表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/12

2 広がり続ける不安の影

「鏡太朗くんのお父さん、お母さん、この度は誠に申し訳ありませんでした」

 日曜日の昼下がり、閑静な住宅街にある木造二階建ての鏡太朗の家の玄関の中で、神主姿のもみじが鏡太朗の父と母に深々と頭を下げていた。

 母の隣に立っていた普段着姿の鏡太朗が、慌てて両親に言った。

「父さん、母さん、昨日移季節(うつろうきせつ)神社に行って、帰りがついさっきになっちゃったのは、もみじさんのせいじゃないんだよ! 何度も言ってるけど、途中で崖崩れが起こって道が塞がれて、スマホの電波が届かなくて連絡もできなかったんだ。それに、俺がもみじさんに頼み込んで、移季節(うつろうきせつ)神社に連れて行ってもらったんだ。もみじさんのせいなんかじゃ……」

 もみじが頭を下げたまま、鏡太朗の言葉を遮った。

「何かが起こったときに責任をとるってーのは、大人の務めなんだ。何も申し開きはできねぇ。全てあたしの責任です。申し訳ありませんでした」


 鏡太朗の母が硬い表情でもみじに言った。

「もみじさん、鏡太朗がいつまでも帰ってこなくて、連絡もなくて、本当に心配したんですよ。雷鳴轟之(らいめいとどろきの)神社に行っても誰もいないし。鏡太朗が事故に遭ったかもしれないと思って、でも、どうしたらいいかわからなくて、そのまま車で単身赴任中の主人のところまで行って、他のことも含めて鏡太朗に関する心配ごとを色々と相談したんです。そして、何度も鏡太朗に電話したけど、やっぱり電話は繋がらなかった。朝早くに主人と一緒に家に帰っても、鏡太朗はまだ帰っていなかった。本当にどれだけ心配したことか。

 それにね、今回のことだけじゃなくて、わたしは最近の鏡太朗のことが心配なんです。二学期になってすぐの時だって、学校帰りにもみじさんのところに(じょう)術の稽古に行ったまま、帰りが次の日の朝になって……。もみじさん、あの時、本当に鏡太朗はもみじさんのところにいたんですか? まさか、嘘をついて夜遊びをしていたんじゃあ……?」

 母の言葉を聞きながら、鏡太朗は心の中で激しく動揺した。

『しまった! 地下王国の時のことを言われるとは、全然思っていなかった! 何て言って説明しよう……?』

 もみじは頭を下げたまま、真剣な表情で脳内のデータを爆速で処理しながら、鏡太朗の母への説明の正解を求めていた。

 間もなく、もみじはデータ処理が完了した電子音が聞こえたような気がして、下を向いたまま一瞬ニヤリと笑った。


 もみじは心苦しそうな表情で顔を上げた。

「鏡太朗くんのお父さん、お母さん。お二人に心配をかけたくなくて、本当のことを今まで黙っていて申し訳ありません……。実は、あの日、学校帰りにうちの神社に来た鏡太朗くんには、とんでもなく強力な悪霊が何体も取り憑いていたんです」

「え?」

 鏡太朗の両親は愕然とし、その顔からは見る見る血の気が引いていった。鏡太朗は、もみじの口から出た予想もしなかった大嘘に愕然とした。

「しかも、ただの悪霊じゃなかったんです。鬼という恐ろしい魔物が死後に悪霊になっていて、集団で鏡太朗くんに取り憑いたんです。あたしが正体を見破ると、鏡太朗くんの心と体を支配して恐ろしい姿に変貌し、とんでもない怪力と、周囲の石を飛ばす念力で暴れ始めたんです。あたしは、一瞬の油断もできない命懸けの危険な闘いを明け方まで続けながら、やっとのことで悪霊たちを祓うことができたんです。

