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夢を見ていた
ひどく優しい夢を
酷く辛い夢を
目覚めて見て初めて分かった
それが所詮は夢にすぎないものだったと
この目が映していたのは存在しないもの
決してこの手が掴む事の出来ない奇跡の一端
心を冷やそう
熱をこの身に灯して
どうせ元には戻れやしないのだから
世界から取り残されて
一人で戦い続けて来た
ここで終わるなら
せめて望みを叶えて欲しい
安らかな最期を
一抹の慰めを
心を冷やそう
熱をこの身に灯して
どうせこの道を帰る事は もうないのだから
正当な裁きを受けよう
ふさわしい最期を迎えよう
見ていた夢の分だけ心が痛むけれど
それももうじきなくなる
感じなくなる




