない。


 面倒に思い、バッグの中身を無造作に放り出す。

 レベル屋の命ともいうべき”レベルの書”も地面に落とす。


「……っ……」


 と、まるで死体のように動かなかった男の身体が反応した気がした。

 気に留めず、オオバは念願の物を取り出す。


「あったぞ。酒場で食いきれなかった酒のつまみだ。少し辛いが……食うか?」



×××× ×××× ××××



●レベル屋/店内


 結局、なし崩しに放浪の男をレベル屋に上げる事になった。

 酒のつまみが辛く、ずっと水を欲しているからだ。


 流石に、ふかし芋と肉を辛く炒めた酒のつまみはまずかっただろうか。


 餌をやった後もついてくる猫よろしく。

 オオバ、男を店内に入れて水を差しだす。

 

 咽喉も乾いていたのだろう。

 おかわりを3杯、飲み干してやっと一息つく。


「馳走になった。感謝する」

「いいってことよ。困ったヤツがいたらお互い様さ」


 オオバも、持ってきた器で水を飲み干す。

 酔いはとうに醒めていた。


「我が城を追い出されてから早1週間。ほとんど飲まず食わずだったものでな」

「そうかい」


「貴様には感謝したりない。褒美を与えたいが、今のその……与えるにふさわしい物が手元になくてな……」

「要するに一文無しってわけか」


「う……む……その通りだ……」


「いいよ、別に。貧乏人に見返りを求めるほど落ちぶれちゃいない」

 

 男の容姿は、汚れきってはいるが上等な生地なのは見て取れる。

 領主や上級レベルの階級者が来ているような、タキシードによく似ている。


 加えて荘厳な言動、整った容姿。

 おそらく、以前はどこかの地位もある人間だったのだろう。

 

「……時に貴様、いや貴殿は……レベル屋なのだろうか?」

「ん、そうだが?」


「いや、我も人間であった時はレベル屋だったのだ。奇縁な物よ」


 と、店内の隅に置いたバッグを見つめる。

 レベル屋の資格ともなる、古びた書籍の事だろう。


「そうなのか。んじゃ自分のレベルも上げて、上級レベルのお偉いさんになったのか。すごいな」


「……うむ。レベル20を超えて人間の限界に気づき、先代魔王を倒してなし崩しにその地位を継承してしまったのも昔の事だ」

「そうか、大変だったんだな」


 レベル20。

 先代魔王。

 地位、継承。

 そうした不穏な言葉が耳に入ったが、どこを信じればいいのか。


 というより、浮浪者の与太話に近い。

 それとなく話を合わせるオオバ。


「んじゃ、アンタのレベルはいくつなんだ?」

「レベルか……うむ、確か34は到達していたはずだが?」


「はは、レベル34か。それはすごいな。国王でもレベル18止まりだってのに」

 

 人間の領域で、レベル34はありえない。


 なぜなら過去の歴史上、人間の最高のレベルは20。

 今から約1世紀前。

 先代の魔王を倒した勇者その人であると伝えられている。

 だが、その勇者も姿をくらましてしまったのは有名だ。


「決闘では負け知らずの我も、流石にクーデターになるとお手上げでな! 臣下の手引きのおかげで命からがら、統治下から逃げてきたのよ! そうしたらどうか! 1世紀前と人間達の生活が様変わりしてるではないか!」


 段々と言葉が荒げ始める男。

 それを生暖かい目で見守るオオバ。


「……はぁ……明日の朝飯、どうすりゃいいかな……」 


 空腹の男に与えた、酒のつまみ。

 当然、すべて男の腹の中だ。


 このままだと、大の男2人分になりそうだ。

 オオバ、肩を縮めて深いため息をついた。

今作は、できるだけ連続投稿していきます。


今までは一気に書いて、推敲して、投稿していましたが……

1章書いて投稿スタイルにしたいと思います。


そのためモチベーションが保てるか、不安です……(汗)


もし、設定や内容でちょっとでもワクワクしてもらえたら

ブックマークや評価をポチっとしていただけると励みになります!!


どうかよろしくお願いします!!

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