元メイドと少年の魔女への復讐。
あらすじにも書きましたが、この作品内の市町村名は独断と偏見と語感だけでつけています。
そのため実在した場合、実在の都市とは関係ありません。
キーラはある屋敷のメイドであった。
キーラ容姿端麗でメイド長にも信頼を置かれ、とても充実した日々を送っていた。
ある日、キーラは買い出し帰りに箒に乗って空を飛ぶ女性を見かけた。
屋敷から遠く離れたこのアルタという町には近くに空港があるので、頭上を飛行機が行き来するのは日常茶飯事だった。
しかし、箒にまたがって飛ぶ女性はキーラは初めて見たのだった。
その箒にまたがった女性は何度も来る飛行機を避けて、すごく飛びにくそうだった。
幾度と来た中型の機体を避けながら、やっと空の上で一息つこうとコーヒーの缶を開けたときだった。
背後から嫌な予感と音が迫ってきた。
かなり大きな4発で総2階建ての旅客機だ。
僕は回避のため一気に降下した。
なんとか飛行機との衝突は回避したが・・・浮力を失って地面に真っ逆さまに落ちていく。
キーラは上を見ていたら転んでしまった。
そのときだった、背中に何かが落ちてきた
キーラは思わず「ふぅぇつ」と変な声が出た。
驚きと重さが急に掛かったときの声だ。
キーラは背中を見る。
黒髪で黒いコートを着込んだ女性が背中に載っていた。
「イテテェ・・・ごめんね・・・。お嬢ちゃん・・・」
キーラは驚きのあまり声も出ない。
周りには注目されるし散々だ。
キーラは少し冷静になって「あの・・・降りてください・・・」
「あっ、ごめん・・・。僕、載ったまんまでしたね」と言い、その人は降りる。
その人は明らかに足を引きづって頭から血を流していた。
キーラは「あの・・・」
その人は足を止め振り返る。
キーラは「私の館で手当を受けてからでも・・・。この国を旅立ってくれませんか・・・」
「僕を気味悪がらないなんて・・・。君が初めてだよ・・・」
路面に敷き詰められた煉瓦がバラバラと宙に浮く。
キーラは言葉を失った。
彼女は魔女であった。
平穏だった町は一気に地獄絵図と化す。
周りの住民は銃を持つ者は僕に向けて銃を構えて、ありとあらゆる凶器やモノ怒号が飛んで来て、周りの人間は狂ってしまった。
「僕は異世界から来た・・・。こうなるのは宿命だった」と、つぶやいて僕は町を破壊した。
僕は敢えて彼女だけは生き残らせた。
「あなたには帰る場所がある・・・」と言い、その場を立ち去った。
町が原因不明の大爆発で消えた事件は国内で大きなニュースとなり、海外でも大きく報じられた。
その爆心地で唯一生き残っていた女性としてキーラは有名になってしまい。
屋敷を追われる羽目になった。
メイド長は「私があの日、アルタへ買い出しへ行けなんて指示をしなければ・・・。もっと屋敷に居れたかもしれないのに・・・。優秀な部下を失うことになってとても残念に思う」と涙をにじませながら言った。
キーラはそれ以降、記憶の片隅に残った記憶とわずかな手がかりを元に生まれ故郷のアルタを消し去った魔女を追うことにした。
キーラの生まれ育ったアルタは古い町並みが残って観光名所にもなっていたが、現在となっては消し飛ばされなかった建物の一部が廃墟となり残って居るのみだった。
近くにあった空港も爆発に巻き込まれた。
建物自体はある程度は残っているが、かつての栄えていた面影名は無い。
折れた管制塔に壊れた飛行機の亡骸が転がるだけの廃墟になっていた。
国はアルタという町があったことさえをひた隠し、人々の記憶からアルタという町は消え去ろうとしていた。
慰霊塔や慰霊碑すらもつくられていない、町に花を添えるのはいつもはキーラただ一人だった。
キーラはいつもの場所に一輪の花を供えようと前を見上げると、黒いフードをかぶった少年がいた。
少年は軽く頭を下げて去っていた。
キーラはいつもの場所に花を供えて、少年を追いかけた。
その少年はすぐに見つかった。
