シロガネ0
~ストーリー0~
ファーストコンタクト
犬猿の仲……とはよくいうが。俺達の関係はそんな生易しいものじゃない。
例えるならばマングースとハブ、肉食動物と毒蛇のような関係だろう。俺が蛇でアイツが哺乳類、相手がいくら大物だろうと小物の俺には一撃必殺の毒牙がある。しかし、アイツにはそれさえ圧倒する力がある。喰うか喰われるか、殺るか殺られるか。
俺達は初めからそういう関係だった。
四季神 皇一 俺の人生を狂わせた二番目の人物であり、憎ったらしい俺の担任教師。
白銀 勇 負け無しの俺の人生に初に泥を塗った憎き俺の生徒。
俺、白銀 勇はアイツのことが嫌いだ。
そして、俺、四季神 皇一もあの白銀 勇が大嫌いだ。
―新学期―
勇
(たく、総司も遥も怠けてるなー……空にいたっては入学初登校なのに俺と一緒に登校してくれないなんて………うう~~)
何不自由なく学園を進級して二年になった俺、白銀 勇は春真っ盛りの桜道を登校していた。総司は寝坊、遥も寝坊、空は先に行ってしまう憂鬱な朝。その日俺は一人で登校していた……そして、出会ってしまった。
「おい、そこの君」
勇
「?」
偉そうな声。
「少し道を聞きたいんだが」
偉そうな態度。
「この近くにある神頼学園の場所を知らないか」
そして、気に喰わない顔。
歳は二十歳前後、総司と同じくらいの背に膝まで伸びた黒い長髪、明らかに頭がいいと言わんばかりの眼鏡。だが、俗にいうイケメン顔なのにかわりはない第一印象。
勇
「知ってますよ。俺の通ってる学校ですから」
生意気な声。
勇
「なんなら案内しますけど」
人を無意識に試すような態度。
勇
「どうします」
そして、気に喰わない顔。
歳は明らかに16くらい、俺と同じ黒髪で男のくせに無駄に艶があり、身長は妹の遥よりはあるがやや小柄である。いかにも真面目君という第一印象。
この第一印象で俺達は互いに想っただろう。
(コイツとは仲良くなれそうにない)
四季神
「なら、案内を頼もうか」
勇
「んじゃあ、こっちです」
二人は桜道を並んで歩く。
勇
「学園にはどんな用で?」
四季神
「俺は教師でな。今日から君の学園で先生をすることになっている」
勇
「新任ですか。どこのクラスになるか楽しみですね」
四季神
「ああ、そうだな」
この時、二人はまだ他人で初対面であったため、互いに慣れない敬語で言葉を交わす。
勇
「科目は何なんです?」
四季神
「『スペシャルエリートティーチャー』って知ってるか?」
勇
「あの全科目すべてベテランに熟す海外とかで有名な凄腕の教師のことですか?」
四季神
「俺はこの国初のエリートティーチャーの称号を取得した人間でな。この国にはまだエリートティーチャーがいないからその試験生として俺が君の学園に雇われたってことだ」
勇
「へー……まあ、ウチは一応国内1のエリート学校ですからね」
四季神
「ああ、俺はOBじゃないが何でもSランクの神器系武器を使える奴らがかなりいるみたいじゃないか」
勇
「エリートのAクラスにいる人達のことですね。まあ、スポーツ推薦のBクラスにも少しはいますけど」
四季神
「君は違うのかい?」
勇
「俺はただの凡人が集まっているCクラスの一般生徒ですよ。」
四季神
「そうか……」
勇
「話しを戻しますけど。全科目担当ってことは副担任みたいな感じですか?」
四季神
「いや、とりあえず世界史と日本史を担当することになっている。あと、とある問題クラスの担任になってほしいとも頼まれている」
勇
「そうなんですか」
四季神
「だが、俺の真の目的は他にあるんだがな」
勇
「?………あ、着きましたよ」
―神頼学園―
そうこうしている内に二人は目的地である神頼学園に到着する。
四季神
「ほお、ここがそうか。なかなかいい学校じゃないか」
勇
「当然、噂の進学校ですから」
「よお、ちょうどいい所で会ったな」
と、そこへ寝坊していた黒河 総司が学校に到着する。
勇
「総司か。お前な、新学期早々寝坊はないだろ」
総司
「いや、お前が春休みのとき俺に散々被害に遭わせた所為だろうが。昨日ようやく回復したんだからな」
勇
「ああ、ワリイワリイ」
「そんな休み中に何もしないで遊びほうけている。怠けた貴方達のために有料で宿題の答案レポートを提供しますけどどうします?」
と、今度は不適な笑みを浮かべた柴田 新が登場した。
総司
「新か。いつの間にこんなトコに?」
勇
「夏休みとかにもやってたろ。儲けるために宿題忘れた奴に答案レポート売ってるんだよ。新学期早々、商売上手な奴だ。んで、今回は何人に売れた?」
新
「夏よりは劣りましたが、20は確実にいきましたね。儲けは5桁」
総司
「レポート1枚いくらだよ?」
勇
「だが、生憎だったな。俺は完璧にやり終えたぞ」
新
「ほーう」
総司
「残念だったな」
新
「あなたはどうなんです?どーせやってないんでしょ?どーせサボったんでしょ?どーせ不良心理でやる気ねーでしょ?どーせ俺の馬鹿な頭では解けねーでしょ?」
総司
(イラッ!!)
