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74話―『非普遍級』『奥義級』

 

 「『非普遍級アンコモンクラス』の定義は、“『普遍級コモンクラス』以外の血結技”だ。さっき説明した四つの魔技以外で、詠唱を必要とするものは全て『非普遍級アンコモンクラス』と呼べる」

 

 たとえば「火燃貫通ファイア」の魔技は普遍級だが、その他に「フレイム」なんて魔技があるとすればそれは非普遍級というわけだ。これにも属性があって、自分の持つ属性から外れた魔技は使えない。

 

 「『普遍級』は発現の感覚をつかめば多くの人間が体得できる技だ。しかし、『非普遍級』の発現は血筋と才能がものを言う。感覚のつかみづらさもさることながら、まず前提条件として親がその『非普遍級』を体得していなければ子に発現することはない」

 

 つまり、『非普遍級』は遺伝によって受け継がれる技と言える。『普遍級』も遺伝によることはよるのだが、こちらは人類共通の基本スキル、誰でも発現して当たり前というレベルらしい。

 

 そのため、『非普遍級』の中には門外不出、一子相伝の技もあり、その効果は秘匿されることも多いそうだ。だから軽々しく他人に尋ねることはタブーとされるらしい。『非普遍級』は存在そのものが公にされていないものが多く、記録に残されていない技がかなりの数にのぼるという。

 

 ただ、中には珍しいだけで効果がしょぼい魔技も多いらしく、『非普遍級』だから無条件に『普遍級』よりも強いということはないのだとか。要は使い手の実力と状況次第ということのようだ。

 

 「『奥義級レアクラス』はさらに未分類だ。『非普遍級』の中でも、とりわけ常軌を逸した効果を持ち、世界に二人と同じ使い手はいないような魔技を『奥義級』と呼ぶ。線引きがはっきりしていないから、どう見ても『非普遍級』の技を『奥義級』と言い張る奴もいるな」

 

 「それどうやって見分けるんですか?」

 

 「見ればわかる。まあ、本物と出会う機会なんて人生に一回あるかないか。もし敵対しようものなら余裕で死んでると思うから気にしなくていいぞ」

 

 そうなのか。だったら気にしても仕方ない。そんな物騒な技を使う奴が、そうポンポン出てくるわけもないか。

 

 チリンチリーン!

 

 と、そこで授業終了を知らせるベルの音が鳴る。

 

 「切りの良いところで話が終わったな。じゃあ、次は外で実習するから練習場まで来い」

 

 * * *

 

 協会のすぐ横にある広場にやってきた。学校の運動場くらいの広さがある。マカセの姿はない。怒って帰ったのか、腹痛で早退したのかはわからない。

 

 「各自武器は持ってきたか? ああ、別に持ってなくてもいいぞ。さすがに個人の武術指導までしてやる時間はない。今回は血結技の発動感覚をつかむためのアドバイスをする」

 

 おお、ついに魔法の実践練習か。俺も魔技というのを使えるようになるかもしれない。期待に胸が膨らむ。

 

 「この中で『普遍級コモンクラス』を使える奴はいるか?」

 

 この場に集まったのは俺、アルターさん、ノワール、青年二人、おじさんの六人だ。誰も手をあげなかった。みんな初心者みたいだ。

 

 「……二人、『非普遍級』以上を使える奴がいるからそいつらは除外するとして。まずお前たちの精霊親和を調べる。自分の属性がわからない奴は一人ずつ、アタシのところに来い」

 

 真っ先に青年二人組がクロウさんの元へ向かった。そのうちの一人がクロウさんと向かい合う。

 

 「ウッス! お願いシッス!」

 

 「今からお前に『走気診断』という魔技を使う。微弱な闘気を体に通すことにより、その感覚から相手の属性を推察する技だ。少し痛みがあるが、我慢しろ。すぐに終わる。力を抜いて受け入れるように」

 

 クロウさんの発言にアルターさんがピクッと反応を示した。どうせろくなこと考えてない。

 

 クロウさんが青年の胸の上に手を当てる。その直後、青年は顔をしかめた。痛みがあったみたいだが、声をあげるほどではないようだ。すぐにクロウさんは手を離した。

 

 「お前の属性は“火”だな」

 

 「マジで!? ヒャッホウ!」

 

 火か。確か『普遍級』の中で一番攻撃力が高い技である『火燃貫通ファイア』が使えたはずだ。青年はその診断結果に満足しているようである。

 

 「次、俺! 俺も見てほしいッス!」

 

 二人組の片割れがクロウさんから診断を受ける。なんと、そちらも火属性だった。ダブル火属性コンビ、火力は高そうだがバランスは悪そうだな。

 

 「次は誰だ?」

 

 残っている俺たちは顔を見合わせる。ノワールはたぶん、受ける気がないから外すとして。アルターさんも診断を辞退した。既に自分の属性を知っているようだ。俺にこっそり教えてくれた。

 

 「私の属性は“時”です」

 

 時属性!? なにそのカッコイイの!? もうアルターさんが主人公やればいいじゃん!(拗ねた)

 

 そう言えば四属性以外の特殊な属性もあるとクロウさんは言っていたな。ということは、俺にも特別な属性が秘められた可能性が……!?

 

 というわけで、残った診断待ちは俺とおじさんの二人。俺たちは互いに譲り合った。

 

 「お先にどうぞ」

 

 「いえいえ、私は後で構いませんよ」

 

 俺にはおじさんの毛を引きちぎった負い目がある。ここはおじさんに先を譲ると決めた。激しい攻防の末、ついにおじさんが折れ、診断を受ける。

 

 おじさんは何属性だろうか。見た目からして風? それとも水だろうか。

 

 「お前は火属性だ」

 

 ええ!? 三連続火属性だと!? 偏り過ぎではないか。マカセも火だったぞ。クロウさんも火だろ。見た目で属性が決まるわけじゃないのか……

 


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