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プロローグ

VRMMORPG「Brave Dust Online」、ここ数年のVRMMORPGラッシュの流れに乗り登場した新作VRMMORPGである。

VR技術の進歩と大規模データ転送の技術革新によって、大規模な仮想空間の構築が可能となった現在──


 今までゲームジャンルとしては人気に陰りが出ていたジャンルとなっていた従来のMMORPGは、その大規模仮想空間との運命的な出会いを果たし「VRMMORPG」という新たなゲームジャンルを生み出すに至った。

そのゲーム体験としてのインパクトは凄まじく、次々とゲーム会社がVRMMORPGに参入していくことになる。

 

 その、数あるVRMMORPGの中で「トライアングルウェッジ社」によって生み出された「Brave Dust Online」は後発ゆえか……それまでのVRMMORPGとは一線を画すゲームとして、サービスが開始されるや否や、各ゲームメディアに絶賛された。

かくして「Brave Dust Online」はサービス開始直後からプレ人口が減ることは無く、運営2年目において、アクティブ人口(※)250万人を超える、超人気VRMMORPGとなったのである。


※アクティブ人口とは有効課金者数の事で、毎月の課金を継続しているプレイヤーの事を指す。


 BraveDustOnline……通称「ブレオン」は、ワールドワイドに展開されているVRMMORPGであり、世界各地に拠点となるDC(データセンター)が置かれ、プレイヤーは自分が住んでいる地域に一番近いDCを選びVRヘッドセットを通して接続しプレイする事で、ブレオンの仮想空間に構築された世界「ヴレインディア」を体感できる仕組みである。



 ──その数あるDCのうちのひとつ、日本DC……通称「YAMATO」……それがこの物語の舞台である。




──ブレオン内──


 見渡す限りの深い紺色の夜空に星が点在する空……足元には幾何学的な文様を描いた巨大な円形の床、たったそれだけしか存在しないその空間に2人のプレイヤー……いや、その後ろにも数人……全部で8人のプレイヤーがいた。


彼らは、自身の操作するキャラクターよりも何十倍もある……このゲームにおける“敵”であろう、まるで巨大な重機のようなシルエットをした異形の幻獣と激しい戦いを繰り広げている。


 その8人はそれぞれ身に着けている衣装、むしろ“装備”というべきモノがひとりひとり違っていた。先ほど先頭に見えた2人は堅剛な甲冑に身を包み、片方は身の丈ほどもある巨大な盾を、もう片方はそれよりは幾分か軽装な装備で小ぶりな剣と盾を持っている。その後ろでは槍や武骨な手甲、それに弓、錫杖などを携えたプレイヤー8人は臆することなく、自分よりもはるかに巨大な幻獣と文字通り“死闘”を演じていた。


 振り被る剣の軌道が衝撃波となり、槍の一振りが円を描き軌跡となる──


拳から打ちだされる一撃は巨大な衝撃となり、弓から放たれた一閃は音をも超える速度で幻獣に突き刺さる──


光と共にモンスターへ放たれた赤い軌道は着弾すると巨大な爆風を生み、錫杖を掲げると青白い光のカーテンが8人を包み癒していく──


「アリス!」


()()()と呼ばれたプレイヤーは声を発したプレイヤーへ顔を向ける。振り向きざまに頭部から上へ突き出た大きな耳が揺れる……“ミルディ”と呼ばれる猫人種族の特徴である。


 声を発したプレイヤーはアリスと同じように甲冑に身を包んでいた……ただしアリスに比べればかなり軽装であるが……。

アリスに体を寄せる──触れ合った甲冑同士がガチャガチャと音を立て、お互いぴったり重なり合った状態で巨大な幻獣と対峙する。見上げるとその幻獣の口腔からは赤い吐息が漏れ出ていた。


すると、アリスは隣にいるプレイヤーを見上げ、少しはにかんだ表情を見せ呟く……。


「……たのしい」


そのプレイヤーはアリスの言葉を聞くと苦笑した。


「こんなにピンチなのに?」


「うん……みんなと一緒」


「そうだな……一緒だ。俺たちならやれる。だよな!」


「うん……!」


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