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1-7 昼休みの雑談

「どうしたの?今日なんか様子が変だよ?」

「いや、何でもないよ。てかそんなに今日の俺変な感じだったか?」


 昼休み。

 天乃が心配そうな表情で聞いてくる。

まさか変な夢を見てそのことが気になっているなど自分の彼女に言えるわけがない。


「そう?ならいいんだけど……。

なんか朝からずっとボーっとしてたから心配になっちゃって……」

「悪い悪い。ホントになんでもないんだ。心配かけてごめんな」


 というか今日の俺はそんなにいつもと違う様子だったのか。

自分自身では気がつかないものなんだな。


「別に謝る必要はないよ。

それより今日のお弁当はどうかな?」

「ああ、今日の弁当もめっちゃ美味いよ」


 以前天乃は俺がコンビニのパンなどを昼飯に食べていると知った時に自分が作ってくると言っていたが次の日から本当に俺の分の弁当も作ってくるようになった。

 天乃曰く一人分の弁当を作るよりも二人分作った方が材料費なども安上がりになるので逆に助かるんだそうだ。

しかも天乃の作る弁当は毎回とても美味い。

 俺としては毎日こんな美味い弁当を作ってきてくれるのはありがたいがやはりなにかをしてもらいっぱなしというのは気が引けるというものだ。


「なぁ、毎日こんな美味い弁当をタダで作ってきてもらうのはやっぱ申し訳ないというか……。せめて何か、お礼とかしたいなと思うんだが、天乃は何かしてほしいこととかあるか?」

「別にお礼なんて考えなくていいのに。

私も材料費の面とかで助かってるし。

けどせっかく東條君がなにかしてくれるって言うんなら……。

今度の週末またデートしたいな……。今度はショッピングモールとかじゃなくてちゃんとしたところがいいな……」


 弁当のお礼になにがいいかを聞いたのにデートがしたいとは……。

そんなもの頼まれなくともこちらから頼みたいくらいだ。


「そんなのお礼とか関係なしにするぞ?

どんなところに行きたいかとかなにか希望はあるのか?」

「ううん。お礼って言うんなら私はデートがいいの。特にどこ行きたいとかあるわけじゃないから東條君が考えたデートプランがいいかな」


 俺の考えたデートプラン……だと。

生まれてこのかた彼女いたことのない俺に何というハードルの高い要求を…。

 しかし他ならぬ天乃の頼みなのだからここで引き受けなければ男が廃るというものだろう。


「わかった。なら当日までに考えておくよ。ただ俺だってあんまそーゆーのに詳しいわけじゃないから期待はするなよ?」

「うん、ありがとう東條君!」


 今日は火曜日、デート当日が週末ならば前日の金曜日までにはデートプランを完成させなければならないだろう。

つまり俺はあと3日でデートコースを考えなければならないということだ。

これは帰ったら速攻で流行りのデートコースなどを調べなければならないな。


「デートコースか〜。最近の流行りとか疎いからなぁ、ちゃんと調べないとな」

「そんなに気負わなくても大丈夫だよ。

東條君と一緒なら私はどこでも楽しめるし」

「そうは言っても男ならやっぱちゃんとリードしたいと思うもんなんだよ」

「やっぱり東條君は優しすぎるくらいに優しいね」


 そう言った天乃の表情はどことなく暗いような気がした。


「どうした、天乃?なんか表情が暗いぞ?」

「えっ?そうだった?ごめんごめん、何でもないよ……。ただ東條君は優しすぎるから誰にでもそんなに優しくしてるのかな〜て考えちゃって」


 なるほど、そういうことだったか。

確かに誰彼構わず優しくするというのは彼女からすれば不安に思うだろう。

付き合っているのならば自分を一番にしてほしいと考えるものだろう。


「俺だって誰にでも優しく接するわけじゃねぇよ。天乃だからこそそう思えるんだと自分では思ってる」

「ありがとう。そう言ってもらえて少し安心した」


 そう言う天乃の表情は先程よりも明るくはなっていたがいつもの笑顔と比べるとどことなく影っているような気がした。


「そろそろお昼休みも終わりだね。

次の時間体育だし、私もう更衣室行くね」

「おう。昼休みの後に体育とかやめてほしいよなホント」

「仕方ないよ。けど体育なら眠くならなくて東條君的にはいいんじゃないの?」

「その時はいいかもしれないけど結局その次の授業で眠くなったら意味ないからなぁ」


 昼休み直後の体育の授業についてちょっとした雑談をして天乃は更衣室へと行ってしまった。


 教室を出て行く頃には悪戯めいた笑顔を浮かべるようにはなっていたが昼休み途中からの天乃の様子は明らかにおかしかった。

 最初は気のせいかと思ったがどうやら気のせいではなかったようだ。

何か悩みごとがあるのだろうか?

その辺りについても今度のデートで聞けたら聞いてみようと思った。


 てか最初は俺の様子が変だという話だったはずのに気がついたら天乃の方が変な様子になってしまっていたな。


 なんてことを考えながら俺も次の体育の授業に備えて着替えをはじめるのであった。

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