キーラは「君も花を供えてたみたいだけど・・・。ここに思い入れがあるの?」
その少年は「私は・・・。5歳の時にこの町を出ることになった・・・。あの爆発の所為でね・・・。」
キーラは驚いた。
アルタという町で生まれた人間の生き残りがいたなんて・・・。
キーラは「あの魔女を一緒に探してあの魔女に復讐をしない?」と言う。
少年は「あの魔女に対抗なんて出来るの?この町を一瞬でこんな風にしちゃうんだぞ・・・」と言った。
キーラは「そうね・・・。ここには一人で来てるの?お母さんは?」と訊ねた。
少年は「私が10歳の時に、何者かに殺された・・・」と答える。
キーラは言葉を失った。
少年は「これくらいでいいか?」不機嫌そうに言う。
キーラは言う。「待って、家はどっちの方なの?あれだったら送っていくけど・・・?」
少年は「母の在所だったイヴァンス市ってとこに今も住んでる・・・」
キーラは「アルタに来るには大変だったでしょ・・・。今は電車や飛行機ではここには来られないから・・・」と言った。
キーラは少年を抱き上げる。
少年は「何をするんですか・・・やめてください」と叫ぶ。
キーラは「ここには誰も居ないから、叫んでも無駄だよ?私はキーラ。あなたは?」
少年は「千紘です・・・」と答えた。
キーラは「千紘ちゃん、よろしくね?」
千紘は「私を女の子だと思ってるのですか」と不機嫌そうに言う。
キーラは「いや、最初に見たときは女の子かと思ったけど、その不機嫌なときの声で分かったよ」と言った。
千紘は「あっ、そうですか・・・」と言った。
キーラは車で少年をイヴァンス市まで送ることにした。
キーラは車の中で千紘に「私もイヴァンス市ってとこに昔は住んでたのよね」言った。
千紘は「そうなんですか・・・どのあたりだったのですか?」と言う。
キーラは「当時はイヴァンス家でメイドをしていたの、だけどあの件で生き残ってから有名になっちゃって・・・」と答えた。
千紘はすっかり夢の中だった。
アルタ町を消し去ってから、17年。
僕は国境の街イヴァンス市に居た。
イヴァンス市は国の中心で議会にまでイヴァンス王家の息が掛かっている。
僕は懐かしい景色を見ながら、イヴァンス市を離れる列車に乗った。
千紘は越境列車の車掌をしていた。
千紘はイヴァンス市から新しく乗り込んできた、乗客の切符やパスポートを確認していた。
「切符とパスポートをご提示願います」
客「これです・・・。」
「切符はエランド迄でパスポートも問題ありませんね。ありがとうございました。益鷹様良い旅を」
そして、千紘は前の席の乗客の検札を行うとした。
「切符とパスポートのご提示を願います」
僕「切符なら、あるけどパスポートは無いかな・・・?」
「では、切符を拝見させていただきます・・・」
「イドラ市までですね。切符は問題ありません。しかし、イドラ市は国外です。パスポートはどうされました?」
僕「僕、実はこの世界の戸籍が無いんだよね?だから、パスポートが取れないんです」
「戸籍無しで今までどうやって生きてきたんですか?」
千紘は列車長に無線でパスポートの無い乗客が居る旨を伝える。
列車長はその乗客はエランドで降ろしてイヴァンス市へ列車を使って強制送還をする判断を下した。
「あなたはイドラ市へは行けません。パスポートがありませんから、そのためエランドで降車後係員の指示に従って、イヴァンス市へ行く列車へ乗ってください。運賃はイドラ市行きの切符であるためイヴァンス市への運賃はそちらの差額から引かせていただきます。」
僕は「このままイヴァンス市へ送り返して良いのかな?」と言う。
「不正乗車ではありませんが、不正入国の手助けをするわけにはいきませんから。」
僕は「君の第二の故郷である、イヴァンス市がどうなってもいいのかな?」
「車掌は拳銃の携行を許可されており、義務づけられています」と宣言の上、彼を撃つ。
