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■2-3 二人組を作ろう

「よーし、全員揃っているか?クラスメイトたちよ。後から遅刻届なんて面倒な手続きはごめんだぜ」

北条が我関せずに現国の教科書をバッグから取り出していたので、俺だけが伯爵からのニヤリとした視線をまともに受けることになってしまった。

どうやら遅刻届は無事伯爵へと渡ったらしい。


「ふむ。それでは級長」

伯爵の声を受けて昨日のHRで決定した級長が号令をかける。

「起立!気をつけ・・・よろしくお願いします!」

「「「よろしくお願いします」」」

「着席」

滞りなく済んだ。当たり前の話だが。

これが二年ぶりの号令かと思うと感慨深いものがあった。


「はい、よろしく。さて、諸君の現代国語はこの一年、私が担当することとなった。楽しくも、しっかりと勉強していこう」

年度最初の挨拶をした伯爵だが、数多くのヤジを浴びる。

「先生もしっかりねー」

「三回連続同じ授業とか勘弁だよ」

「リピート放送は無しでお願いしまーす」

非情に騒がしい。これが伯爵の授業のノリなのであろう。伯爵も応じる。


「アレは君らも悪い!せめて二回目に“前回やりましたよ”くらい言うべきだ!」

一応の抗議をしているが、本気で怒っているわけではない。

生徒の批難もまた、同じである。

クラス中が授業を楽しもうとする悪くない雰囲気だ。


そんな雰囲気に乗っかることもせず、マイペースを貫く生徒が最後列に二人。

「北条は去年誰に現国習ってたの?伯爵?」

「いやー、実は私もあまりよく覚えていないんですよ。一学期のみでしたし。でも伯爵じゃなかったのは間違いないですよ。」

「確かに、伯爵だったら忘れないわな」

「ですよねー」

淡々とした会話を伯爵の声が断つ。


「さて、そろそろ騒ぎきっただろう。授業に入らせてもらおうか。初回だし、今日のところは教科書は使わない。しまっても構わんぞ。そうだな・・・さしあたって、ペアを作ってもらおうか」

伯爵の提案にワンテンポ遅れて教室がざわめきだす。

「ペア!?そんな急に言われても・・・なあ」

「お、おう。なんていうか・・・なあ」

「二人一組、先着順!そうそう、男女で組んでもらうぞ、あのようにな」

そう言って伯爵は教室の隅を指す、そこには北条の左腕をしっかりと掴み、高々とあげる俺の姿があった。


揃って無言であるが、俺は正面を見て、北条は掴まれた自分腕を見上げている。

「ペアができたら机を向かい合わせるように・・・始め!」

伯爵の合図と同時に北条の手をそっと離す。

そうして小早川・北条ペアはさっそく机を合わせたが、納得いかないのは北条である。

「知ってたんですか!?」

目の前の俺を問い詰めてくる。

「うん、授業前に廊下で伯爵と急遽打ち合わせをしてね・・・びっくりした?」

「しました!」

食い気味で怒る。


「いや、悪かった。痛くなかった?随分細い腕だったけど」

「え?・・・痛くはなかったです・・・でも、その」

北条は何かひどく言いにくそうで、モジモジしている。

「うん?」

「変なコトされちゃうかも!って思っただけですよ!」

北条は強がって食ってかかっているが、顔が耳まで赤い。

そこへノコノコと仕掛け人の伯爵がやってきた。

「いよう、お二人さん、上手くアォッ!!」

北条のボディストレートが炸裂。伯爵は前のめりに崩れ落ちた。

うん、距離感は悪くない。もっと肩を入れれば、なおよろしい。


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