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異世界のとある星に憑依したようで!?  作者: コカマキリ


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4/6

出戻りのデストピア

星の中の話がメインになってなっていましたが・・・。主人公今デストピアにいるんですよねえ。少しもとの世界に話戻します。

ドアの向こうにはのどかな田舎街が広がっていた。そうだ。暗黒龍一族の街はさわやかな風がふき人々(暗黒龍一族人化中)の往来はそれほど多くはなく田舎生活に憧れている人たちにはぜひおすすめしたい。


家々は程よい距離間で設計されているのはきっと龍サイズが下地となっているからなのか。ちっぽけな人間の視点ではグッと遠くに感じられる。砂利の農道が緩やかなS字カーブをえがき続けたその先にはきっと民家があるはずなんだが、遠すぎて見えない。


おれは人目も気にせずに意識体を解除しもとの世界へと戻った。この崩壊した石壁は・・・。 砕け散ったレンガはまさに元の世界デストピアである。そして本体のおれは敵の攻撃を受けていた。


ドロドロに溶けた死肉を揺らめかせ、屍人がおれの結界を容易く引き裂いてしまう。や、やめるんだ!そのベタベタした手をおれに向けてくるんじゃない!突然の恐怖に戦慄して身震いが止まらない。そ、そんな。空き時間はスマホを片手に過ごして握力を鍛えていたこのおれが!?


確かにおれの結界魔法は貧弱である。だからって小指一本で破りにくるとは思わなかった。せめて全力の一撃で立ち向かって来て欲しかった。


だが屍人よ。残念だったな。おれの防御結界は2段構えなのだ!


出でよ【大気圏シールド】


おれの身体に傷をつけるにはこの500kmに及ぶ層を物理で突破する必要があるんだからな!決して忘れていたわけじゃないんだからね!ほらおれって人型だけどこれでも一応惑星なので。


惑星を破壊できるまで強くなってから出直してくるんだな!内にいる脅威の前いがいでは少し羽を伸ばせるくらいにはおれの耐久性は高かった。


ふむ・・・。どうやら屍人はおれに危害を加えられないようである。そしておれも彼らに攻撃の手段を持たない。そりゃあ頑張ってそこらへんの木の角材で何度も叩けば1体くらいは倒せるかもしれない。だが目の前の敵を倒すだけではこの世界はデストピアにならなかったはずである。


それよりもこの耐久性を生かしてこの世界の元凶を取り除くための調査をしたいと思う。まずはまだ人類及び他種族たちが生き残っている気配がある東部の山脈地帯の集落に顔を出してみようか。焼けただれた草木を踏み分けおれは東と思わしき場所へ一歩足を踏み出した。


太陽は東から昇って西に沈むから・・・。太陽をみるどこから昇ったのか。真っ昼間である。どこから昇ったかなんてわからぬ。小枝を地面にさして日時計なるものを作ってはみたのだが。これがまさかの失敗してしまった。おれが惑星であるのことの弊害がここにあったようである。なんと360視野角になり、宇宙の膨大な情報量が脳を圧迫してきたのだ。


な、んだって。まさか方角を確かめる術もなくデストピアの世界を一人であるけと!? どんなに耐久性が高くとも不安である。


仕方ない。ここはおばあちゃんの知恵袋ついでにみた豆知識で乗り切っていくしかないようである。


1.コケ(湿気が多いところに多く生える)日当たりが悪いところに生えるから多く生えてるところが北ってこと!


よし完璧である。北の右つまりここが東であっているってわけだ!(彼の一歩は西を指していた) おれの足取りは軽かった。




*****



主人公がさっそく迷子になったころ、遠くの村で戦火を生き延びた子供たちが身を寄せ合ってないていた。ナツメヤシの葉が夜風で大きく揺れ彼らの不安な気持ちをまるで煽っているようだ。少年はきっと空を睨みつけそっと弱音をはいた。


「ねえ。いつまで我慢し続けないといけないの。いつになったら僕たちは安心して暮らせるの。」

「そうねえ。でもその気持ちを忘れてはダメよ。昔の人たちはねえ、なんでもそろっていたの。だからこそその毎日がとつぜんなくなってしまうなんて想像も出来なかったんだって。」


