想
いよいよ、俺の能力がわかる。
呼吸が苦しくなる。今、俺の運命を決める力が告げられる。大当たり、じゃなくてもいいから、せめて「ハズレ」以外の能力を引きたい。
まあ、今さらどうしようもないが。
「深山雅菜。お前の能力の名は、『空創家』。自分が思い浮かべたものを、創り出すことができる。創れるものの大きさや量は、お前の力量次第だ。ちなみに、この能力は大ハズレだからな。創れるものの量が、異常に少ない。平均的な魔力量なら、刀を1振りが限界だ。」
……まあ、「ハズレ」以外の能力ではあったな。
「大ハズレ」だけど。
林道の「刀鍛冶」と似たような能力だけど、圧倒的に量が少ない。「お前の力量次第だ。」まで聞いた時はチート能力かと思ったけど、そんな妄想は一瞬で散っていった。「空想家」なんていう名前にピッタリだよ、全く。
かなり激しめに落胆していると、林道が俺の方をポンポン、と叩いて来た。顔を見ると、なんとも微妙な表情をしている。
…ゴメンな、林道。お前は精一杯慰めているつもりなんだろうが、俺は今、お前を殴り飛ばしたい気持ちでいっぱいだよ。
怒りのこもった眼差しで彼を見つめていると、ロアンがまた話し始めた。
「次は、魔力についての説明だ。魔力量次第で、お前らの能力はゴミにも、宝にもなる。ハズレの2人、良かったな。まだ希望はあるぞ。」