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君に捧げる最後のラブレター

作者: 水色

ごめん…ごめんな…?

お前との約束守れなかった。


最後に見たかったなぁ、お前の笑顔が…




―――――――――――



1×××年、4月の春。

私、霜月馨(シモツキカオル)は片思いをしていた上村遼太(ウエムラリョウタ)君に告白し、見事付き合う事になりました。

卒業式の時だったから、桜が満開だった。

綺麗な桜の木の下で私たちは抱きしめ合った。



この時代には便利な物がなかったから彼と文通をして連絡を取り合っていた。



今日もいつも通りに手紙を書いていたのだけど…

母が顔を真っ青にして私の部屋に来た。急いで私の部屋に来たからか息が切れていて…息を整える前に母が口を開いた。


「馨!遼太君が…」

「どうしたの、お母さん。遼ちゃんがどうかしたの?」

「結核…にかかったって」

「え?」

「今、運ばれたって連絡があったの。」


結核は死病の病。医学が発達していない今、結核を直すことなど出来ない。


「お母さん!遼ちゃんが運ばれた病院どこ!?」




病院の場所を聞いた私は走った。私の家から走って1時間かかるところだ。

普段運動しない私にとって凄く辛かったが、遼ちゃんの為にとにかく頑張った。


病院に着いてから部屋の番号を聞くのをすっかり忘れていたことに気がつきため息をつきながら病院内に入った。

顔を上げると遼太の両親がいたので小走りにそこまで行った。


「馨ちゃん!一人で来たの?」

「遼ちゃんの為ならどこにでも行きますよ。で・・遼ちゃんは?大丈夫なんですか?」


遼太の母の顔が悲しそうな表情をしてから俯いて震えた声で言った。


「もう、治らないって。長くないって、お医者様が言っていました・・。」


何で私じゃないんだろうって、そのとき思った。泣き崩れる遼太の母親を見て、私も静かに泣いた。

病室を教えてもらって部屋の前まで来た。泣いた顔は見せないようにしよう、笑顔で遼太に会おう・・そう心の中で思いながらゆっくりと病室のドアを開けた。


「!馨、な・・何で、ここに!?」

「運ばれたって聞いて、飛んできちゃった!でも・・元気そうだねぇ?」

「俺は別に入院なんてって言ったんだけど、かごの中の鳥みたいに閉じ込められっちゃった」


笑いながら話すあなたを見ていると、胸が痛くなってくる。苦しくて、苦しくて、泣きそうになったけど何とかこらえた。


「じゃあこれから毎日お見舞いに来てあげる!寂しくなんないようにね。」


そう言った後のあなたの苦しそうな顔が、今でも忘れられない。


それから毎日会いに行った。私が行くと咳きしてるところとか見せなかったけれど・・私知ってるんだよ?私が部屋を出て少しすると辛そうに咳をして、泣いてること。「ごめんな、馨」って言ってる事・・。


遼太が入院して、半年が経とうとしていたとき・・

先生に呼び出された。そして、遼太が危ないと言うことを聞き、学校の途中だってこともお構いなしに飛び出して病院に行った。

途中転んだりもした。膝が痛かったけど、遼ちゃんな方が痛い思いをしてるんだって思って頑張って走った。


病室に入るとテンポ良く無機質に響く機械音と、座り込んで泣いている遼太の母と寄り添ってる父。私は両親なんて気にせずにガラスにへばり付いて、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら一生懸命叫んでた。


「遼太!まだ頑張れるでしょ!私と結婚するって、幸せになるって、言ってたじゃない!ねぇ、遼太ぁ!何か言ってよ・・」

「・・か、おり・・」


かすかに聞こえた声に下を向かせていた顔を上げる。苦しそうな顔をしながら私の方を見ていた。


「か、おり・・泣くな、よ・・。お前には、笑っ・・た顔が一番似合ってる・・」


そんなこと言われたから、口説かれてるみたいで、無意識に笑顔になっていた。遼太は満足げに笑った後、息を引き取った。


葬式も終わり、早めに家帰っていた。ポストに入っている何通かの手紙を取り出して、家に入った。

自分宛のものを探していると自分宛に馴染みがある文字の手紙を見つけた。

封筒の裏を見てみると、そこには上村遼太と書かれていた。


自室に行って封筒を開けると、2枚の紙と、何か硬いものが入っている袋が出てきた。

手紙にはこう書いてあった。


霜月馨さんへ

先に行く事になってしまったこと、私はとても残念で、悔しいと思っています。

まだ、馨とやりたいことがたくさんありました。

もっと文通をして、いっぱい話して、2人で出かけて、ついには結婚して。

でも、この病気のせいでそれも叶わなかったことが、多々あります。

病院にいるときに思ってた。俺は馨の笑顔をずっと見ていたいって。

------最後に、お前の誕生日の日に渡すはずだった物が、袋の中に入っています。もう一枚の手紙とその袋の中身は誕生日の日に見てください。


上村遼太


お葬式の日が誕生日の日って嫌だなぁなんて思っていたが、これのおかげで少し幸せな誕生日になりそうな気がするなんて思いながらもう一枚の紙を広げた。


馨。誕生日おめでとう。本当は、直接言ってあげたい気分です。

その袋には指輪が入っています。ただの指輪ではありません。結婚指輪のつもりで買った指輪です。

でも、もう私は付けられません。なので、私の分あげます。私だと思って身に付けていただきたいななんて思います。

もし、生まれ変わったら、また、馨に恋をして、今よりももっと、もっと幸せにするから、だから、その指輪で予約しておきます。


今までありがとう。いつまでもずっとあなたを思ってます。



ずるい、ずるいよ。私も言いたかった。今までお疲れ様って、また会おうねって・・


「今日の空は、遼太みたいに綺麗な空だよ。」


なんて、空に呟いてみた。私はまだ、君にあげてないよ。今ならまだ、君に届くかな。

私からの最後のラブレター。


END



初めまして、水色です。

これが初の作品です!ワーイ♪

だが!これはまったく悲しくも甘くもない気がするぜ(汗


もっと文才能力上げておきます・・


感想、アドバイスは大歓迎です!←おい

中傷は止めてください・・


では皆様、次の小説でお会いしましょう。


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