 こんなことをご両親にお話したら、とてもショックですよね? 鏡太朗くんのことが心配でたまりませんよね? 鏡太朗くんのこれからの人生が不安になりますよね? お二人のお気持ちを考えに考え抜いた結果、たいへん心苦しかったのですが、ずっと本当のことが言えねーでいたんです。誠に申し訳ありませんでした。

 でも、あたしが間違っていました。ご両親がそこまで心配なさるのであれば、再びこんなことがあったら、たとえ鏡太朗くんがどんな状態になっていようと、もはや人間とは思えない怪物に変貌していようと、人を見るなり襲いかかって食い殺そうとする凶暴な獣になっていようと、霊を祓うのは後回しにして、鏡太朗くんを家に帰すことを最優先にします。もしかしたら、そのせいで手遅れになって、二度と元の姿や人格に戻れなくなるかもしれねーですし、鏡太朗くんが命を失うかもしれませんが、ご両親のお気持ちを考えて、鏡太朗くんがどんな状態になっていても、そのまますぐに家にお返しします」

 もみじは強い眼差しで鏡太朗の両親を真剣に見つめ、鏡太朗の両親は激しく狼狽していた。


 少しの間を置き、落ち着きを取り戻した鏡太朗の父が口を開いた。

「もみじさん。ご存知のように、鏡太朗は小さい頃から霊に取り憑かれ続けて、その度に、もみじさんのお父さん、おばあさん、もみじさんに祓っていただきました。もみじさんたちがいなかったら、鏡太朗はまともな人生を送れなかったかもしれない。本当に、もみじさんたちには感謝しています。私は三年前から単身赴任をしていて、普段は鏡太朗と一緒にいることはできませんが、(じょう)術でもみじさんに弟子入りしたと聞いた時は、とても安心したんです。私はあなたのことを心から信頼しています。あなたが師匠であれば、鏡太朗が人生の道を踏み外すことはないと信じています。

 今後も、鏡太朗が霊に取り憑かれたときには、あなたの判断で鏡太朗にとって最善の選択をしていただけませんか?

 これからも鏡太朗のことをよろしくお願いします」

 鏡太朗の父はもみじに向かって深々と頭を下げ、それを見た母も頭を下げると、もみじも頭を下げた。鏡太朗は、三人が頭を下げている様子を冷め切った目で見ていた。

『もみじさん、よくこんな大嘘を平気で……。でも、もみじさんのお陰で助かったよ。もみじさんの顔が見えないけど、絶対に今は悪そうな顔で笑ってるな』

 もみじは下を向きながら、ニンマリと満足そうな笑みを浮かべていた。


「あ〜っ、ヒヤヒヤしたぜ〜っ!」

 もみじは昼の住宅街を鏡太朗と一緒に歩きながら、両手を高く上げて大きく伸びをした。鏡太朗は満面の笑顔をもみじに向けた。

「もみじさん、本当にさっきは助かったよ。円満に解決して、母さんは父さんを車で送りに行ったし、母さんの帰りは明後日だって言ってたから、それまでは顔を合わせないで済むよ。何か、緊張感から一気に開放されたーっ!」

「今回おめぇの両親を丸め込んだ料金は、ツケとくからな。あと、あたしんちに置いているおめぇの予備の制服代も、大人になったら返せよ」

「わ、わかってるよ……」

 鏡太朗はそう言った後、真顔になって地面を見つめながら口を開いた。

「ねぇ、もみじさん……。切子ちゃんって、今頃どうしてるかな?」

 もみじは微笑みながら青空を見上げた。

「切子はまふゆの術でしばらく目を覚まさなかったから、警官が巡回中の無人の交番を見つけて、そこに置いてきたんだ。だから、あたしたちも警官からの事情聴取みてーな面倒なことには巻き込まれずに済んだんだが、その後どうなったのかはわからねぇ。でも、きっと今頃は病院に戻っているだろうな。そして、憑き物が落ちたみてぇに、精神状態が安定するだろう。きっと人生をやり直せる。だが……」

