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迷宮

「さてと、装備も揃えたし道具も揃った。早速迷宮にいこうぜ」

「いきますけど~。お金が~、お金が~」


 あのあと必要な道具を買った俺らは迷宮へと向かっていた。道中、「せっかく集めたお金が~」とリナが泣いていたが気にしないことにした。気にしたら負けだ。


「で、村をでたはいいが迷宮ってどこにあるんだ?」

「迷宮は色々あるのですが今回は魔王様の鍛練なので初級の迷宮に挑みます。迷宮ももうすぐ見えてきますよ」


 リナのいった通りしばらくあるいていると緑色の自然の中にポッかりと黒い穴を開けた洞窟が出てきた。


「これが今回挑戦する迷宮です。モンスターの平均レベルは1~10位ですので今の魔王様なら油断さえしなければ普通に攻略できるでしょう」

「成る程な、因みにどんな魔物が出るんだ?」

「えっと、確か獣系モンスターが主だった気がします」

「分かった、では早速挑戦しようぜ」


 そう言って俺は迷宮へと足を踏み入れた。










「くらえ!フレイム!」


 俺が言葉を発して手を前に出すとバスケットボール位の炎の球体が現れた。それを前の方に出すように想像すると炎の球体から大量の炎が吹き出し目の前にいた猪のようなモンスターの群れを飲み込んでいく。今、俺が出した技は上級魔法の炎属性の基本技の『フレイム』である。炎の球体を生み出しそこから大量の炎を扇状に放つ広範囲攻撃魔法である。それを俺は猪のようなモンスター『ブラッドボア』の群れにはなったのである。

 この洞窟に生息しているブラッドボアはレベル2~5と初心者が相手するにはちょうどいい相手なので戦っていた。

 しかし、ここに来て既に3時間以上経過して十分戦い慣れて来た俺は群れ単位を相手にする事にした。流石にそれを始めたときはリナが止めたが心配ないと思ったのか今ではなにも言わなくなっていた。


「…うん、いい感じにレベルが上がってきたな」


 俺の目の前に出したステータス画面にはレベル5となった俺のステータスがあった。



名前:鈴木颯手

種族:魔王

レベル:5

体力:1903/2200

魔力量:431/1900

STR:140

VIT:120

DEX:100

AGL:70

魔法:火、水、雷、闇、土

上位魔法:炎、氷、武、鬼



 俺のレベルが5になった事で能力値も増えているがリナによるとここまで数値が伸びる事はないらしい。確かに全て一律で伸びており体力が50、魔力が100、AGL以外は10、AGLも2ずつ伸びている。この調子ならリナと同じレベルになった時には化け物になっているだろうなぁ。


「魔王様お疲れ様です。戦いには慣れましたか?」

「少しはな。そろそろ奥に行っても問題なく戦えると思うよ」

「それは良かったです。ですが、そろそろ日が暮れます。宿に戻りましょう」

「そうか。迷宮にいると時間の流れが分からないから気を付けないとな」


 リナの言葉に従い俺達は外に出る。空を見上げれば夕焼け空に染まった景色が一面に広がっている。迷宮初日としては上出来な結果だろう。その時、俺の右手が少し震えた。


「……」

「? 魔王様、どうかされましたか?」

「ん? いや、何でもない……」


 俺は今日、初めて獣を殺した。なんともないと思っていたがどうやら無意識のうちに傷を負っていたようだ。多分獣だったからこれで済んだだけだろう。もしこれが人間だったら? そうでなくても人型の魔物だったら? 俺は確実に吐いていたな。


「慣れたくはないけど苦しみたくはないな」


 殺しに慣れれば俺はそのまま人殺しの道に落ちていくだろう。それだけはしたくはない。今日で改めて分かった。魔王になるという事はこれよりも辛い事をこれからもこなしていくという事だ。もし、俺の心が持たなかったら壊れる前に魔王になるのは止めよう。リナには悪いがそうなれば俺は使い物にならなくなる。召喚は大変だったと聞くし俺も出来る限りの協力をして諦めてもらおう。

 俺は最悪の時の行動を覚悟してナハトの村に戻るのだった。


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