とりあえず探索
さて、どうしようか。
「……」
本当にどうしようか。
いや、どうしようもないんだけどな。
まぁ、こういった感じのラノベじゃ最初にやることは一つだよな。
みんな一緒にせーのっ
「ステータス・オープン!」
…………あれ? おかしいな。
気を取り直してもう一度。せーのっ
「ステータス・オープン!」
…………ん? 何か間違ってんのかな?
じゃ、今度は、
「ステータス・オープン!」
…………おろ? これもダメか。
うーむ。では、これならどうか。
「ステータス・オープン」
「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」
「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オープン」「ステータス・オ――
~30分経過~
「はーっはーっ……つ、疲れた……」
あれから結構な時間色々試してみたが、結局何も起きなかった。
今更だけど、いわゆるステータスウィンドウってやつは無いんだろう。たぶん。
これであったら笑いもんだけどな。ははっ。
……命懸かってるから笑えないな。
「とにかく」
状況を確認しよう。
まずは所持品かな。
服装。何かゴワゴワした感じがある麻っぽい材質の長袖長ズボン。着心地がいいとは言えないが、それなりに綺麗だ。
ポケットはズボンの両側にひとつずつ。
中は……お、金貨一枚と銀貨が三枚ある。
今回俺を転移させた神的な存在は、それなりに優しいかもしれない。
と言っても、説明もなしに異世界に放り込んでる時点で優しさランキングは下から数えた方が断然早いだろうが。
他には……特にないか。
武器とかあればよかったんだけど。
無いなら無いで仕方がない。
よし。所持品検査は終わり。
次は周囲の状況を確認だ。
周囲の状況、周囲の状況……ね。
「森……だな」
それ以外の表現方法を俺は知らない。
いや、一応木がたくさん生えてるとか何とか、色々表現できるが、それはともかく。
何にせよ、歩くか。
草を掻き分け踏み均し、森の中を進み行く。
しかし行けども行けども景色が変わらない。
これは……遭難か? 転移した直後に遭難したのか俺は?
おかしいだろうに。これは流石におかしいだろう。
てれれてってれ~♪ 神的なやつの優しさランキングが50位降格したぞ! やったね!
……虚しい。
さーてさて。
こういうときは誰か説明役みたいなやつが出てきたり、冒険初心者の町があるもんだと思ってたんだけどなー。
何かないかなー。
ねえねえ、何かないかなー。
ねえねえ、ねえ。ねえってば! ねえっ! ねえ、聞いてん――
とりあえず気を取り直して探索だ。
「ん?」
おっと、何かを発見した。
一瞬キラッと光ったのが見えたぞ。
たぶんその木の根本にあるはず。
やった! 銀貨を一枚手にいれたぞ!
よし、先を急ごう。
森を進む。
ずんずん進む。
やった! 銅貨を二枚手にいれたぞ!
森を進む。
ガンガン進む。
どんどん歩く。
やった! 銅貨を一枚手にいれたぞ!
……森を進む。
ぐんぐん進む。
やった! 銀貨を一枚手にいれたぞ!
……いらん。もう、いらん。
とにかく町に着かせてくれ。
というかお金落としすぎだよ。
こりゃ、金貨の価値も高が知れてるな。
「これなら、美少女でも落ちててくれた方がいいんだけど」
森を歩く。
歩く。
歩いて、歩く。
歩いて、歩いて、歩いて、歩く。
が、何もない。
フラグはそう簡単には立たないということか。
フラグ建設失敗っ!
……あ。町っぽいのがある。
「ようこそ始まりの町へ、か」
何と安直な名前なんだ。
どうせならすぐそばに転移させてくれればよかったものを。
くそが。
おーっと、汚い言葉が口をついて出てしまった。
めんごめんご。
じゃ、町に入るとするか。