 もみじは眉間にシワを寄せて正面を見つめた。

「それよりも問題なのは、切子の心から分裂して誕生した悪魔のことだ。そのうちにおめぇを殺しにくるぜ。ぜってーにな。しかも、悪魔はどこから攻撃してくるかわからねぇ。体の外側から襲ってくるのか、心の中に侵入しておめぇの心を壊そうとするのか……。

 人類の長い歴史の中で、悪魔はたびたび人々を苦しめ、人々は命懸けで悪魔を追い払ってきた。悪魔は死ぬことがねぇから、人にできることは追い払うことだけなんだ。しかし、あの悪魔はおめぇに執着し、何度追い払ったとしても、あきらめることなくおめぇの命を奪おうとし続けるはずだ。いや、もしかしたら、おめぇの魂を永遠に自分の手元に置いておこうとするかもしれねぇ」

 鏡太朗は、大きな不安が嵐の前の暗雲のように胸中に広がっていくのを感じながら、険しい表情を浮かべるもみじの横顔を見つめた。


「いやああああああああああああっ!」

「とおおおおおおおおおおおおおっ!」

 たくさんの倒木が並ぶ学校裏の林の中で、白いパーカーを着たまふゆと赤いパーカーを着たナツが、稽古用の薙刀と槍で激しい応酬をしていた。二人が手にしている薙刀と槍は、刃の代わりに『たんぽ』と呼ばれる綿が詰められた布が取り付けられていた。二人は真剣な表情で、猛烈な速さで得物を扱い、有効打がないまま互角の勝負をしていた。


「はぁ、はぁ、はぁ……」

 まふゆとナツはそれぞれの得物を手にしたまま、地面に座り込んで荒い呼吸をしながら休憩していた。

「やっぱり、あたしとナツの腕前は互角だよな……」

「客観的に見て、それは間違いない……。ということは……、合理的に考えて、あいつは俺よりも強いということか……」

 ナツは(のろ)いの淚尽(ナツ)の姿を思い浮かべた。ナツは何かを決心した力強い目をまふゆに向けた。

「まふゆ、頼みがある。俺はこれから『潜心法』を行う。俺を導いてくれ」

 まふゆは驚いてナツに向かって叫んだ。

「潜心法ーっ? ダメ! 絶対にダメだーっ! 意識を潜在意識の中に潜らせる潜心法は、うまくいけばトラウマや抱えている心の問題を解消できるけど、心の中に潜む闇に触れたら精神が壊れる場合もあるんだ! 今のナツは絶対にしちゃダメだーっ!」

「だから、お前に導いて欲しいんだ。合理的に考えて、俺は自分の心の中で渦巻いている復讐心と向き合い、乗り越える必要があるんだ。今の俺だからこそ、心の深い領域に潜らなければならないんだ。頼む、俺に力を貸してくれ」

「……わ、わかったよ……。でも、少しでもおかしな様子が見られたら、すぐに現実世界に引き戻すからな」

「ああ、客観的に考えて、それが最善の対応だ」


 林の中に、棒で木をリズミカルに軽く叩く音が響いていた。

 まふゆが木の枝で倒木を一秒に二回のペースで叩いており、目をつぶって地面に横たわるナツが、音に合わせて口から息を二回吸って、一回で吐く素早い深呼吸を繰り返していた。まふゆが立てる音は次第に早くなって一秒に三回のペースとなり、音に合わせたナツの深呼吸のペースもどんどん早くなっていった。まふゆは、木の枝で倒木を叩く手を止めるのと同時にナツに言った。

「息を吐いてーっ。全部吐き切ってーっ」

 ナツは体の中の息を全て吐き出した。

「息を止めてーっ」

 ナツは息を吐き切った状態で呼吸を止めた。


 ナツは、自分の意識が潜在意識の中にどんどん沈み込んでいくのを感じていた。深い湖のような潜在意識の中には、色とりどりの光の塊が朧気に見えていた。ナツの意識は、光が当たらない湖の底のような潜在意識の深い領域にまで沈んでいった。ナツの耳にまふゆの声が聞こえた。

