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メノウとラクシーン 

 

 廊下を通り、竜族と遭遇すれば隠れて、通り過ぎるのを待つ。

 行動は単純だが、一度失敗すれば一巻の終わりだ。

 俺達だけでなく、他の中隊も巻き込まれるのだから。

 しかし、不気味な場所だ。

 空気が重く、何というか、生きた心地がしない。

 地上ではなく、別の異世界なのではないかと思うくらいに。

 階段を三度上った。

 四階に到達すると、様子が変わる。

 一階から三階は、普通の城に近い構造だった。

 廊下が走っており、部屋があって、階段を上がれば同じような構造。

 交差する廊下もあり、格子状をイメージするような感じだ。

 でも、四階は違う。

 階段からまっすぐ通路が伸びていて、左右に部屋がずらっと並んでいるだけだ。


『部屋は区切られていて、廊下は一本だけ。ここを通らないと上へ行けないわ。

 けれど、見張りがかなりいる』


 ――部屋に入って窓から出て、上に行くとかできないか?


『できないわね。外から見たでしょ? 飛竜が空から見張ってるんだもの。

 あれは城への侵入者を見つけるためというよりは、近辺を監視するため、みたいなものだと思うけれど。

 それでも間違いなく見つかるわね。それにここから上の階にはほとんど窓がないみたいだし』


 この廊下を進むしかない、ということか。

 感知しても、この階にはそれなりの数、竜族がいるようだ。

 かなり強そうだ。

 今まで戦った竜族達の中でも最上位クラス。

 さすがに大型飛竜やラクシーンには遠く及ばないが、下級竜族十体分くらいの強さはありそう。

 戦闘になれば苦労するだろうし、掃討する前に援軍を呼ばれるだろう。

 見つからずに進まなければ。

 遮蔽物に隠れながら、廊下を見ると、哨戒している兵と、石像のようにその場に立っている兵がいた。

 五体か。

 あの監視の目を逃れるのは難しい。

 どうする。

 俺は近場の部屋を感知した。

 誰もいない部屋もあるようだ。

 やるしかないか。

 俺はその場で留まるように隊員達に合図を送る。


『ちょっと、何する気よ』


 ――まあ、見てろよ。


 俺は大剣を抜くと、即座に改良した。


 ●改良

  ▼竜魂

   ・小竜魂:432

   ・中竜魂:115

   ・大竜魂:3

   ・極大竜魂:0

   ・魔竜魂:37

   ・大魔竜魂:0

   ・???

