表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

2/悪評のレベル屋

個人的に、縦読み派です。

横読みだと、あまり頭に入らないからです。


加えて数字も、漢字派です。

横読みだと、1000とかの数字が変な感じになるからです。


でも、読みやすさ考えたら横かな……と思っている自分もいます。

そのため、本作は横読み推奨です(苦笑)

●レベル屋/店内


 いつも通り、昼前に店を開店する。

 数時間後、やっと1人目の冒険者が入店した。


「邪魔するぜ。経験値溜まったんで、よろしく頼むわ」

「……ん。あぁ、らっしゃい……」


 受付でうたた寝をしていたオオバ。

 目をこすりながら、大きな欠伸をする。 


 ぼやけた視界に映る、男の顔。

 あまり見ない顔だ。

 一見さんだろう。


「ねぇちょっと……本当にココでレベル上げるの?」

「仕方ねぇだろ。次の街まで歩いて3日だ。この街でレベル上げとかねぇと経験値が無駄になっちまうだろ」


「そうだけどさ……こんな狭いトコで何もレベル上げなくていいじゃない……他のトコ行こうよ……」

「この街にはレベル上げれるトコは、この店しかないんだよ。我慢しろって」


 男の冒険者が連れの女を諭す。

 仲間の女は見るからに、怖気づいて店先に佇んでいる。

 

 それもそのはずだ。

 オオバが営むレベル屋は、他の街のそれと比べて規模が小さい。

 

 店内は、数席の木製椅子と受付のみ。

 面積にして5畳もない。

 とにかく狭い、木造の内装なのだ。


「きっとモグリだよ、ココ……違うトコにしようよ……」


 モグリとは失礼な――という言葉は飲み込んでおく。

 けなされるのは、慣れている。

 誰が、どう見ても信用に足る店構えではないのは明白だ。


「悪いな嬢ちゃん。ココは個人営業なんで、店主のオレしかいないんだ。他にレベル還元資格を持ってるヤツがいなくてな」


 狭いが勘弁してくれ、とオオバは冒険者の女を見る。

 だが、女は扉越しに隠れてしまう。


「ははっ。いや、すまん。連れの失言は謝る。で、頼めるか?」

「任せとけ。んじゃさっそく始めるぞ」


 オオバ、年季の入った書籍を机の上に音を立てて置く。

 レベル屋御用達の道具”レベルの書”だ。


 滑らかな皮細工の表紙。

 中身の分厚さは、ゆうに拳1個分。

 少々痛んだ様子はあれど、この書により他人のレベルを上げる事ができる。


 男の冒険者、慣れた様子で右手をその古びた書籍に乗せる。


「よし、もういいぞ」


 オオバの声で、冒険者は手を静かに引く。


 オオバ、黄色の頁をめくり、とある頁を開く。

 その頁にはこう記されている。


 

◆名前:エルグラ(男)

◆レベル:2

◆経験値:120/80


◆体力:30/45

◆魔力:10/10

◆戦闘力:20

◆防御力:12

◆素早さ:10

  


「ん、レベル3に上がる経験値は十分に溜まっている。上げていいんだな?」

「愚問だ」


 その答えに、大きく頷くオオバ。


「かのレベル神の名に於いて、代行者オオバが――」


 と、レベル上げのための祝詞を唱え始める。

 同時に冒険者の身体を覆うような、かすかな発光。



【エルグラはレベル3に上がった】


◆名前:エルグラ(男)

◆レベル:2⇒3

◆経験値:0/100



【エルグラの能力が上昇した】

【体力が微回復した】


◆体力:50/50

◆魔力:10/10

◆戦闘力:22

◆防御力:13

◆素早さ:10

 


 旧表記が消え、新しい能力の表記が更新される。

 その頁に記された者が、レベル3になった証拠である。


「お疲れさん。ほれ、見事レベル3に到達したぞ」

 

 と、男の冒険者に自身の頁を見せる。

 そして、いつもの定型文を添える。


「レベル申請書はいるか? 1枚で10ドルツだ」


 レベル申請書。

 現在のレベル――冒険者の場合、レベル3――を役場に申請するための推薦状である。


 それを提出する事により、街役場にて冒険者の情報が更新される。

 レベル3になれば、役場からの給金が増える。

 確か、今だと日払いでも2ドルツはもらえるはずだ。 


 ここで、少し冒険者の顔色が変わる。


「うげッ10ドルツってボッタクリじゃねぇか……相場は2ドルツのはずだろ?」

「嫌なら他のレベル屋に頼みな。隣街のレベル屋は、さっきいってた通り、歩いて3日だ」

「……足元見すぎだろ……」


 加えて説明すると、レベル申請書はレベル屋でしか発行できない。 

 つまり、レベル申請書がないと自身のレベルが確定されないのだ。


 この冒険者の場合、ずっとレベル2として扱われてしまう。

 

 そうなると、冒険者も死活問題だ。

 レベル2のままだと、役場から支給される給金が違ってくるからだ。


「もうっいわんこっちゃない! もう申請書なんかいいから早く宿屋に行こうよー!」

「……そうだな、うん。じゃあなクソ親父。そんな高値で誰が買うかよ!」


 2人の男女、冒険者が去っていく。

 レベルを上げてやったのになんて言い草だろうか。


「ちくしょう、こっちだって生活がかかってるんだ。四の五のいうんじゃねぇよ、ハナタレ小僧が……」


 と、椅子に背を預けてふんぞり返る。

 そのまま閉店を迎え、結果、その日の客はその冒険者だけだった。


 モンスターの出現が減った事はもとより。

 彼、オオバが営むレベル屋の風評はあまりにも良いものではなかった。

今作は、できるだけ連続投稿していきます。


今までは一気に書いて、推敲して、投稿していましたが……

1章書いて投稿スタイルにしたいと思います。


そのためモチベーションが保てるか、不安です……(汗)


もし、設定や内容でちょっとでもワクワクしてもらえたら

ブックマークや評価をポチっとしていただけると励みになります!!


どうかよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