彼は死ななかった。
「やだなぁ、急に撃ってこないでよ?僕ね。こう見えても女の子なんだ?これはだから男装さ。驚いた?」
死なないことに動揺した千紘は僕に向けて銃を乱射する。
「やぁ、もう弾切れ?これだから現代科学の産物は魔法に勝てないんだよ?」と言った。
千紘は「あなた・・・。アルタを消した・・・」と言う。
僕は「アルタを地図から消したのはイヴァンス家だよ?イヴァンス家というよりはイヴァンス王朝の方かな?それはあなたが一番知ってることでしょ?大人達が突然に消えたアルタという町を気味悪がり、地図から消して無かったことにしたのは」と言う。
僕は列車の窓を開けて「じゃあね?千紘君。君のことはキーラから聞いてるよ。飛ぶのは疲れるけど、キーラのご飯の時間もあるしね・・・。またね?」と言い列車の窓から飛び出して箒に乗って空を飛んでいった。
千紘は乗務が終わってからキーラから過去に教えてもらった、キーラが当時住んでいたストワ市を訪ねた。
キーラに教えてもらった一軒家はすでに廃墟と化していた。
千紘は割れていた窓から、部屋に入る。
中はかなりあらされていた。
千紘はなんとなく電気が止まって悲惨なことになっているであろう冷蔵庫の中を見た。
しかし、食品は一切入っておらず、中には封筒が入っていた。
千紘はそれを開き中から出てきた手紙を読む。
「千紘さんへ、あなたがこの手紙を見つけたと言うことは、私は死んだかあの魔女に捕らわれて居るということでしょう。あの魔女とは関わらない方が良い。だから、私が言ったあの事は忘れてほしい」と書いてあった。
千紘は「忘れること・・・・。出来るわけ無いじゃん・・・」と涙をにじませた。
それから千紘は車掌をやめて、田舎町のヘナと言う名前の農村に移住した。
ヘナ村は標高の高いところにあり、村の端へ行けばかつて乗っていた越境列車も下に見える土地だ。
あれから、しばらくたった。
千紘は26歳になった。
千紘はヘナ村の村長になっていた。
一人の村人が村長室に慌てて駆け込んできた。
その村人はヘナ村の端の農地を保有する農民だ。
すごく慌てた様子で「わしの農地に変死体が転がってる」と言うのだ。
千紘はその農地へ軽トラックを飛ばして急いだ。
村境近くの農地で越境列車を下に見下ろせる場所の農地にそれはあった。
千紘は「嫌な予感はしてたけど・・・・。やっぱりあなたですか・・・」と呟いた。
そこには変わり果てた姿のキーラの亡骸が転がっていた。
千紘は村に伝わるお祓いをしたあとに、キーラの亡骸を軽トラックに載せブルーシートを掛けた。
そして、キーラの遺体を村の火葬場に持っていた。
そして、キーラの遺体を棺に入れて申し訳程度の花しか無かったが、それを棺に入れて一緒に火葬することにした。
千紘は魔女のが去り際に言った。「じゃあね?千紘君。君のことはキーラから聞いてるよ。飛ぶのは疲れるけど、キーラのご飯の時間もあるしね・・・。またね?」と言う言葉が気になる。
千紘は「キーラのご飯・・・あの時すでに捕らわれ居たのか・・・」
千紘は後悔する。
キーラを助けに行こうとしなかったこと、魔女をあの時に捕らえられなかったこと、現実を逃避して農村の村長になったこと。
千紘は「私の所為でキーラはこんな無残な姿になってしまった・・・骨を拾う人も私しか居ない・・・」と泣いた。
千紘はヘナ村の村長をすぐに投げ出すわけには行かなかった。
しっかり、次に繋ぐ必要があった。
村長職の任期満了の日。
千紘は村人や後援会の人から出馬を求められたが、それを断り。
一人で魔女討伐の準備をした。
千紘はしばらくは魔女の情報を得つつも、収入を得るために貨物航空会社のパイロットして働いた。
2名乗務の3発エンジンでウィングレットの付いた少し旧式の貨物機のパイロットとして、世界中を飛び回った。
その先々で魔女の情報を聞いてまわった。
その中で、有力だったのは魔女は現在はカルスタ市の郊外に住んで居ると言う情報だった。
