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2-8 魔王との邂逅

 今、俺の目の前には何度も夢に見た魔王が立っている。


「なんで魔王がこんなところに……?というかここは一体どこなんだ?俺は確か通り魔に刺されて……」


 そうだ、俺は藤ヶ谷たちと訪れたショッピングモールで通り魔の男に刺されたんだ。


 “いきなりのことでさぞ混乱しているであろう。では、お前の疑問に我が一から答えてやろう”


 俺の目の前に立つ魔王はなぜ俺がこんな場所にいるのか知っているようだ。


 “まずこの場所についてだが、一言で言うのならここはお前の内側だ”


 いきなり訳の分からないことを言い出したぞ……


「俺の内側ってなんだよ!もう少し分かりやすく説明してくれ」


 “分かりやすくと言われてもな。ここはお前の魂の内側だ。それ以上でもそれ以下でもない”


 魔王の説明は非常にシンプルなものだった。

俺の理解が追いつくかどうかは置いておいて。


「よく分からないが一まずはいい。次の説明を頼む」


 おそらく今ここで詳しい説明をされても俺の頭では理解できないだろう。

なにせ、目の前に魔王がいるこの状況が理解できていないのだから。


 “まあ今はまだ理解が追いつかなくても仕方あるまい。次の説明だが、なぜ我がここにいるか。これは我自身驚いたのだが、どうやら転生の秘術を行使した際に我の魂がお前の魂の中に封じ込められてしまったのだ”


 またよく分からない説明がなされたぞ……


「転生の秘術って俺が夢でみたあれか?」


 “そうだ。あの天使との戦闘の際に最終手段として使った術式だ”


 というかこの状況的に俺が夢で見てた光景って全部夢じゃなくて現実だったってことか?

いやいや、流石にそれはないだろう。それにこの状況そのものが夢落ちって可能性もあるしな。

というかほぼ夢だろこんなの。


 “そうだった。これだけは先に言っておこう。今のこの状況やお前が見ていた夢は全て現実で起きたことだ”


 たった今、考えていたことが魔王自らによって否定されてしまった。

そうは言われても“はいそうですか”とすんなりと信じられるようなことでもないが。


 “まあお前もいきなり言われて、はいそうですか、と素直には信じられないだろうがな”


「……。なあ?お前さっきから俺の心読んでいるのか?」


 “見かけの割に勘は鋭いようだな……”


 やはりか、先ほどからやけにタイミングがいいと思っていたのだ。

というか心を読まれているとか変なこと考えられないじゃないか!


 “安心するがいい。我がお前に危害を加えることはない。そう身構えなくてもよい”


 また心を読まれてしまった……


 “少し話が脱線してしまったな。本来ならば転生の秘術を行使した我は、お前の魂を乗っ取りそのまま新たなる個体として復活するはずだったのだ”


 さらりと怖いこと言う魔王。

つまりはその転生の秘術とやらが上手くいっていたら俺の身体は魔王に乗っ取られていたってことだよな。

やはりこいつは魔王なんだな。


 “なんだ、人を悪の大王のように思いおって。我には我の正義があって秘術を行使したのだぞ”


 確かに夢で見た光景では魔王の方が正義の味方って感じがしたけど……

あくまでもあの夢は魔王達の側からみた内容だったからなぁ。


 “とりあえずだ。結果として我は秘術の行使に失敗し、お前の魂に封じ込められるということになったわけだ。ここまではよいか?”


 魔王が無理矢理まとめに入った。

さっきの俺の感想もバッチリ読まれているだろうしな。


「はっきり言って訳の分からない事だらけだが一先ずはオーケーだ」


 一先ず、これが現実かどうかは置いておこう。

今は少しでも情報がほしい。

現状、俺が情報を得られる相手は目の前の魔王しかいない。

ならばこの機会に少しでも情報を入れておく必要がある。


 “まあいきなり全てを理解するのは難しいだろう。今はいうなれば答え合わせのような時間だ。これから先、また分からないことがあれば答えてやろう”


 なるほど。今はとりあえず説明だけしておくということか。

というかさらりと言ったけどまたこんな状況になることがあるってことか?

ここに来る条件がもし死にかけることとかだったら俺は二度とゴメンだぞ。


 “安心しろ。一度ここへ来たということは二度目以降はもっとすんなりとこの場へと来られるだろう”


 よく分からないが魔王からのお墨付きをもらったので一先ずは信じよう。


 “さて、そろそろ説明しなければならないだろうな”


 魔王が改まって言う。

説明なら今してもらったところだけど?


 “東條巽、お前には我の意思を受け継いでほしいのだ”


 はい?

今、なんと仰いましたか魔王様?

意思を受け継いぐ?

それってどうゆうことですか?


 俺の疑問に答えるように魔王は声を発する。


 “なに、難しいことはない。お前に新たな魔王になってもらいたいのだ”


 魔王の口から放たれた言葉に俺は声を失った。

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