「そうなんだ。ぼくもそんな時代に生まれたかったなあ。」

「なら私が大人になったらもっと強くなって、屍人をみんな倒して、住みやすい世界にしてあげるよ!」

「ぼくだって!」


「おれがいるのを忘れてもらっちゃ困るぜ!」


先ほどまでみんなで身を寄せあって嘆いていた子供たちの顔には気づけば希望の光がやどっていた。その子どもたちを見て一番勇気づけられていたのはまわりの大人たちであったのだ。


夜の街灯が一つまた一つと消えていくさまがひとつの明日へとつながる時間の糸を感じるようで、街には静寂と暗闇がひらがって行った。


屋根を伝う夜露が地面におちその小さな水面に銀色の月が映る。そこから数百キロの夜道を男は目的地を大幅にずらし前進し続けていた。実はそこにも生き残った人々の気配がたしかにあるのだ。だから最初に目指していた場所とは違うと気付けなかったのだけは彼の落ち度ではないのだろう。


日が射してくるころ、おれは藪の中からやっと顔を出すことができひと呼吸つけた。いくら睡眠が必要にならない身体になったとはいえ、夜間の移動はあまりにも効率が悪かった。このデストピアの地も少し足を伸ばせばまだ緑が残っているようで、どこもかしこも戦火のあとというわけではないことに安心する。


まあ人がいないってことはそれなりに危険と隣り合わせだってことだけは確かであるのだが。前をむく。全てが山にしか見えない。どこだよここは~~~~~?ひとまずの目標はこの山をぬけ出すことである。その後やっと念願のひとが住んでいる街へたどり着くって寸法だ。


ええっとさっきここを真っ直ぐきて右にまがって、うん。まさか、な。この樹と切り株にはなぜか見覚えがあるのだ。ほらっ。そこの木のうろとか!あー。これはあかんやつですわ。これはもう認めるしかない。おれは山をどうも下りられそうになかった。


仕方がない。感覚にだけ頼っているのがそもそもの間違いだった。印をつけてそうまずは前進あるのみ!おれはなにがどうしてこうなったのか。1時間あとには先ほどの原っぱ2号へと戻っていた。


なにが足りなかったのか。地図か?GPSか?いや・・・。そもそもの山をまわる経験なのか。おれはいったんデストピア散策を諦めることにした。そろそろ暗黒龍一族の安宿に戻って女将さんにあの後どうなったか気になるので話聞かせて欲しいし。


仕方ない。この身体の耐久性を信じて河の近くで小休憩させておこうと思う。


頭に念じる。邪龍一族の街の安宿・・・。安宿。うんここだな。ささっと意識体を送りこむと水たまりに着地した。うへえええ。初っ端から靴下濡れるのは聞いていない。安宿へむかうつもりが少しばかり外れた砂利道にきてしまったようだ。


とぼとぼと重い足で安宿へむかった。おれはどうやら見慣れた地でぬくぬくと生きてきた日本人の性がぬけてない。


宿の名前は【シャンデリネンの砦】というらしい。そっと意識体を再送すると宿のまえに来ることに成功した。なんてことだ。おれが抜けているのは自覚あったけど、こんな大事なことを見落としていたとは。扉をあけると胃をぐっと持っていかれるような肉肉しい美味しい香りに思わず笑顔をほころばせる。


「小さき者よ。ようやく帰ったようだな。」


サイドカットで少しシュッとした感じの親父さんが座っていた。


「よかったら一緒に食事はどうだ。貴殿の話妻から先にきいている。もっと詳しく聞かせてもらえないだろうか。」


「ええ。こうしてお時間作ってもらい感謝いたします。ではご相伴に預からせてもらいますね。」


「あら。お固いんだから。あなたはもうシャンデリネン家の盟友なのよ。ほら(あなた)もその口調を崩して欲しいわ。アースさんに失礼だわ。」


「お兄ちゃ、お帰り。」

「ああ。ただいま。まだ起きてたのか。」


「ふふん。悪い子だからね!」


いや・・・。悪い子っていうか赤ちゃんなんだけどね。でもその笑顔のあどけなさにとても癒された。


「コホンッ。すまない。なかなか久しぶりでな。お前さん飲める口かい?」

「あまり強い方ではないですが。好きですよ。」


「だと思ったわ。はいこれ。」


女将さんがもってきた珍しい銘柄の赤ワインは芳醇な香りからみるからに良い品であるようだ。


カンパーイ!3人の大人と赤ちゃんの声が心地よく重なり夜空へと駆けて行った。



彼の長いデストピアの旅が始まります。*彼は方向音痴なのに自覚がないタイプです。一日更新遅れてすみません。

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