  ▼改型

   ・速度型【攻撃力:D 防御力:F 速度:S 特殊:幻影剣】

    …剣の重量を著しく減らし、速度を優先。硬度や攻撃力、防御力は大きく減少。

     ただし、速度は空手の時よりも早い。相手が軽装ならば絶大な威力を発揮する。

     幻影の力で無数の斬撃を生み出すが、ただの幻影である。

     ▽必要竜魂【小竜魂:200】


 速度重視の型。

 これならばいけるはず。

 俺は即座に、刀身に竜燈草を塗ると、床を蹴る。

 廊下を這うように姿勢を低くした疾走。

 竜族達が俺の存在に気づいた時には、すでに眼前に到着していた。


「シ、シンニュウ、ガッ!?」


 鎧の間を通るように刺突を繰り出す。

 一撃で竜族は動かなくなる。

 他の連中も俺に気づく。

 俺は止まらずに動き続け、一撃で奴らを仕留めた。

 五秒。

 その時間で、五体を屠った。

 音は大して鳴っていないはずだ。

 それに血もできるだけ出さないように殺し、壁際に付着するように気を付けた。

 どこかの部屋から援軍が出てきたりはしていない。

 俺は大剣を背中に戻すと、隊員達を呼んだ。

 全員で空き室へ、竜族の遺体を運び、血の跡が目立つので、近場にある家具を乗せた。

 よく見ればわかるが、パッと見ではわからないだろう。

 しかし見張りがいないことに気づけば、不審に思い、辺りを調べるだろう。

 そうなる前に、竜神を倒さなくては。

 俺達は廊下を進む、

 突きあたりには巨大な扉がある。

 この中には誰かがいるのはわかっている。

 間違いなく、敵が待ち受けているだろう。

 だがここ以外に入り口はない。

 誰かが待ち伏せているかのようだった。

 もしも強敵なら。

 外から上階へ行った方がいいか。

 しかしそうなれば、飛竜に一方的に殺されるだろう。

 俺は何とか生き残れるかもしれないが、隊員達は無残に殺される。

 そして確実に竜族の援軍が来る。

 仮に上階に行っても追いつめられるだろう。

 では、この部屋を抜ける方がいいか。

 この部屋に、敵が待ち伏せていても、援軍が嗅ぎつける前に殺せば、そのまま上階へ行ける。

 そして、もし援軍が来ても、巨大な扉を塞げば、階下からの襲来は防げるだろう。

 窓からの侵入もあるだろうが、その数は少ないはずだ。窓自体が少ないらしいし。

 行くしかない、か。


『覚悟して入った方がいいわ。この先、強い力を持った竜族がいるみたい』


 嫌な予感しかしないことを言う。

 だが迷う暇はない。

 俺は扉を開けると、すぐに部屋に入った。

 そして即座に隊員達に扉を閉めさせる。

 と、そこはホールのようだった。

 ただの空間が広がっている。

 奥の方に階段があるだけで、それ以外に特徴はない。

 かなり暗く、窓もない。

 誰かがいるはずだが。


「これはこれは、やはり侵入者がいたのですな」


 妙に甲高く、流暢な言葉。

 それが正面から聞こえ、俺達は顔を上げた。

 階段から下りてきたのは、ずんぐりむっくりで青い肌をした竜族。

 明らかに戦闘に不向きな体型をしている。

 その竜族は嬉しそうに笑いながら階段を下る。

 俺達は即座に武器を手にした。

 竜燈草を塗るのも忘れない。


「ふぉふぉふぉ。その植物、中々に厄介なようで。我々にはかなり効果があるようですな。

 まさかそんな植物があるとは。一体どこでそんなものを見つけたのか。

 今まで、まったくそんなものを活用する気配はなかったというのに。

 誰の入れ知恵ですかねぇ。神? いやいや、そんな馬鹿な。

 あの無知で蒙昧な幼い神は、そんなことを知りもしない。

 前任の神も、その植物には気づきませんでしたからねぇ。私達もそうですが」

『竜族の下っ端ごときがミスカを見下すなんて、こ、殺してやりたい……!』


 脳内で響く声音は俺にしか届かない。

 俺は小柄な竜族に向かい言い放つ。


「……なんだ、おまえは」

「私はメノウ。竜軍医療班長のメノウと申します。ほほほ、自己紹介をしても無意味ですが」

