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1-8 夜更かし

 翌日。


「おい東條、どうした?

目の下にすげぇクマができてるぞ?」

「ああ。俺も朝鏡見てびっくりしたよ」


 朝、教室に入ると藤ヶ谷が驚いた表情で話しかけてくる。

 昨日、家に帰ってから天乃とのデートコースを考えるために色々なサイトなどを見ていたらいつのまにか時間が経っていて夜更かししてしまったのだ。

天乃からのお願いだからと柄にもなく張り切ってしまったのが原因だろう。


「昨日、ネットで調べものしてたらいつのまにか時間が経ってて寝るのが遅かったんだよ」

「調べもの?何について調べてたんだよ?」

「最近流行りのデートコースについてだよ……」

「デートコースって天乃さんと行くためか?」

「俺がそれ以外の理由で流行りのデートコースについてなんて調べると思うか?」


 俺が何の理由もなしにそんなことを調べるはずがないだろう。

そもそもこれまでの人生でそのようなことを調べる意味がなかったのだからな。

なんだろう、自分で話してて悲しくなってきたな。


「天乃さんとデートか〜。

とりあえずリア充は爆発してまえ」


 藤ヶ谷が何やら暴言を吐いてくる。

この前までは俺もこいつ(藤ヶ谷)と同じようなことを思っていたはずなのに、実際に彼女ができてから聞くと実に酷いセリフだと感じてしまう。


「人の爆発を願うとはヒドイ奴だなお前は。だいたいお前には如月(きさらぎ)さんっていう可愛い幼馴染がいるだろうが」

凪沙(なぎさ)の事を可愛いって言えるお前は何もわかってないな!確かにあいつは見た目だけは可愛い、だがな、中身は全くもって可愛くなんてないぞ。

何かっていうとすぐに暴力振るってくるし……」


 如月凪沙(きさらぎなぎさ)

 藤ヶ谷の幼馴染で俺らより一つ年下の女の子だ。

 藤ヶ谷の家へ遊びに行った時に何度か会ったことがある。

あまりにもナチュラルに藤ヶ谷の家に居たから最初に会った時は妹かと思った。

 如月さんは藤ヶ谷のお母さんに料理を教わっているらしくその関係で割とよく藤ヶ谷の家に来るらしい。

 というか彼女の場合は料理を教わるというのは建前のような気がするが……。


「そんなこと言うなよ。暴力って言ってもそんな大したもんじゃないだろ?それに、それは愛情の裏返しみたいなもんだろ?」

「暴力が愛情表現とかマジやめてほしいんですけど……」


 全く、可愛い幼馴染がいるだけでも充分だろう。

 異性の幼馴染どころか家の近所に同世代の友達すらいなかった俺からしたら羨ましすぎるほどだ。



「それで、どこか良さげなデートスポットはあったのかよ?」


 藤ヶ谷が最初の話題に話を戻す。

そういえばデートスポットについての話をしていたんだっけ。


「それがどんな所がベストか考えてたら全然まとまらなくて気がついたら外が薄っすらと明るくなっててな……。とりあえず今日も帰ったらまた色々と調べるつもり」

「てか、お前一人で考えるより天乃さんと二人で相談すればいいじゃねぇか」

「いや、俺も最初はそのつもりだったんだよ?

けど天乃が俺にデートプランを考えてほしいって頼んできてな……」


 頼まれた時は男としてしっかりとしたデートプランを考えようとしていたんだけどな……。

 これが想像以上に難しかった……。

何度も言うが俺はこれまでデートなんてしたことないのだ。

 それでいて何故しっかりしたデートプランが考えられると思ってしまったのだろうか?

 自分の浅はかさが恨めしい。


「それなら簡単な場所とかだけいくつか考えておいてその中からどこ行きたいか天乃さんに選んでもらえば良いんじゃね?何も一から十まで全部お前が決めなきゃいけないわけでもないだろ?」

「お前は天才か!その手があったか。確かに何もかもを俺が決める必要はないよな。」


 何故今まで考えつかなかったのだろうか。

 いくつかのプランを用意しておいて天乃に行きたいところを選んでもらう。

細かい所なんかはその場の状況なんかで変わってくるだろうし当日に決めればいいもんな!


「いや、そんなの誰でも考えつくと思うぞ?お前がバカなだけだと思うぞ」


 バカとはなんだバカとは。

 しかし、藤ヶ谷の言う通り思いつかなかったのは事実なので言い返すことができない。


「とりあえず俺らくらいの年齢だったらそんなに背伸びしたデートとかじゃなくていいと思うぞ。無難なところで選ぶのがベターだろう」

「藤ヶ谷、やけに詳しいな?

さてはお前、俺の知らぬ間にリア充になっていたのか⁉︎」

「リア充はお前だろ……。俺だって別に詳しいって程じゃねぇよ。

ただ夏休みとかになるとほぼ毎回凪沙にどっか連れてけってせがまれるんだよ……」


 なるほど如月さんのせいだったか。

 てかさりげなく長期の休みのたびにデートに誘っていたのか。

 それで彼女の行為に気づかないこいつは相当鈍感だな。


「なるほど。そーゆーことか。とりあえず今後、藤ヶ谷にだけはリア充どうこうとか言われたくはないな」

「何でだよ!何故今の話でその結論にいきつく⁉︎」



 とりあえず帰ったらいくつかのプランを考えてみることにしよう。

 その前にこの眠気と戦いながら今日一日を乗り越えなければ!


 俺のこの意気込みはそのわずか一時間ともたなかった。

藤ヶ谷の幼馴染をどのタイミングで出そうか悩んでいたのですがようやっと名前だけですが出すことができました(^^;)

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