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エレナと逆さま博士 ◆ １ ◆
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Ｌ.Ｅ.――米乃合衆国西海岸に臨む大都市。映画産業と観光業で栄えるこの地で評判を呼ぶモノのひとつは、通勤ラッシュにともなう大渋滞だ。もちろん、悪い意味で。今日も朝の高速道路では、自動車たちがイライラと列をなし、方々からクラクションが聞こえる。朗らかなのはカーステレオから流れてくるラジオＤＪの声くらいのものだ。
〈〝ロバート・フィッシャーのモーニングＬ.Ｅ.〟！ 火曜日のこの時間お相手はこの俺、ロバート・フィッシャーだ。朝のひと時いかがお過ごしかな。今日はこんな素敵なメールからはじめよう。えー、ラジオネーム〝お寿司でスシ〟から。《グッドモーニング、ロバート。いつも楽しくラジオ聞いてます。あたしはＬ.Ｅ.の寿司アカデミーに通う学生。もしこのメールが読まれたらの話だけど、今日はアカデミーの進級がかかった期末試験があるんです。ロバート、お願いだからあたしが寿司職人になれるようにエールを送って！ いつか自分の店をもってロバートにスシをご馳走したいな》……だってさ。メールありがとう！〉