カルスタ市はイヴァンス市とは陸続きではあるが距離もあった。
千紘は自分のフライトスケジュールを見た。
何の偶然か3日後にカルスタ市の中央空港であるカルスタ国際空港へのフライトの予定があった。
千紘は思う。
時は満ちた。
作戦決行は3日後だ。
作戦決行の当日が来た。
相手の女性副操縦士は「今日はすごく寒いですね・・・」と言う。
千紘は「そうですね・・・。この調子だと離陸直前に小雪が舞うかもしれない」と言った。
貨物を満タンに積んだ千紘の操縦する機体はイヴァンス国際空港から飛び立っていた。
カルスタ国際空港へのフライトは順調にいって約8時間くらいだ。
千紘は「イヴァンスの雪は私の決意を応援してくれているようだ。カルスタの到着時の天気は晴れの予報だから、そこまで心配しなくて良い」と言った。
副操縦士は緊張気味に「そうですね・・・」と言った。
カルスタ国際空港が近づいてきた。
この時の操縦は女性の副操縦士に交代していた。
千紘は計器類の監視をしていた。
千紘たちは着陸前のチェックリストを確認して、ランディングギアを下げたり、着陸灯をつけたりしていた。
そして、貨物機は無事着陸した。
千紘は副操縦士に「今回の着陸。とてもよかった」と言ってコックピットを後にした。
副操縦士は言う。「ありがとうございます。あとでお時間の方よろしいですか?」
千紘は「ごめんなさい・・・。今日はここに急用があって・・・急がないといけないんです・・・だから、突然で悪いけど、帰りの便は交代要員の私じゃ無いパイロットと操縦することになってるはずだから・・・」と言い先を急いだ。
千紘は彼女が私に気があることは知っていた。
しかし、聞いてしまうと決意が揺らいでしまう。
あの日、果たせなかった約束のためにも魔女を討つ必要があった。
タクシーで30分くらいのカルスタ市の郊外。
千紘は玄関のドアを開けて、魔女に対して機関銃を構える。
僕は「今日、来ることは予想してたよ。ちーちゃん・・・。」
千紘は「ちーちゃんって呼ぶな!!!!ここをあなたの墓場にする!!!」と宣言の上、機関銃を連射する。
しかし、魔女にいつまでたってもかすり傷ひとつつけられない。
しかし、不意なところで魔女は倒れる。
僕は言う。「後ろから刺すのは・・・反則だ・・・。僕は不死身じゃ無い・・・この戦いは終わった・・・。君の勝利だ・・・」
僕はその場に倒れ込んだ。
千紘は言葉を失う。
後ろに包丁を持って立ってのは、さっきまで一緒にフライトを担当していた、副操縦士の池谷光奈だったのだ・・・。
光奈は言う。「千紘さん・・・。これで戦いは終わったんでしょ・・・。一緒に復路も飛んで・・・。イヴァンスへ帰りましょ・・・」
千紘は「これで良かったのか・・・光奈・・・」としか言葉が出てこなかった。
光奈「これで良かったの・・・これであなたが死なずに、私と一緒になれるのならば・・・」と言った。
その後、二人はめでたく結婚し、二人の子宝にも恵まれた。
あれから10年後。
千紘は後輩のパイロットを育成する教官になっていた。
千紘は良いパパでもあり、良き教官でもあった。
光奈は主婦をしながら、かつて自分の居た航空会社の役員になっていた。
それはまた別のお話であった。
最後までお読みいただき。
ありがとうございます。
最初は地元のラジオ番組で出たなんかのフレーズから、タイトルのインスピレーションを得てタイトルを決めて。
そこから書き出しましたが、書いてるうちにタイトルと内容があわなくなって、このタイトルへ変えた経緯があります。
そのため、タイトルとファイル名が一致しないんですよね。(^_^;
何というか、連載中の作品に執筆がはかどりません。
それで現実逃避で書いた作品になります。(おい)
なんて言いますか、現実逃避の方がはかどりますね・・・。
では、また。
別の作品でお目にかかりましょう。