表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/21

1-11 デートの続き

「色んな魚がいたね!」

「そうだな、普段は見れない珍しい魚とかもいて結構面白いな」


 館内の水槽を見て回った俺たちはひとまず昼飯を食べようと館内にあるレストランに来ていた。

 午後は外の方にある水槽の方を見たりショーなどを見ようという話になっている。


「午後のイルカショーもすごい楽しみ!」

「今日の天乃はホントにテンション高いな」

「だって楽しいんだもん!水族館がこんな楽しいところだなんて思わなかったよ私」

「確かに昔とは違う雰囲気の楽しさがあるな」


 小さい頃はただ沢山の魚が泳いでいるのを見て楽しいと感じていたのだが、今水族館に来るとどのような魚がいるのか、普段はどこに生息しているのかなどを見るのも面白いと感じる。


「このオムライスも美味しいし本当に今日来てよかった」

「確かにここの飯は美味いな。水族館の中のレストランって感じしないもんな」


 今日の天乃は館内に入ってからずっとテンションが高い。

 そしてそれはこのレストランに入ってからも覚めやらない。

 天乃が頼んだのはオムライスなのだが確かに美味そうな見た目をしている。

ご飯を包む卵が絶妙な半熟加減でソースも最近流行りのデミグラスではなく昔ながらのケチャップになっている。


 俺の頼んだカレーライスもそこらのファミレスなど比べ物にならないほどに美味い。

 辛さは小さい子供でも食べやすいようになのかそこまでではないが、その分コクのある深い味わいのルーになっている。

 ぶっちゃけ水族館の館内レストランのレベルを超えている。

それでいて値段もそこまで高くない。

こういった施設のレストランはぼったくりのような値段設定のところも少なくないがそういった点でもここは良心的である。



「お昼食べ終わったらまずはどこから見て回る?」

「そうだな、ショーまでは時間があるからまずは先に外の水槽の方を見て回った方がいいかな」

「外の水槽ってオットセイとかの大きな生き物がいるんだよね?」

「みたいだな。それ以外にも中にいたのとはまた違う種類のペンギンとかもいるみたいだぞ」


 ペンギンというワードを言った途端に天乃の目がキラキラと輝き始めた。

 オットセイの時にはそんな反応しなかったよな?

可哀想なオットセイさん……強く生きてくれ。


「ペンギン、気に入ったのか?」

「うん!ペンギンさんすごーく可愛かったもん!」


 今日ここに来てからどことなく天乃が幼児退行しているような気がしないでもないが……可愛いのでよしとしよう!


「じゃあ飯も食い終わったしそろそろ行くか」

「うん!ペンギンさん楽しみだなぁ」


 この後の予定も決まったところで俺たちはレストランを出ることにした。

 この雰囲気だとこの後も天乃のテンションは天井知らずに上がっていくんだろうな。




「ペンギンさん可愛かったぁ!アシカさんも可愛かったなぁ!」

「確かにどっちも可愛かったな、オットセイも可愛かったな」

「この後のイルカショーも楽しみ!」


 どうやら天乃の中ではオットセイさんはいなかったことにされたらしい。

それでも俺はオットセイさんには強く生きてほしいと思う。


 ちなみに天乃は現在、先ほど見たアシカショーのことを思い出して若干トリップ気味になっている。

確かに先ほどのショーはアシカの可愛らしい動きに飼育員さんの話術なども合わさりとても面白かった。


 この後のイルカショーもきっと面白いものになっているのだろう。

 そしてショーが終わる頃には天乃のテンションは限界を突破しているだろう。


「ショーまでは後十五分くらいか、そろそろ会場の方に行くか」

「うん!早く行こう!」


 天乃は早く会場へ行きたいのだろう。

俺の少し前を早足気味に歩きながら時折こちらを振り返って早く早くと急かしてくる。

本当に親戚の子供と来たような感覚に陥りそうになる。



 イルカショーの会場に着いた俺たちは空いてる席を探す。


「どっか空いてるところあるか?」

「前の方がすごい空いてるよ?そっちはダメなの?」


 天乃が不思議そうに訪ねてくる。

どうやらイルカショーの罠を知らないようだ。


「確かに前の方が迫力があって良さそうに見えるがあまり前の方に行きすぎると水飛沫なんかが飛んできてずぶ濡れになるんだ」

「そうだったんだ……。けどしくら飛沫が飛んでくるっていってもそんなに濡れるとは思えないけど……」


 どうやら天乃は前の方でショーを見たかったようだ。

 しかし濡れたくはない。

それは天乃も同じであろう。

だからこそここは妥協できない。


「そう思うだろ?けどショーが始まったら分かるよ。ここは騙されたと思って後ろの方の席に行こう」

「わかった……」


 どうやら今のやりとりで天乃のテンションは思いっきり下がってしまったようだ。

少しばかり申し訳なくなってしまう。


 とりあえず俺たちは後ろの方の席を確保してショーが始まるのを待つことにした。




「すごい迫力だったね!あんなに高く水飛沫が上がるなんて思わなかった!」

「俺の言った通り前の方じゃなくてよかっただろ?」

「うん、あんな水が飛んできたら本当にずぶ濡れになっちゃうね」


 どうやら前の方で見るリスクを理解してくれたようだ。

 ちなみにイルカショーはアシカショーにはない迫力がありとても面白かった。


「この後はどうするの?」

「もう一通り見たしお土産売り場でも覗いてみるか」


 とりあえず一通りは見て回ったので後は土産物の売り場を覗くくらいしか残っていない。


「もう全部見て回ったの⁉︎なんだかあっという間だったなぁ……」

「楽しい時間ってのはあっという間に過ぎるもんだよ」


 今日の天乃は終始テンション高かったからな。

時間が経つのもあっという間に感じただろう。



 俺はどこか寂しそうにしている天乃を誘ってお土産コーナーを覗くことにした。

面白いと感じていただけたらブクマ、感想などお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