選
「この四人が、我が息子たちである。各々、誰について戦うのか決めてくれ。」
…今ので自己紹介終わり?今どき、小学生のスピーチでももっと長いし、ちゃんとしてるぞ?
「殿下、さすがに今すぐに決めるのは難しいかと。一日、考える時間を与えてはどうでしょうか。」
そう言ったのは、立派な鎧を身につけた男だ。将軍辺りの地位だろうか。
「わかった。一日だけ時間をやろう。ただし、今から案内される、自分の部屋からは一歩も出ないように。何があっても、他の者と相談してはならん。万が一にもそのような事があった場合、即刻処刑とする。よいな?」
「何で相談しちゃダメなの?」
またも木戸円香が口を開く。彼女の頭の中にある辞書には、「敬語」という単語は乗っていないのだろうか。
「1人の王子にそなたらが集中してしまうことを防ぐためだ。この国の未来を決めることだからな。フェアでなければならん。他に質問がある者は?」
国の未来を異世界の少年少女に任せてどうするんだ…クラスメイト全員がそう思ったことだろう。だが、これ以上質問する者もいなかった。
「では、部屋に案内しよう。私に着いてきてくれ」
さっきの男が言った。案内された部屋は、ベッドと机があるだけの、良く言えば質素な、悪く言えばみすぼらしいものだった。
国の命運を分ける人間を泊める部屋がこんなだと、国のためになることなんて何にもしたくなくなってくるな…
そんなことを考えながら、ベッドの上で横になった。
さて━━━
王子様を選べ、なんていきなり言われても、あんな短いスピーチなんかじゃ何にも分からない。一体誰を選ぶのが正解なんだろうか…
まず、1人目は「セイ」っていうイケメンだったな。1番ちゃんとしたことを言っていたような気がするが、モテそうだから無し。
2人目は「カノ」だった。赤い服を着て、熱血そうな顔してるのに経済重視か。内面と外見がミスマッチすぎて好きじゃない。
3人目は「ロアル」とかいうおっさん。なんていうか…王子っぽくないし、性格悪そうだったな。
4人目は確か…「ロック」ってガキだったな。さすがに年下に従うのはないわ。
誰か1人選ばなきゃいけないんだよなー、ても、良さそうな人いないんだよな。
みんなが行きそうな人は、面倒くさそうだから嫌だから…よし、決めた。
じゃあ、明日から大変そうだから、とりあえず寝るか。