「それはどうかな」


 俺は姿勢を低くし、すぐに飛び掛かれるようにした。

 即座に行動しなかったのは、奴に余裕があったからだ。

 どう見ても、強そうには見えないが。

 奴は喉を鳴らすと、パチンと指を鳴らした。

 すると、天井付近の暗がりから、何かが飛び降りてくる。

 数十の竜族。

 だが様子がおかしい。

 涎を垂らし、明らかに理性がなくなっている様子だった。

 今まで見た竜族は、確かに人間よりも知性は低いが、理性はあった。

 この場にいる奴らにはそれがない。


「竜の本能を呼び覚まし、身体能力を向上させた強化竜人。

 いやはや、相手を探すのに難儀しておりまして、試験には丁度よかったですな」


 仲間を実験対象にしたのか。

 同族を、物のように扱っている。 

 人間にもこの種の人間はいるだろうが、俺には理解できない奴らだ。

 怒りはない。竜族に同情はしない。

 しかし不快ではあった。


「さあ、殺すのです! そこの人間どもを!」


 奴には自信があるらしく、援軍を呼ぶ気配はなかった。 

 助かった。この場をどうにか切り抜ければ、まだ勝機はある。


「二班行動作戦! 距離をとれ!」


 俺の指示を受けると、隊員達は即座に二班で固まり一定の距離を保つ。

 十人で連携をすれば、大概の敵には対応できる。

 相手の数は……二十八。

 数では俺達が勝っているが、敵の戦闘能力は他の竜族よりも高そうだ。

 油断は大敵。

 メノウは階段の上でふんぞり返っている。

 奴の近くには別の竜族が五体。

 護衛ということらしい。


「ギャギ、グゥウゥギャ!」


 叫びながら襲ってくる竜族に向かい、俺は幻影の剣を放った。

 だが奴はまったく動じずに、突っ込んできた。

 やはり恐怖心もなくしてしまったらしい。

 俺は即座に攻撃を回避しながら仲間達の状況を確認する。

 隊員達は慎重に一体一体を相手にしている。

 だが取り囲まれることもあり、苦戦しているようだ。

 彼等は普通の人間だ。

 訓練しても、限界がある。

 だがその訓練のおかげで、まだ死人は出ていないし、少しずつ敵を追い払ったり、傷を負わせたりしている。

 大丈夫。彼等を信じていい。 

 俺は暴れて、数を減らす役目をしよう。

 俺は理性のリミットを外し、地を蹴る。

 速度を上昇させ、視界が流れ、見えなくなるほどに走った。

 剣を振り、竜族達を一体一体屠る。

 強化されていても、攻撃は通る。

 大型竜兵タイプだと、外郭が硬く、攻撃力に特化しなければならないが、この竜族は防御力が低めだ。

 速度特化型のドラゴンイーターは丁度よかった。

 瞬く間に、竜族達は地に伏す。

 数分でほぼ全員を討伐した。

 後はメノウと、その護衛だけ。


「終わりか?」


 俺は即座にメノウの下へ向かう。

 護衛を瞬時に葬り、メノウへと剣を振り下ろした。

 だが。

 その剣は受け止められた。

 メノウにではない。

 ラクシーンに。

 俺は驚きのあまり、後方へ退いてしまう。

 さっきまでいなかったはずだ。

 一瞬で移動してきたのだ。

 ラクシーンの移動速度、身体能力は知っている。 

 瞬きをする間に、奴は距離を詰める。

 それくらいに強い。

 だが俺もあれから強くなっている。

 それなのに、見えなかった。

 油断していたからか。

 俺は歯噛みし、再び構えて、ラクシーンを見た。

 そして驚愕に目を見開く。


「おまえ、その姿……」


 白かった身体は黒のまだら模様で穢されており、身体中は無骨なおうとつが占めている。

 禍々しく、美しささえあった以前の見た目とはかけ離れていた。

 目には理性の光はない。

 猛る、獣の本能が顔を出していた。

 手に握る剣は震え、怒りのあまりに筋肉は膨張している。


「ほほほ、勝手に強化させていただきました。

 さっさと怪我を治せとおっしゃっていましたのでね。

 こうなると竜騎士殿も形無しですな」

「腐ってる……っ!」

「おやおや、憤っているご様子。ラクシーン様は敵ですぞ?

