表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/85

73話―『普遍級』

 

 「話を戻そうか。『基礎級』の定義を簡単に言えば“詠唱を必要としない魔技”だ。だからさっき説明した『闘気』『鎮気』も基礎級だし、そこから派生する魔技だってみんな基礎級だ。たとえば、『威圧』も基礎級になる」

 

 詠唱を必要としないというのがよくわからなかったが、要するに訓練次第で誰でも使えるようになるのが『基礎級』らしい。可能性があるというだけで、訓練したから絶対使えるようになるわけでもないらしいが。そこは個人の才能によるみたいだ。

 

 「他に冒険者として覚えておくべき基礎級魔技と言えば……『走気』があるな。これは触れた物に自分の闘気を這わせて纏わせることができる魔技だ。これを用いて武具を強化する技を『走気連達』という。剣を包めば切れ味が増し、鎧を包めば頑強になる。高位の魔物が相手となれば、この技能を持つことが必須となる依頼もあるぞ」

 

 ただこれを発動するには、その武具を扱う感覚が体になじむまで使いこなせるようにならないといけないようだ。扱う武器の種類が変わると使えなくなる。未熟だと、使い込んだ武器一本にしか発動させられないということもザラだそうだ。

 

 「さらに、この『走気連達』は一時的な強度を得る代わりに武具の劣化を早め、寿命を縮める。『闘気』を纏った高エネルギー状態に置かれるわけだから、その反動も大きい。使いどころは慎重に選べよ」

 

 愛着を持って使い続け、ようやく『走気連達』を使えるようになったのに、それが原因で武器がダメになることもあるわけだ。その壊れるか壊れないかの兼ね合いを気にしなければならない。こういう武器の耐久値設定は嫌いである。このメイスちゃんは大事に使い続けたいところだ。

 

 「このように、『基礎級』といえども血結技を破る威力を持つ技はある。さっきも言ったが、これらの分類の線引きは“詠唱がいるかいらないか”という点だけだ。『基礎級』の真髄を究めた秘奥には、『奥義級』すら打ち砕く技もあるという。他のクラスとの間に単純な強弱関係があるわけではない」

 

 ノーマルだから弱いってことはないらしい。むしろ、全ての魔技の基礎であり、これをおろそかにして武の上達はないとクロウさんは言った。

 

 「では次に、他のクラスの話もしておこうか。『普遍級コモンクラス』については、お前たちも知っている者が多いだろう。何せこれは全部で四つの技しかない。『火燃貫通ファイア』『風塵包装ウィンド』『土石防護ストーン』『水流黙示ウォーター』の四つの血結技スキルだ」

 

 カマセが使ったのは『火燃貫通ファイア』だった。RPGで言えば初級魔法みたいなものだろうか?

 

 「人間は生まれながらに、一人につき一つの“精霊親和”を持つ。そのほとんどが火、風、土、水の四属性だ。稀にこれ以外の属性を持つ奴もいるが。アタシの場合は火だな。よって、『火燃貫通ファイア』を使う素質がある。逆に、それ以外の属性の魔技は使うことができない」

 

 この精霊親和によって得られる属性は遺伝によるらしい。親が持つ属性を子も引き継ぐ。この点が“血結技”と呼ばれる所以であるようだ。

 

 「血結技スキルは『写し言葉』と呼ばれる詠唱をトリガーとして発動する。要するに、使うときは“ファイア”と発音しなければ発動しないということだ。たかだか一言の詠唱だが、戦闘中はその一言を発するにも難儀することがある。相手に聞かれればこちらの手の内をさらすことにもなる。詠唱中は、特に喉を狙った一撃には気をつけろ」

 

 詠唱と言うからもっと中二的な長ったらしい呪文があるのかと思った。しかし、その一言の詠唱すら隙とみなされるなんて、これだから脳筋は。ロマンもクソもない。

 

 「では、具体的に技の効果を説明しよう」

 

 クロウさんは黒板にそれぞれの魔技の特徴を書いていく。

 

 ・火属性魔技『火燃貫通ファイア

 闘気に“貫通”の効果を持たせることができる。この技によって強化された闘気は、敵の闘気を切り裂いて直接ダメージを与える。

 

 「『普遍級』中、最も攻撃性の高い技だ。敵の闘気を貫き潰し、機先を制する。相手の魔技発動を妨害することもできるぞ。ただし、魔力の消費量も多い。そして『鎮気』による防御は貫けないから注意しろ」

 

 ・風属性魔技『風塵包装ウィンド

 術者の体表に薄い闘気の膜、“風膜”を形成することで防御力と回避力を上げる。

 

 「この膜には特殊な性質がある。防御自体は微々たるものだが、油のように敵の闘気を滑らせる。これにより敵の攻撃をそらしてかわすことができる。体全体をカバーできるのも強みだな。発動中は自分の攻撃も滑るからそこは気をつけろ」

 

 ・土属性魔技『土石防護ストーン

 闘気に“硬化”の性質を与える。硬化した闘気は高い防御力を発揮する。

 

 「防御だけではなく攻撃にも転用できる技だ。拳に纏わせた闘気を硬化して殴れば、肉体そのものが武器と化す。闘気系の技でありながらその性質は『鎮気』に近く、『鎮気』との相性もいい。ただ、使用中は強化した場所の筋肉が硬直するから隙を作らないように」

 

 ・水属性魔技『水流黙示ウォーター

 体内の気の流れを整え、魔力の消費を抑える。また、精神を落ちつかせる。

 

 「一見地味だが、この燃費の良さは馬鹿にできない。魔力の消耗は長期戦や連戦が続くほど大きな負担となる。継戦能力を高める技と言えるな。それに精神鎮静の効果は『鎮気』を扱う上で助けとなるだろう」

 

 以上が『普遍級コモンクラス』の四つの魔技である。言いかえれば『身体強化』+『特殊能力』だ。この特殊能力の部分を付与するのが『普遍級』ということらしい。

 

 そしてその特殊能力には属性があって、扱える属性は一人につき一つだけ。発動するには魔力を消費して技名を詠唱しなくてはならない。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