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戦う聖女さま  作者: 有栖 多于佳


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エピソード23 聖教会戦 VS霊感戦士クラリス

聖教会本部の大神殿に転移してきた四人を、大神殿の門兵は足止めした。


「教皇に会って今回の聖女さまについて話さなければならない」

当たり前のように北のクラリスが告げれば、取次に伝令が走って行くのがわかった。

まあ待っていてもいいのだけれど、みながそう思って居る中、

「面倒だから、先に行く」

ペトラがもう一度転移魔法を展開始めたので、

「では、わたくしもご一緒に。二人は各々案内に従って向かいなさい」

クラリスが素早く南のマルシアと西のアーディルに話しかけ、ペトラの魔方陣の中へとササッと進んだ。


あっという間に二人の姿が門前から消えて、門兵は言葉を失って、消えた聖巫女二人が居た場所を口をあんぐりと開けて見つめていたのだった。


教皇の部屋は、大神殿の最奥の高い尖塔の最上階に有り、入口と階段部分毎に護衛の聖騎士やら魔導師神官やらが控えていて、その身の安全は最大限に守られていた。


大神殿自体が大きな魔法結界で囲まれていて、他者の魔法を弾く使用になっている上に、その塔単体にも幾重にも結界がかけられて居る為、転移魔法で侵入など出来るはずはない、のだが、魔法と言うものは術者の魔力が大きく強い方が優性である為、元々魔力量が多いペトラな上に、先程までの聖女の魔力干渉によって付与された聖女の魔力も加わり、こんな結界など易々と破れるようになっていた。


教皇の間についた二人に、今回の聖女召喚の混乱、有り体で言えば失敗、聖女を自分達に都合良く利用できなくなってしまった失態、をどう挽回しようかと話し合っていた所だったので、教会の上層部の者共は仰け反って驚いた。


「な、な、なんだお前たち」

「クラリス!お前、使役魔法を指示通りに展開しないでこの無能が!」

「ペトラ、お前なぞこの大神殿への立入を禁じているのを破ったのか、愚者が!」


教皇は口角泡を飛ばして叱責し、枢機卿たちもそれぞれ目を三角にして真っ赤になって二人を非難した。


「煩い阿呆ども」

バチバチバチっと無詠唱無動作で小さな雷電をその場にペトラが落とし、その衝撃で先程まで騒いでいた者たちは痺れてテーブルに伏せって震えた。


「ペトラ、もう始めてしまったの?先ずはわたくしが、善悪を見定めるのでしょう?」

余りに早い攻撃に、クラリスは多く瞬きをした後、ペトラに告げると、

「そうだが、ここの者全員、どう考えても悪だろう」

冷たい半目でテーブルに伏せっている上層部の神職者たちを一瞥して言い捨てた。


「まあ、そうは言ってもわたくしは聖 木星(セイントジュピター)なのでしょう?その役目を果たさせて貰うわね」

そう言うと、大きく魔方陣を展開して、教皇の部屋を、塔を、大神殿をと魔方陣がどんどんと飲み込んで行き、聖教国の端の隅々まで拡げていった。


クラリスは、最初の聖巫女として聖教会に引き取られてから一番長くこの地で過ごしていた為、それこそ聖教国の端々にある修道院まで全てを巡礼として回っていた。

魔法とは、属性によって発展して行くものであるが、だからと言って属性外の魔法が全く使えないと言うわけでも無い。

魔力さえあれば初歩魔法などは努力次第で使えるようにはなるし、本人の特性と相まってその進化の具合は千差万別であるから、光属性では無い神官たちも初歩の治癒魔法などが使える者も多く居るといった案配である。


魔力量によっても本人の資質によっても発現する魔法、つまり得意不得意な魔法が、出来る出来ないとも言えるが、存在する。

魔力量は普通位であったクラリスだが、公爵家での生活と押し付けられた令嬢教育、聖女の器に相応しい献身などの鬱屈とした感情により老成し、聖巫女の中では一番精神魔法が得意であった。

だから聖女召喚の折りには、聖女の心を縛る使役魔法の使用を教皇から命じられたのだが。


クラリスは聖教国全土の神職者の心を白と黒に瞬時に仕分けして、白い心の者を寝かしつけた。


教会関係者の上層部はほぼゼロで、一部神学者として学びの塔と呼ばれる場所に勤めている大神官が一人白、クラリスの北方聖教会から付き添った者たちはみな白であったし、逆に当然ノーザランド国教会からの出席者は全員黒だった。

中堅神官、聖騎士、魔術士神官もほぼ9割は黒で、1割の者が白と言った状況だった。

女官、修道女、使用人、教会に関係する下位の者たちは、半々と言った感じであった。

白い者は次々に眠りにつきバタバタと倒れたり突っ伏したり、それを目にした黒い者たちは、何も無いのに次々と人が倒れていくこの状況に恐れ戦いた。


『さあ、マルシア、アーディル、ペトラ。今、起きている者たちが倒すべき者たちよ』

その仕分けにかかった時間は、僅か数分。

聖巫女たちの脳裏に、クラリスからの思念が届いた。


「精神干渉が得意な王妃様の国とは仲良くしなければね」

大神殿の入口で門が開くのを待っていたアーディルがマルシアに微笑みながら話しかければ、

「本当に、こんなに広範囲に素早いなんてスゴいです。私は精神魔法は苦手で一切出来ませんから」

マルシアが称賛と自嘲の返事をした。


「いいのよ、その分あなたは物理攻撃が得意なのだから。さあ、行くわよ!」

「はい、では僭越ながら私が」

アーディルの声かけに、マルシアが笑みを深めると、己の気を両手両足に溜めて、


「んもあえ、派ぁーーーーーーーあ!!!」


ドゴアー!ブアーン、ボン!ガッ!


なんか、手からスゴい気圧を出して、大神殿の入口と、その一面の壁をブッ飛ばした。


「マルシア、なんなのこの技!?」

「修行部屋で聖典にありましたよ!聖女さまの世界で一番有名な気功技みたいです」


魔物を狩って殺して屠って歩き廻っていたアーディルでさえ、その強烈な技に驚いて問うと、マルシアはここに来る前の修行部屋で覚えた初出しの必殺技に手応えを感じて笑みを深くした。


「この技使う相手を選ばないと、あなた、殺人鬼と呼ばれてしまうわ。対人不可よ」

「え!」

「わかった?」

「あ、はい。了解です」

そんな会話を終えて、スゴい轟音が響き渡り、門兵は竜巻に吹き飛ばされ、更地と瓦礫の山となった、先程まで出入口だった場所から聖巫女二人が中へとゆっくりと歩み始めたのだった。



聖女の魔力付与を受けた彼女には、聖教国全ての神職者の精神を繋げ見ることなど、造作も無いことであった。


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