 その相手に同情しているのですかな? 人間とはおかしな生き物ですな。

 それに、これは、半竜人でしてね、穢れた血が混じっております。

 竜神様が力を認めて、竜騎士になっておりましたが、誰も認めてはおりませんでしたよ。

 ということで、実験材料として丁度よかったので、秘密裏にちょちょっと弄ったら、こんな風になってしまいましたが。

 まあ、仕方がありませんな」


 俺は自分でもわからない激情を感じる。

 相手は敵。殺すべき相手。それは変わらない。

 だが奴には奴の矜持があったように思っていた。

 他の竜族とは違う。ただ人間を見下しているだけのクズとは違っていたはずだ。

 それがこんな末路を辿るなんて。

 剣を合わせたからこそ、わかることもある。

 ラクシーンはもう戻らないだろう。

 それが目を見ればわかってしまった。 

 だから、せめて俺の剣で屠るとしよう。

 俺は感情の波を抑え、隊員達に下がるように指示をすると構えた。

 そして、ラクシーンに向かって走った。

 剣戟。

 重なる金属は火花を散らし、不快な擦過音を生み出す。


「ガアアアアア!」


 ラクシーンは激昂しながら俺の攻撃を振り払う。

 力技だ。以前の戦いとは違う、ただの膂力に任せた動き。

 弾かれた俺は後方へ下がり、再び剣を構える。

 瞬間、ラクシーンの顔が目の前にあった。

 即座に剣を上げ、防御の姿勢。

 縦横無尽に襲ってくる剣閃を防ぐ。


「ほほほ、防ぐのに精一杯といったところですな!

 もっと頑張らないと死んでしまいますぞ!」


 メノウが狂喜に表情を歪ませていた。

 負けるとは思ってない、って感じだな。

 確かにラクシーンの攻撃は早いし、重い。

 一撃を受けると、腕が痺れるくらいだ。


「ガア、ガア、ガアアアアアッ!」


 猛獣だ。

 騎士の欠片もない。

 俺は憐れみを抱きつつも、猛攻に対処する。


「さあさあ! そのままだと死んでしまいますぞ!」


 メノウはケタケタと笑いながら高みの見物をしている。

 俺の肌は僅かに傷つき始めている。

 剣風が肌を滑っているのだ。

 かなりの剣速。

 以前のラクシーン以上。

 だがそれだけだ。


「むむ?」


 先程まではしゃいでいたメノウは、足を止めて、目の前の情景を観察している。

 それもおかしくはない。

 ここまですべての攻撃を俺は防いでいる。

 速度は凄まじく、力も同様。

 だがそこに技はない。

 ただの力。

 そんなもので俺を殺せるはずがない。

 俺は攻撃をすべて受けていたが、やがて受け流し、完全に回避し始める。

 そして大きな隙を見つけると、瞬時に剣を突き出した。

 斜め上に伸びた剣の軌道。

 それは真っ直ぐラクシーンの心臓に飲み込まれる。

 竜族の身体の構造が人間と同じかはわからないが。

 身体の中央を貫かれては生きていられないだろう。

 血が、地面にボタボタと落ちた。

 俺はラクシーンから離れて、距離をとる。

 ラクシーンは血濡れ、身体を震わせていた。

 背後でメノウが驚愕の表情を浮かべている。


「驚きましたな……まさか、私の最高傑作をこうも簡単に殺すとは」

「弱すぎる。動きは単調で、技もない。ただの獣相手なら、技を使うまでもないからな」


 俺はラクシーンを見下ろす。

 憐憫を禁じ得ない。

 彼は何のために戦っていたのだろうか。

 ラクシーンはその場に倒れてしまう。

 痙攣を繰り返し、やがて動かなくなった。

 次はメノウだ。

 そう思った時、メノウは喉を鳴らした。


「くくく、素晴らしい。これほどに素晴らしい実験相手がいるとは思いませんでしたぞ!」


 何を言っているのかと思ったが、すぐに疑問はなくなる。

 ラクシーンが立ち上がったのだ。

 身体の傷が塞がり、体躯は二倍以上になった。

 剣を捨て、指からは爪を伸ばし、巨大な尾が床を撫でる。

 最早人型ではない。

 ただの竜のようだった。


「まだ終わりませんぞ? 私の最高傑作品は、簡単に死にませんからな!

