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1話―プロローグ
ちょっと聞いてほしい。うまく説明できるか自信がないが、俺は今、人生最大の驚愕を体験している。
学校から帰ってきた俺が自宅に入ると、そこには見知らぬ人物がいた。不審な黒づくめの男、物色されて散らかった室内、おそらく空き巣だったのだろう。俺も驚いたが向こうも驚いたようで、二人してわたわたした。
そして俺は襲われた。わけもわからぬうちに包丁らしき刃物でめった刺しである。それがついさっきの出来事。
薄れゆく意識の中でこれは死んだなと思ったが、俺は目を覚ますことができたようだ。ただし、目覚めた俺が寝ていた場所は病院のベッドの上ではなかった。
『フハハ、フアハハハハッ! ついに我は成し遂げたぞ!』
霧がたちこめる水辺のほとりに俺はいた。目の前には、金色に輝く巨大な化物。
そして俺は少女になっていた。