ジャキン!!
あまりにもしつこい新に腹が立ち、総司はブチ切れ武器、デスサイズを発動する。
総司
「テメェ……人を見くびんのもいい加減にしろよ……。俺はなあー、コイツのバカみたいな重労働に付き合わされたあげく疲労困憊兼少ない時間のなか寝るのを我慢して宿題を済ませたんだぞ。そんな俺にテメェは……(怒)」
新
「全く持って短気な人ですね。ですが、僕に刃を向けて……」
ジャキ!!
新も武器、シルバーブレッドを発動し構える。
新
「タダで済むとおもわないでくださいね(殺)」
総司
「上等じゃねーか(怒)」
「わあああーー!!遅刻だあーー!!!」
総司&新
「!!!!」
ドーン!!!
これから死闘というところで途中乱入してきた日野 聖火の爆走により妨害され、総司と新がまるでトラックに轢かれたかのようにぶっ飛ばされる。
勇
「相変わらず元気だな聖火。」
聖火
「あれ?さっき誰かいたような気がしたんだけど?」
勇
「気のせいだ。それより早く教室に行ったほうがいいんじゃないか。」
聖火
「ああ、そうだった!じゃあまた!!」
聖火は再び爆走で昇降口に向かっていた。
四季神
「…………元気な友人が多いみたいだな。」
勇
「すみませんね。騒がしくて。」
四季神
「…死神の鎌に銀の装飾銃……さらに超人……。」
勇
「どうしたんです?」
四季神
「いや、どこかで聞いた噂を思い出しただけだ。」
勇
「そうですか。」
四季神
「世話になったな。礼としてあとで何か奢るから名前教えてくれ。」
勇
「いいですよ礼はべつに。」
四季神
「ほお、面白い子だな。」
勇
「それより、先生の名前は?」
四季神
「ああ……俺はし………。」
「あれ?こんな所で何やってんのにーにー?」
そこに、一人の少女が姿を現した。四季神 遥である。
勇&四季神
「遥。」
勇&四季神
「え?!」
勇と四季神の声がハモる。
遥
「あれ?勇も一緒に……なんで?」
勇
「遥……にーにーってまさかこの人が?」
遥
「四季神 皇一。あたしのにーにーだけど。」
勇
「え゛!!あのシスコンの!!!」
四季神
「遥、コイツと知り合いなのか?!」
遥
「うん、前にも言ったでしょ白銀 勇。あたしのお気に入りの男の子☆」
四季神
「なにっ!!あのブラコンの!!!」
沈黙…………。
四季神
「テメェが遥の………。」
勇
「お前が遥の………。」
四季神
「ぶった斬る!!」
勇
「なっ!!なんだよいきなり!!?」
遥
「あーそれはたぶんにーにーが勇のことあたしの恋人だと思ってるからだよ。」
勇
「ハァ!!?」
ジャキン!
その時、四季神の武器が発動し、一本の刀がその手に収まる。
四季神
「俺がこの学園に来た真の目的……それはこの学園にいるという俺の妹の彼氏を抹殺することだ!!」
勇
「知らねーよ!!」
四季神
「まさか貴様がそうだったとはな……。良かったよ、貴様とは仲良くなれそうになかったからな!」
勇
「ちっ!それは俺も同感だよ!!」
ジャキン!!
勇も自分の武器『村正』を抜刀する。
ザンッ!!
四季神が突攻し、勇に刀で一撃をあたえる。
勇はそれを村正で受けるが、同時に怯んでしまう。
勇
(ぐっ!重っ!!)
四季神の一撃は強力だった。数多の修羅場をくぐり抜けた勇の経験で相手の力量は大体さっきの一太刀でわかる。
勇
(コイツっ!!強い……。)
四季神
「たかが一撃で怯んでんじゃねーぞ。」
ザンッザンッザンッ!!
四季神が勇に連撃をあたえ、追い詰める。
四季神
(ちっ、一撃で片が付くとおもったが。ここまで耐えるとはな。)
四季神
「見るからに名刀型Bランクの武器のようだが。そんなナマクラでは俺には傷一つ付けられないぞ。何なら、ハンデとして俺に傷一つでもつけられたら貴様の勝ちにしてやるが。」
勇
「言うじゃねーか。なら、本気を見せてやるよ!」
その瞬間、勇の刀が槍に姿を変えた。
『妖刀・村正・蜻蛉切』
四季神
(形態変化!!?)
ダンッ!!
突然の出来事だったため、四季神は不意にも勇の一撃を刀でガードする。
四季神
(この俺にガードを使わせるとは!!)
勇
「どんどん行くぞ。」
勇は距離を取り、今度は拳銃に変化し、相手に目掛けて乱射する。
バンッバンッバンッバンッ!!
次はマシンガン。
ダダダダダダ……!!
更に次はガトリングガン。
ガガガガガガガ……!!!