 くくく、最早、絶体絶命ですな?」


 確かに相手は巨大で、圧倒的な強さがある。

 絶望的だと誰もが思うだろう。

 ラクシーンは咆哮しながら、俺に向けて手を振り下ろした。

 轟音と共に床にヒビが走る。


「ほっ! 凄まじい一撃ぃっ! 即死決定ですぞおぉっ!」

「おまえがな」


 メノウは俺の剣に貫かれた。

 腹から背中を刀身が通っていた。


「ほ? ほごぉ、ごおおぉ、がぎぃ、いぎぃっ!

 が、が……い、づのまにぃ」

「おまえが馬鹿みたいに叫んでた時だ。おまえは頭が悪すぎる。

 ラクシーンの長所である剣技と速度をすべて台無しにして、あんな愚鈍な身体にしてしまった。

 理性のあった時のラクシーンの方が強かったぞ」


 ラクシーンは地面に手をついたまま動かない。

 それも当然。

 すでに事切れている。

 今、俺は速度重視の大剣を装備している。

 必然、奴が鈍重な動きになれば、圧倒できる。

 硬度は大して高くなく、速度があれば簡単に刃を通した。

 メノウが痛みで暴れる中、ラクシーンは地面に伏した。

 そのまま動かなくなった。


「い、いだいぃ、た、たすけ、たすけでぇ、いづづ、いだいぃ」

「おまえに弄ばれた奴らも同じことを思っただろ。

 少しは他者の気持ちがわかったか? クズ」


 俺はグイッと大剣を持ち上げ、メノウの身体を天井へ向けて掲げる。


「わ、わがっだがらぁ、だじゅげ」

「それは無理だな」


 一気に力を込めて、メノウの身体を寸断した。

 一息。それ以上、苦しむことはなかっただろう。

 地面が血だらけになり、肉塊が地面に落ちる。

 何とか倒せたか。

 思ったよりも、苦戦はしなかった。

 これはラクシーンの強さが、むしろ劣ってしまったからだろう。

 あれほどに強かった騎士が。

 今は、ただの化け物になっていた。

 俺は隊員達の下に戻る。

 ラクシーンの遺骸の隣を通り、一瞥する。

 相手は竜族だ。敵だ。だからこれ以上、何か考える必要はない。

 ただ。

 竜神を殺す理由が増えただけだ。


「怪我人は?」

「軽傷者数名。問題なく行けます」


 かなりの危機だったが、隊員達の闘志は陰らない。

 俺は大きく頷き、上階に向けて移動を始める。

 だが。

 扉がけたたましく音を鳴らし歪んだ。

 一気に開かれてしまい、廊下から竜族達が入ってきた。

 援軍だ。


「メ、メノウサマガ、ヤラレタ!? 

 オノレ、シンニュウシャ! コロセ、コロセ!」


 二百近くの衛兵達が廊下から押し寄せていた。

 だがその後方には援軍はいない。

 大きな音がしたから確認しにきた、という感じか。 

 恐らくは四階にいた竜族だろう。

 ここで奴らを倒すか?

 時間をかければ、更に援軍が来るし、上からの敵も来るかもしれない。

 挟撃されれば更に危険だ。

 だが、この状況では倒すしかない。


「隊長は先に行ってください!」


 隊員達が扉から入ってきた竜族に攻撃を仕掛け、即座に扉を閉めた。

 廊下には他の竜族達が残されている。

 部屋に入っているのは百近く。

 だが俺が加勢しても時間はかかるかもしれない。

 どうする。

 任せるか。だがそれでは間違いなく死人が出る。


「早く! ここでもたもたしていたら、もっと援軍が来ます!

 ここは俺達が食い止めます! 

 俺達にはそれくらいしかできないことが、さっきの戦いでわかりました!

 だから隊長! 竜神を倒してください!」

「おまえ達…………わかった」


 隊員達の覚悟を無駄にはできない。 

 俺はみんなに背を向けて、上階へと向かった。

 俺達は死しても竜神を倒さなければならない。

 失敗すれば人類は終わるのだ。

 俺は後ろ髪を引かれる思いを振り切り、階段を上った。


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『マジック・メイカー -異世界魔法の作り方-』

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