『ゆっくりと糸のように細く息を吸って』

 目を閉じているナツの肉体は、細く深い吸気を始めた。

『ゆっくりと糸のように細く息を吐いて』

 目を閉じているナツの肉体は、細く深い呼気を始めた。

 ナツの意識は、肉体と同じ姿で暗い潜在意識の中を漂っていた。

 突然、ナツの意識の左手首が何者かに掴まれた。ナツの意識が驚いて自分の左手首を見ると、(のろ)いの淚尽(ナツ)が冷たい笑みを浮かべて両手でナツの手首を握っていた。

(のろ)いの淚尽(ナツ)!」

 (のろ)いの淚尽(ナツ)は、黒い目の中の赤い瞳を輝かせてナツの意識に言った。

「昨日と同じように、俺を受け入れろ。俺と一体になれ」

 ナツの意識は動揺を見せながら、(のろ)いの淚尽(ナツ)に言った。

「俺はお前を倒すために、心の中に潜っているんだ! 俺は絶対にお前を消し去ってみせる!」

 (のろ)いの淚尽(ナツ)はニヤリと笑いながら言った。

「それなら、合理的に考えて……」

 (のろ)いの淚尽(ナツ)の姿が燃え上がり、赤と黒のまだらの炎でできたドラゴンに変わった。その炎のドラゴンには一本の角と左腕があった。

「お前を消して、心と体の支配権を奪い去るまでだあああああああああああっ!」

 ドラゴンは咆哮しながらナツの意識に巻きつき、ナツは赤と黒の炎に包まれて苦し気に絶叫した。

「うわああああああああああああああああああああああっ! はっ!」


 ナツは林の中の地面の上で、まふゆに上半身を抱き起こされて絶叫している自分に気がついた。

 まふゆが心配そうにナツに訊いた。

「ナツ、大丈夫か?」

 ナツは愕然とした表情で呟いた。

「あいつは俺と入れ替わるチャンスを狙っている……。合理的に考えて、俺の心と体に咒靈力(じゅれいりょく)が満ちた時……、あいつは強大な力を取り戻して、俺と入れ替わることになる……」

 ナツの呟きを耳にしたまふゆの心に、大きな不安が広がっていった。

   

 その頃、鏡太朗ともみじは並んで住宅街を歩いていており、二人の目の前には商店街が近づいてきた。

「それから何度も言うが……」

 もみじが鏡太朗に鋭い眼光を向けた。

「ぜってーに二度とお札を剥がすなよ! 最終形態に変身したおめぇの強さは、もうあたしたちにどうにかできるレベルじゃねぇ! 今度お札を剥がしたら……、数え切れないほどの大勢の命が失われることになる」

 鏡太朗はもみじの言葉に動揺し、俯きながらもみじに訊いた。

「もみじさん……。壊れ始めているこのお札……、いつまで悪霊を封じることができるんだろう?」

 もみじは鏡太朗の疑問を耳にした瞬間、目を見開いたまま身動きをしなくなった。


 やがて、もみじは空を睨んで呟いた。

「きっと何とかなるさ……。きっと……」

 鏡太朗には、もみじがその言葉を自分自身に言い聞かせているように聞こえていた。


 もみじが突然何かに気づき、ハッとした表情を見せた。

「お、おい、鏡太朗……。こ、これは変じゃねーか?」

 鏡太朗はもみじの発言の意図をはかりかねて、不思議そうな表情でもみじに聞き返した。

「もみじさん、変って何が?」

「今は日曜日の午後だよな? なのに人が一人も歩いていねぇ。車も走ってねぇ。しかも、目の前の商店街は、どの店もシャッターを閉めたままだ」

「あ! 本当だ!」

 鏡太朗は無人の商店街を愕然として見つめた。

 もみじは緊張した表情で続けた。

「外には誰もいねぇが、住宅街に並ぶ家の中からはたくさんの人の霊力を感じる。みんなは家の中にいるんだ。だが、活動しているような霊力の動きが全くねぇ。みんな、眠っているのか、気を失っているのか……。