四季神
「調子にのるなよ……ド三流!!」
ザンッ!!!!
銃弾の嵐の中を四季神は刀の一降りで払い除けてしまった。
勇
「ちっ!化け物かよ!なら……。」
ジャキ!!
『妖刀・村正・シルバーブレッド』
ダンッ!!!
四季神
「!!!」
ドーン!!!
シルバーブレッドに形態変化したその瞬間、その絶大な威力を直感的に察知した四季神は銃弾をガードするのではなく紙一重で避ける。
銃弾はそのまま直進し、校門の鉄柱を粉砕した。
四季神
「くそっ、あの騒がしい友人の武器か!なんつー威力だよ!!」
勇
「隙ありだ。」
銃弾を避けたことにより隙ができた四季神に今度は勇が突攻する。
『妖刀・村正・ドラゴンハート』
今度は聖火のドラゴンハートに形態変化し、高速移動で四季神に一気に間合いをつめ、その勢いのまま鉄拳を食らわす。
ダンッ!!
四季神
「ぐぅッ!!」
四季神は鉄拳を刀でガードするが、同時に体勢が崩れる。
その隙を逃さず勇は武器を元の刀の状態に戻し、四季神の刀目掛けて振り下ろした。
ベキン!!!
四季神の刀が折れ、勇は再び武器を形態変化させる。
『妖刀・村正・デスサイズ』
勇
「止めだ。」
完全に勝利を確信した勇が総司の武器、デスサイズを四季神に振り下ろす。
しかし………
ジャキン!!!
デスサイズの鎌は突然現れた刀に受け止められてしまう。
勇
「なにッ!!?」
勇は目を疑った。突然現れたその刀は四季神の手を離れ、宙にまるで意思を持っているかのように浮かんでいるのだ。
四季神
「まさか……貴様ごときにこの姿を見せることになるとはな。」
勇
「!!!」
四季神の周囲に次々と無数の刀が現れたことにより、勇は驚愕する。
ジャキン!!
四季神
「『千本刀・村雨』」
その名の通り、千本の刀が四季神を守るように規則正しく並ぶ。
勇
「マジかよ………」
四季神
「まさか遥と同じ形態変化系のAランクデュエルとはな。だが、例え神器系Sランクデュエルでも俺の千本刀には勝つことは出来ない。」
ジャキ!!
四季神が腕を上げた瞬間、千本の村雨の刃が一斉に勇に向けられる。
勇
「ちっ!!」
四季神
「くたばれ!!!」
遥
「そこまでだよ、にーにー」
四季神
「?!?!」
四季神が勇に止めを刺そうとしたその瞬間、遥がその間に割り込んだ。
四季神
「遥!!何故止める!?」
遥
「キズ……。」
四季神
「?」
遥に指摘され、四季神が自分の頬から血が出ていることに気付く。
それは勇が四季神の刀を折った際についた小さな切り傷であった。
遥
「傷一つ付けたら勇の勝ちって言ったでしょ。」
四季神
「だが遥……。」
遥
「それに勇はあたしの大事な人なんだから傷付けちゃだめだよ。」
四季神
「だけどな……。」
遥
「わかった、お兄ちゃん☆」
四季神
「しょうがねぇ~な~もぉ~~。」
勇
(ええええええ……!?!?)
遥が伝家の宝刀を発動したことにより四季神が骨抜きになる。
四季神
「白銀 勇とか言ったな。次あった時は覚悟しろよ!」
そう捨て台詞を吐きながら四季神が学園に足を運んで行った。
勇
「何なんだよ?お前の兄貴は?」
遥
「可愛いでしょ」
勇
「どこがだ」
遥
「それよりあたし達も早く行こっ。もう遅刻決定だけど」
勇
「そうだな……。ああ、遥……」
遥
「?」
勇
「ありがとな……」
遥
「え?」
勇
「そのー……『大事な人』って……」
遥
「当たり前じゃん!あたしは勇のことが好きなんだからさ☆」
勇
「はぁ~……お前にだけは一生勝てる気がしねーよ」
そして二人は新しい学園生活へと歩むのであった。
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―二年C組―
始業式終了後の教室。
「今日から君達の担任になる四季神 皇一先生だ」
勇
「!!!!」
四季神
「!!!!」
こうして俺達はまた出会ってしまった。
四季神の言っていた、とある問題クラスとは勇達のクラス二年C組であった。ちなみに依頼内容は『死神の鎌を持った不良学生と銀の装飾銃を使うサディスト、さらに地球を破壊する超人がいるクラスを世話してほしい。』というものだった。
四季神
「いいか!ここでは俺がルールだ!!文句がある奴は出てこい!!!」
総司
「なんだ?あいつ?」
新
「おやおや、面白い人が来ましたね」
聖火
「長い髪だなー……」
遥
「楽しくなりそうだね」
勇
「最悪だな」
四季神
「同感だな」
俺達二人の宿命的な出会いはここから始まった。
そして、俺は何度でも言おう。俺はあいつが大嫌いだ。
好評により続編?決定!!
連載することにしたのでそちらもよろしくお願いいたします。