 しかも、集中して周囲の気配を探ってみると、あちこちから微かな魔力を感じるぜ。間違いなく、すげぇ数の魔物があちこちにいやがる。魔力が微かなのは、その魔物たちの魔力が弱いからなのか、そいつらが気配を消すために魔力を抑えているからなのか、或いは眠っているからなのか……。

 この魔物たちの目的も危険性も全くわからねぇ。鏡太朗、これは間違いなく異常事態だ。いつ何が起こるかわからねぇぞ。注意しろ!」

 鏡太朗は緊張の面持ちで周囲を見渡したが、人の姿は全く見当たらず、動いている車も一台もなかった。鏡太朗ともみじがいる住宅街も、二人の目の前に続いている商店街も、不気味さを感じるほどに静まり返っていた。


「もみじさん、みんなが家の中にいるんだったら、現世之可我見(うつしよのかがみ)で家の中を見てみたらいいんじゃない?」

 鏡太朗がもみじにそう言うと、もみじは思わず声を張り上げた。

「そ、そ、そんなことできるかああああああああああああああああああああっ! 現世之可我見(うつしよのかがみ)で見ていいのは、公共の場所だけだーっ! お、おめぇ、人様の家の中を覗くなんて、そ、そんなことをして、もしも住民があんなことや、こんなことをしている最中で……、ぜ、ぜってぇに見ちゃいけねー場面を見ちまったら、ど、ど、ど、どーすんだよ……? お、お、おめぇって、めちゃくちゃ最低なスケベ野郎じゃねーか!」

 もみじは激しく狼狽しており、その顔は見る見る真っ赤になっていった。鏡太朗は慌てて発言の意図の説明を始めた。

「い、いや、もみじさん、俺、そんなつもりじゃなくて……」

 もみじは鏡太朗の言葉を遮り、鏡太朗の顔を指差して叫んだ。

「あーっ! わかったぞ! おめぇ、現世之可我見(うつしよのかがみ)で人様があんなことや、こんなことをしている場面を見るために、神伝霊術を習いてぇって言い出したんだな!」

「い、いや、絶対に違うから……」

 鏡太朗は動揺しながら、右手を大きく左右に振って否定した。


「鏡太朗ーっ! あぶねぇえええええええええええっ!」

 突然もみじが鏡太朗を右手で突き飛ばし、鏡太朗は三メートル吹き飛んで尻もちをついた。鏡太朗は驚いてもみじを見上げて叫んだ。

「もみじさん、突然何ごと? え……?」

 愕然とする鏡太朗の目に映ったのは、さっきまで自分が立っていた場所に、斜めに突き刺さっている一時停止の道路標識だった。すぐ近くのアスファルトには、その道路標識のポールがさっきまで埋め込まれていた穴が空いており、何者かが道路標識をポールごと引き抜いて鏡太朗を狙って投げつけ、狙いが外れたポールが地面のアスファルトに突き刺さったことは明らかだった。

 もみじは険しい表情で身構えていたが、やがて緊張を解いて呟いた。

「逃げやがったか……」

 鏡太朗は立ち上がると、周囲を見渡しながらもみじに訊いた。

「今のは俺を狙っていたよね……」

「ああ……。さっき強い呪いの力がすげぇスピードで近づいて、その呪いの力が一気に高まった……。間違いなく、これは悪霊の仕業だ。悪霊が呪いの力で道路標識をポールごと引き抜いて、おめぇをブッ刺すつもりで投げつけたんだ。だが……、妙なんだ。呪いの力と一緒に微かに魔力も感じた……。こんなに奇妙な霊力は初めてだ」

「俺、もみじさんからの冤罪に動揺していて、呪いの力には全然気がつかなかった。誰かが俺の命を狙ってる……?」

 静まり返った真昼の住宅街で、鏡太朗ともみじの心の中に不安と緊張が広がっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